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震災、計画停電で“営業困難”に陥る流通小売各社(後編)

前編の続き)

◆安易なセール、バーゲンに走らず、「思いやり」をもった企業戦略にシフトを

今後の計画停電については、どうなるのかは分かりませんし、それは東京電力ですらも明言できないでしょう。しかし、当面である少なくとも4月中は続くものと思われます。

とすれば、企業側はさまざまな形での節電に協力し、計画停電を減らす努力をするのはもちろんですが、それ以上にコストを削減する努力をしなければなりません。

イニシャルコスト(初期投資費用)は仕方ないとして、ランニングコスト(運転費用)で抑えられるところは極力抑える努力をしっかりしておかなければいけません。不必要な電気、水道、人件費、通信費などはできるだけかけないようにすべきです。これには全社員の懸命な努力が欠かせません。緊急対策会議を実施して、当面の対策を各社なりに組むことが必要です。

私のクライアント企業A社では、地震の翌日から1週間の休業を決めました。その間に、今までできなかった数値分析、次年度の計画づくり、計画停電後の企画検討などの会議や計画づくりに時間を割くようにしました。

同時に、被災地に対してどんなことができるのかを決め、早速義援金を集め、寄付することも決定しました。

しかし、計画停電はずっと続くわけではありません。完全に元には戻らないかもしれませんが、徐々に生活は安定を取り戻していくことでしょう。その際に、多くの企業が売上獲得のために、一大セールやバーゲンなどに踏み切ることが考えられます。失った売上を取り戻すための仕掛けを打つはずです。私はそれを危惧しています。

単に売上を取りにいくのではなく、今回の震災をきっかけに、正しい商売の手法に変わっていくことを提案したいと思っています。セールの乱発でお客さまを集めるという古い手法から脱却して、当面は売上の一部を復興資金に充ててもらうような基金を作る、東北地域のことを考えて一切セールをしない、派手なチラシを打たない、大げさなイベントはしないなど、これまでの反省を活かして、新しい販売手法にシフトする必要があると思うのです。

おそらく今回の震災を契機に、個人レベルでも節約や節電、無駄なモノは購入しないという流れが強まっていくことでしょう。このような時期に企業はどのような姿勢で商売をしているのかを消費者はよく見ています。

震災で大変な思いをされている方々に対しての思いやりのこころを、一体どこまで持ち続けられるのか。それを消費者は見ています。単に自社の売上だけを考えて行動するような企業は、これからは消費者の支持を得られないでしょう。

自社の提案したい商品を、しっかりとしたメッセージを持って、世の中に発信すること。そして、今回の震災を1人1人が心に留め、今後も継続して、何ができるかを考えていく企業姿勢が必要なのです。

自分たちのことだけを考えるのではなく、被災地で、当面の商売のことすら考えられずにいる方々のことを第1に考えて行動していくことが大切だと思います。いかに思いやりをもった企業戦略がとれるか。それこそがこれから私達が考えていかなければならない大きなテーマなのです。