職業柄、さまざまな企業・組織に訪問し、お会いする機会が多くあります。訪問先も、都心部の一般企業から地方都市の一般企業、変わったところですと学校法人(幼稚園や高校)と本当に多種多様です。
最近訪問した企業・組織で、よくお伺いする相談があります。
それは……「社員が育たない」
先日もある会社に訪問した時、「社員が育たない…」と悩まれている経営者の方にお会いしました。
「研修やセミナーに参加させているのに、成長を感じない」と経営者の方はおっしゃるのです。
一方別の会社に訪問したところ、「研修やセミナーに参加はしていない。それでも社員は成長している」と言う経営者の方にもお会いしました。
社員が育つと言われている研修やセミナーを利用しているのに社員が育たないと悩む企業と、研修やセミナーを利用していないのに社員が育つ企業。
両者のちがいは何があるのか?本当に研修やセミナー利用の有無だけのちがいなのか?
社員教育以外のちがいを把握するため、前者と後者の各企業へ訪問し、調査しました。すると社員教育の実施以外でも、ちがいがありました。
それは……「育つ環境があるか」
育つ環境として見受けられた点は、下記の3つです。
【1】 経営者が各社員に「目指して欲しい・なってほしい人物像、やってほしい役割」を伝えている。
⇒社員が育つには、まずどのように育てばよいのか“目標”が必要です。目標もただ立てるのではなく、
社員の強みや良さを考慮し、簡単な目標を設定します。ポイントとしては、各社員の強みや良さを伸ばす目標を設定することです。
【2】 上記【1】で伝えた役割を発揮できるよう、成長できる仕事と場・機会を作る。
⇒上記【1】で立てた目標や役割は実践できなければ意味がありません。社員の成長には、各役割に応じた仕事と場・機会を作ることが重要です。
【3】 部下(後輩)、メンバーをつける。
⇒社員が成長するには、各社員の力だけでは不十分です。各社員に部下(後輩)をつけ、共に業務をすることで、下からの突き上げ効果もあり、より一層社員の成長スピードが上がります。
社員研修やセミナーは社員の成長にとって、効果がないわけではありません。しかし社員研修やセミナーのみで、社員が成長することは稀です。あくまで社員研修やセミナーをきっかけとし、社内で成長できる環境作りが大切です。社員が育つ環境を整備することは、社員育成の点で社長(上司)にしかできない役割でもあります。「社員が育たない」とお悩みの経営者様は、これを機に社内で成長できる環境作りを、見直して頂ければと思います。