スポーツの世界では、試合で勝つために当然日々の練習が欠かせない。
練習を積むことで、技術を向上させることができるし、練習を積むことで、試合の際の精神力(=心)を鍛えることができる。その結果、試合で高いパフォーマンスを発揮することができるわけだ。
ゴルフをする方もたくさんいると思うが、私たちアマチュアのなかでもシングルプレーヤーもいれば、なかなかそのレベルには到達できない人もいる。なぜ違いが出るのかは明らかだ。
「コースに出る前に練習しておこう」と直前に少し練習してはみるものの、結果はいつも通りの平凡なスコアになってしまうのがアベレージプレーヤー。
「コースで成果を出すために、日々の練習を欠かさずやろう」と準備を怠らないのがシングルプレーヤー。
恐らく違いはたったこれだけの話で、そもそも上達しようという本気度が全く違う。
かくいう私もアベレージプレーヤーの部類に入っているわけで、
スコアはさておき、楽しくラウンドできれば良いという方もたくさんいるのは重々承知しているが、
ここで伝えたいのは本気で上達しようと思ったら日々の練習しかないということだ。
これをビジネスに置き換えてみよう。
営業、販売に携わる人であれば、お客さまと相対する場面が試合と考えた方が良いだろう。
管理系の部門であれば、自らの企画を通すためのプレゼンテーションの場面等が試合という感覚になるだろうか。
リーダーであれば、部下に教える場面、部下を説得する場面等も試合かも知れない。
つまり、知識やスキルを発揮する「ココ一番」の場面こそが試合だ。
では、本気で練習している人が一体どの位いるだろう。
ビジネスにおいては、接客研修、プレゼンテーション研修、コーチング研修、といった研修の場面があり、これらは練習に位置づけられるものだ。
ところが多くの研修は、「知識のインプット」に比重が置かれている。
まずは知識として習得した上で行動というステップを踏んでいくわけだから、研修自体に問題があるわけではないのだが、
一方で、(「ココ一番」の)必要な場面でなかなかうまく行動できないということも現実には多々ある。
ゴルフのアベレージプレーヤーと同様で、少し練習するだけではなかなか上達しないわけだ。
先日、ある企業の幹部に集まってもらって、「コーチング研修~実践編~」を実施した。
すでに「基本編」を受講してもらって、「新しい視点を教えてもらって大変良かった」と言っていた方々だ。
「実践編」は、その企業でも十分起こり得る事象として、「問題行動を起こしている部下を呼び出して面談を実施する」というロールプレイングを題材として用意した。
実際に始めてみると、“聴く”ことができずにひたすら話し続ける人が殆どで、
問題行動を起こしている部下が「なぜその状況になってしまっているのか」まで、聞き出せた人は皆無だった。
「基本編」で十分に学びを得た、と考えていた幹部の皆さんも、
“知る”と“やる”では大違いだということを体感し、本気で練習する必要性に気づいてもらえたようだ。
頭でわかっていることは、何となく実行できているように思いがちだ。
まずは「本当に出来ているのか」を確認できる場を持つことが必要だし、
より高いパフォーマンスを発揮するためには、本気の練習に取り組む環境づくりが欠かせない。