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店頭販促を行なう時おさえなくてはいけないこと

私は前職年商130億円ほどのSP会社に6年間在籍していました。コンビニやビールメーカー、酒類ディスカウント店、大手GMS、ドリンクメーカー、菓子メーカー等の仕事を担当していました。

その中でも特に深く携わったのがコンビニと大手GMSです。売上の約9割が店頭販促、いわゆるPOPでしたからかなり売場作りの細かい部分で勝負をしてきました。
お店は何千回と見に行きました。

船井総研に入社してからは伝統的な“全品調査”というものに携わりました。顧客企業の競合各社の店舗に行き、価格や商品点数、分類を全て記録してくるのです。
1点1点数える果てしない世界です。

この前職のセールスプロモーションの仕事と船井総研における小売業の仕事で明確に答えが出た事がありました。

店頭プロモーションを行なう時必ずおさえなくてはいけないことです。
それは、

■店頭全体のターゲット分類をおさえること
■売上の構成比と売場面積比が同じになっているかをおさえること
■商品別の粗利高構成比と購買頻度をおさえること
■POPの目的別分類をおさえること

この4つです。

大手、中小企業含め、小売業の方に、店頭に行きお店のターゲット分類を答えてくださいと聞いて即答できる人が何人いるでしょうか。それぞれコストをかけて作ったPOPの目的を端的に答えられる販促担当者がどれだけいるでしょうか?
特に平場いわれるスペースにおいては曖昧になっているケースが多く見受けます。
そして売上構成比と売場面積比をある程度把握しているでしょうか。この比率が近い数字にないと売上は決してよくは無いはずです。そして商品別の粗利高と購買頻度を把握することは、集客商品と主力商品、品揃え商品を明確にすることにあります。

例えば、ユニクロの580円ニットはチラシで大きく打ち出されているかもしれません。
しかし売場に行って、580円ニットや680円ジーンズの売場が50%以上を占めているのを見たことがありますでしょうか?おそらく店頭入口付近の幅900の3段の棚段と壁面に少し置いてあるくらいだと思います。ボリュームは1990円~2990円の商品の売場構成が50%以上を占めているはずです。
なぜなら、その商品群がユニクロの売上構成のボリュームゾーンだからです。580円ニットの売場が広すぎると赤字になってしまう、もしくは今のユニクロの48%という高利益を維持できないのです。大変上手なやり方をしています。

Gが集客商品、A,D,Bが主力商品、CとEは品揃え商品というイメージです。
Gを起点に矢印の2方向へ上がっていく流れを作るのです。

店頭販促(インストアプロモーション)を行なうにあたり、何が集客商品で何が主力商品かを明確に把握できていないと、お客様を誘導する売場作りを誤り、単なる安売り店舗、もしくは総花的で特徴に欠けるお店作りになりかねません。

集客商品は約5%、主力商品は約75%、品揃え商品20%が有る程度の目安です。

この5%の商品は売場も5%ほど。しかし回転率を上げないと収益が見込めない、もしくは売場で目立たせて入店誘導を図らなくてはいけないのでPOPの展開を最大化するのです。陳列も一等地です。

今の食品スーパーはこの集客商品の比率が高まり、粗利率の低下を招いているのです。従来の集客商品が主力商品のようになってしまっているのです。このデフレ下において単価が下がるのは否めないことです。しかしそれらの商品の構成比まで上げてしまっては元も子もないのです。いかに主力商品へ動線を張るかということが重要なのです。

それを円滑に行なうためにはターゲットが明確でないと上手に展開することが出来ません。
ターゲットとなるお客様が本当に買いやすく、求めている商品や価格が揃えられているでしょうか?

店頭販促(インストアプロモーション)を考えるにあたり本来ならばこれらの事が決まっていないとPOP制作の目的がズレるはずなのです。しかしこの部分は商品部、この部分は販促部などと大手企業は分担されている為に現実的にどうしようもない部分もあるジレンマを抱えています。中小企業であるならば経営者か現場責任者(店長等)が勉強好きでこの小売の基本ノウハウを学んでいないと、ジャスコやヨーカ堂のような大型総合スーパーの出店により厳しい状況にそのままさらされてしまうのです。

この小売業の基本がしっかりしている企業や店舗は業績が下がっておらず、逆にこのご時世に上がっているという情報も入ってきます。

さて、

   ターゲット別売場の分類
   売上構成比=売場構成比
   粗利高構成比と購買頻度



を抑える事が大切とかかせていただきました。
ここまでは売場作り、商品の品揃えの要素が多くを占めます。
ここからがPOPの展開において重要なことです。

POPの目的別分類把握できていますでしょうか。
例えば流通小売業であれば下記のような分類があります。(拡大:クリックして下さい)


これらの分類が整理されておらず混在していると消費者からは分かりづらいインストアプロモーションとなります。

正確に言えば重複する部分はあってもその強弱は企業ごとに決めておかないといけないということです。

ブランディングを経営戦略の最重要課題に掲げていながら売場では価格訴求しか目にしないというのでは価格がブランディングの柱となっていることになってしまいます。


そしてPOPには下記のような目的があります。


POPの表現の中身が上記目的を十分に吟味された内容になっているでしょうか。
POPの内容となるといきなりデザインセンスや好みで判断しがちです。しかしこれは大きな間違いです。マーケティング戦略から落とし込まれ、上記の売場の構成の基本を把握した上でPOPを設置する商品を決めて消費者に適確な表現でメッセージを届けなくてはいけないのです。企業にとってはマーケティング戦略から最終的な接客やPOPというお客様との接点に至るまでには長い道のりがあります。

しかし忘れてはいけません。
お客様にとって企業から受けるメッセージや印象は、テレビ、チラシ、DM、WEBサイト、POP、そして接客から受けているのが最前線なのです。企業のそこに至る苦労など消費者はつゆ知らずです。

最後の到達地点ではなくお客様にとっては最初の接点なのです。だからここにこそ魂を込めなくていけないと私は感じます。
その為には

■店頭全体のターゲット分類をおさえること
■売上の構成比と売場面積比が同じになっているかをおさえること
■商品別の粗利高構成比と購買頻度をおさえること
■POPの目的別分類をおさえること


以上4つです。
売場が売るための場ではなくお客様を楽しませる為のプレゼンテーションする場になることを願っております。

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