昨晩のワールドカップアジア最終予選、日本 vs オマーン。
ご覧になった方も多いと思うが、全く危なげない試合運びで、3-0の完勝だった。
ホームの試合だから、当然勝たなければならない、という話はあるものの、
当然勝たなければならないプレッシャーを克服しての勝利には大きな価値があるだろう。
特に目を見張ったのは、解説でも度々取り上げられていた「ディフェンスへの強い意識」だ。
ボールを奪われたら、即座に奪い返そうと粘る、
カウンターにつながりそうな場面では身を挺したスライディングタックルで動きを止める、
複数のメンバーの連動でパスコースをつぶす、
そういった動きがほぼ90分間継続できているところに、チーム力の向上を感じた。
なぜ、そういったポイントに注目したのかというと、おそらく先月だったと思うが、
前回のワールドカップで日本代表を率いた岡田前監督がNHKの「プロフェッショナルの流儀」という番組に出演されていた際のコメントが頭に残っていたからだ。
現在は、中国スーパーリーグの「杭州緑城」を指揮している岡田氏が、
どのような考え方で組織を引っ張っているのか、という視点は、非常に興味深いものがあった。
以前は、「戦略、戦術を練り上げて、それを選手に理解させて動かす」といった方針で監督業をやっており、
それは一定の成果も上げていたということなのだが、ある時点から「本当にこのままで良いのか」という疑問と戦っていたらしいのだ。
最終的に行き着いたのが、「自分で考えて、自分で動く」チームを機能させるということ。
よって、現在率いている「杭州緑城」においても、基本的に「ああしろ! こうしろ!」と答えを教えながらの指導は殆どしていない。
選手たちが、自ら気づけるように練習プログラムを工夫している。
例えば、単純に「外(サイド)を使え!」と選手に指示するのではなく、
選手たちが練習の中で「外(サイド)を使うことが、どれだけ楽になるか、いかに大切か」を体感しながら、自分たちで気づく、
というプロセスこそが大切さというわけだ。
そのような(かつてない)練習プログラムを考え出すために、「秘密のノート」をつけており、そのノートには、日々たくさんのメモが残されているのも頷ける。
その岡田氏が、こんなコメントを残していた。
「勝敗の分け目は、細部にこそある」
前回のW杯予選から、再度、日本代表監督に就任したわけだが、その際に、以前の日本代表の試合(ドイツW杯等々)を何度もビデオで確認したそうだ。
いくつもの失点するシーンを見ながら気づいたのは、
相手に見事にディフェンスを崩されて失点しているケースよりも、「一瞬の心の隙」、
例えば、「まぁ、いっか」と諦めて追い掛けなかったように見えるシーン、で失点をしてしまっているケースの方が圧倒的に多い。
多くの人が、戦略や戦術といった部分に目を奪われがちで、
それも重要な要素ではあるのだけれども、実際の試合における勝敗は、そういう細かいところで起きているというわけだ。
この気づきが、「自分で考えて、自分で動く」ができるチームを作っていきたい、というところにも繋がっているのではないだろうか。
「自分で考えて、自分で動く」
「勝つためには細部に徹底的にこだわる」
ビジネスにおいても非常に大切な視点だ。