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『創業原点を脈々と伝え続ける』~六花亭創業者“小田豊四郎”物語

おすすめ書籍にアップしているこの絵本、
「お菓子の街をつくった男―帯広・六花亭物語」。

実は、小学生向けの絵本として販売されているのだが、
私たち大人が手にとってもなかなか読みごたえのある内容だと思う。

「創業者である小田豊四郎氏の生い立ち」
「どんな想いをもってこの会社を立ち上げたのか」
「どんな苦難を乗り越えてきたのか」
「そもそもこのビジネス(お菓子づくり)に取り組み、続ける意義は何か」
「どんな人たちが関わり、助けてくれたのか」
「さまざまな経験から生まれた、この会社の価値観とは何か」

というような、社員に対して、あるいはお客さまに対して、脈々と伝え続けていきたい創業者の原点を、
小学生にもわかるようなカタチ(絵本)で残されているのが素晴らしい。

ちなみにこの六花亭(正式名称:六花亭製菓株式会社)、
帯広に本店を構え、売上高:約184億円、経常利益:約11億円(いずれも2011年3月期)の実績を上げている。

企業名でピンとこなくても、出張や旅行で北海道に行かれたことのある方なら、
空港の販売店に並ぶ「マルセイバターサンド」を知らない人はいないのではないかと思えるくらいの一番商品をもつ企業だ。

もう7~8年前の話になるだろうか、札幌市内の直営店を訪れた際に驚かされたのが、
会社の理念のようなものを掲げているポスターの内容と、それを実践していると考えられる社員個々人のお客さまに対する接客の姿勢。
この「“言ってる”ことと“やってる”こと」が正に合致しているところを体験して、「やっぱり優良企業は違うな」と思ったものだ。

「1人1日1情報制度」(すべての社員およびパートさんは、業務の改善提案、
その日の出来事、お客さまからの要望、等を提出できる制度)で出てきたもの全てにトップが目を通し、
社内の日刊新聞(365日休みなく発行)に掲載される、といった仕組みの他にも、
年2回実施される社員表彰、毎月実施される月間MVP賞など、さまざまな工夫が施されている。

こんな話もある。

ある日、残念ながら閉店時間に間に合わなかったお客さまが、
駐車場に停めた車に戻って帰ろうとしていたとき、
通用口から出てきた女性社員が、「お客さま、お買い物ですか?」と声を掛けてきた。

「そうなんだけど、間に合わなかったから仕方ない、また来るよ。」と答えたお客さまに対して、
「お時間あるようでしたら、少し待っていただけませんか?」と女性社員。

そのお客さまが入口のところで待っていると、「ようこそ、いらっしゃいませ」と、制服に着替えた店員の皆さん(応対してくれた女性社員も私服から制服に着替えていた)に迎えられ、さっき店内を見たときには被せられていたショーケース上の布がすべて取り除かれていたそうだ。

創業者であれば、当たり前に感じるお客さまへの感謝。

「わざわざお店に来て貰って嬉しいし、本当にありがたい。」
「一生懸命作った商品を買っていただけて嬉しいし、本当にありがたい。」

そういった“想い”を、全ての社員と共有できるのであれば、当然強い会社になるだろう。

“創業”という気持ちがわからない社員をそこまで持っていくのは難しいというのは事実だが、
現実的にはわかってもらおうと努力したり、伝え続けようと仕組みを作り上げたり、している会社は現実的には少ないのも事実だ。

いつ始めても決して遅くはない。「早速、始めよう!」それが大事だ。