MENU
×

MENU

お問い合わせ マイページ

顧客が断れない提案 その秘訣とは(5)[マーケティング戦略・営業戦略]

こんにちは、船井総合研究所の小林昇太郎です。

「URO:Unrefusable Offer(顧客が断れない提案)」構築を具体的に自社においてどう進めていくのかをお伝えしていきます。

そもそもUROとは、特別な一部の企業のみが構築できるというものではなく、皆さんそれぞれが、自社の中で構築することが可能です。
但し、これを構築するためには、これまでのような自社の商品、サービス偏重型の業務姿勢から、顧客サイドの視点に立った取り組みに全社をあげて取り組んでいかなければなりません。
この「全社をあげての顧客サイドに立った視点」というのは、かなり使い古された言葉のようにも思われますが、では実際に現状において我々自身の企業の中で行われていることが、全社をあげてのマーケット、顧客を見据えた活動となっているでしょうか。

多くの企業でよく見られることは、その企業における慣習や評価制度などを背景として、日常的に起こる部門間の対立(例えば製造業における営業部門と生産管理部門による対立)や部署内の対立(上司と部下の対立)に多くの注意を払わなければならないのが現状でないでしょうか。
そういった対立が社内に存在する限り、本当の意味での全社として、真に市場、顧客を見据えた業務ができているとは言い難いことは、容易に理解していただけると思います。
但し、この頭では理解できることが実際の行動に結びつかない、行動しようとしても中途半端に終わってしまうというのが、多くの企業における実態です。
しかし、我々は今後更に変化の激しい、よりプロダクトアウトからマーケットインに移行しつつある市場環境において、永く企業を維持、存続させていくために、どうにかしてこれまでの自社が抱えるしがらみを断ち切っていかなければなりません。

これを可能にしていく有効な手段の一つが、「5段階継続的改善プロセス」ですが、私の前回のメルマガではステップ1「営業成果の制約条件(障害となっている原因)を見つける」についての説明をさせて頂きました。
この制約条件を見極めたうえで、それ以降のステップへ進んでいきます。
ステップ2「無駄が出ないように制約条件を徹底的に活用し営業成果を出す」、そしてステップ3「さらなる営業成果を出すために他部門との連携を図る」と進めていきますが、これらステップに関しては、ステップ1で発見された制約条件の内容や、実際に改善活動を進めていく企業経営者の進め方によって、「ステップ2のみに先ず注力をする場合」や「ステップ2とステップ3を同時並行的に進める場合」もあります。

例えば、ステップ2に先ず注力する事例として、あるA社の場合、自社の営業成果を阻害している根本的な制約条件は、自社の営業部門内にあると考えていました。
すなわち、日々のA社の営業活動がブラックボックス化し、そのため営業活動に対するマネジメントも結果管理のみとなっていたために、営業成果を上げるためのマネジメント手法が分からない状態でした。こういった状況の中で、A社の営業成果を向上する活動が開始されたわけですが、実際のステップ1での「制約条件を見つける」段階において、A社の営業部門の活動の進め方によってかなりの取りこぼし(販売の機会損失)があることが判明しました。この状態を打開するためにA社では、営業部門内における営業活動をしっかりとプロセス化し、その中で「先行案件量」「リソース管理」「スピード管理」といった評価指標を明確に定義、管理していくことが、営業活動を開始してから契約に至るプロセスの中における機会損失を減らし、契約までの歩留まり率を上げることにつながると考えたのです。このA社の場合は、先ず営業部門を制約と捉え、同部門内における改善活動を徹底的に行なったのです。

次に、ステップ2とステップ3を同時並行的に進めたB社のケースですが、B社は、以前から恒常的に顧客からの要請を受けていた顕在化したニーズに取り組むことが、大きな営業成果の向上につながると考えました。
この取り組みを実施する際、営業部門といった単一の部門活動だけでは営業成果を向上させることが難しく、併せて他部門をその改善活動に従属させていく手法を当初から推進しました。
この進め方は、これまで中々応えられなかった、市場や顧客の以前からの顕在化したニーズ(製造業で言えば納期短縮等)に対して、全社として部門横断的に取り組んでいくやり方です。
これは、最初に申し上げた「全社をあげての顧客サイドに立った視点」による改善活動を可能にしていきますが、この中で、どうやって従来の方針制約を打破しながら、部分最適から全体最適な取り組みに導くことができるかが重要なポイントとなります。

顕在化した顧客ニーズがある場合は、ここまでの1~3のステップにおいて、営業成果を上げることができます。しかし、ここまでの段階で成果を上げることが難しくなった場合、また顕在化したニーズでは大きな成果が見込めない場合は、市場や顧客でさえまだよく認識できていないような潜在化したニーズを
発見していく必要があります。その際は、ステップ4へ進みます。ステップ4以降につきましては、次回の私の記事でご説明させて頂きたいと思います。

皆様の会社におかれましても、自社の営業成果を伸ばしていくための取組みを今一度、見直されては如何でしょうか。自社に継続的改善のカルチャーを根付かせながら、URO(顧客の断れない提案)を構築していく手法にご興味、ご関心のある方は、実際の進め方に関する資料を差し上げておりますので、お気軽にご連絡ください。