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新規出店コンビニエンスストアが大手チェーンと戦うには[マーケティング戦略・営業戦略]

現場に近いコンサルティング情報や、いくつかの業種・テーマに特化した情報をお届けするこの「現場コンサルタントの生の声」ですが、今回は私がお手伝いさせていただている、コンビニエンスストア業界についての情報をお伝えしたいと思います。

先日、私が連載執筆をしております、コンビニエンスストア業界の専門雑誌『月刊コンビニ』の編集部の皆様と同行させていただき、業界最大手チェーンの新規出店状況を確認してきました。
中京地区、特に名古屋・岐阜地区に出店を相次いで行っているチェーンですが、先月ついに三重県に上陸しました。
現在、三重県の桑名市中心に2店舗出店しています。
そこで新店と近隣競合店の品揃え状況・売上状況・店舗オペレーションの状況を調査してきました。

新規地区に出店している新店に関しては、残念ながら新規地区への出城としての気概を感じることはできませんでした。
新店での取組みとしては、基本どおりの本部推奨プログラム-商品構成、売場展開、販促物展開-を行っていました。店舗の売上は平均以上が予測されます。

より個店の商圏に合わせた品揃え、売場作り、接客を行うことで、更に大きな売上が期待できますが、まだその段階には踏みこんでいるわけでは無い様子です。
それでも、本部推奨のフォーマットが素晴らしく良い出来なので、お客様に支持されているのだと考えられます。
しかし、まだプロの目で確認しますとボロボロと穴が見つかるものです。
例えば、おでんカップの位置や、冷たい麺類の売場の棚間隔等。もう少し細かいオペレーションが実行できるようになれば、まだまだ売上は上がる事でしょう。

それでは、競合店の状況はどうだったのかと申しますと、正直残念という状況でした。
Kマークのお店とFマークのお店が同一商圏内に営業しているのですが、とくにFのお店が危険な状況でした。
新規出店により大きく売上が下がったのでしょう。
全くやる気が感じられないお店でした。というのもビール類の在庫が各10本程度しか置いていなかったのです。
きっと 

売上が下がった
  ↓
在庫をたくさん持つと資金繰りに影響がでる
  ↓
最低限の商品を並べておけば商品ロスも小さくなる

と考えて売場在庫を減らしているのでしょう。
けれども残念ながらこのような縮小均衡の考え方を打破しないと、近い未来こういった店舗経営では破綻を招きます。

競合店に業界最大手チェーンが出店しても、慌てることはありません。
落ち着いて戦えば決して負けません(勝てるとは限りませんが)。

新規出店に負けないための手法の一つには、「酒類販売の強化」が挙げられます。

コンビニエンスストアの新規出店には基本的にお酒免許が下りません。ですので、基本的な新規出店舗に対する戦術の第一歩は『酒類』の強化なのです。
酒類といっても、ビール・発泡酒ではなく、日本酒・焼酎・ワイン等に関する商品の品揃えを充実させることがポイントです。
上述の商品群は商品知識がないと、品揃えが難しいものですが、これらの商品群の品揃えがあまりにも手薄なコンビニエンスストアのお酒売り場はあまりに
も貧弱なものです。

酒類の品揃えを手厚くし、地域で一番の酒類販売店になっておけば、たとえ隣に大手コンビニチェーンが出店してきても、お客様は2店舗を使い分けしてくれます。
『おかずを買うのはB店だが、お酒はA店』
こういう消費行動がお客様の間で生まれてくれば、売上のパイそのものは下がりますが、決して閉店になることはありません。
競合が新規出店してきた場合は、落ち着いて新店の「穴」を探しましょう。
必ず穴はあります。そのポイントに対して自店における差別化ポイントを当てはめて積極的にご商売を行えば、決して恐れることはないはずです。
(この記事は2008年4月19日に初掲載されたものです。)