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[アキバレポート1]世界はOTAKUをCOOLと言う! アキバ文化は日本をリードする最先端トレンドだ

「日本で一番注目している街はアキバだ。」
先日、海外ファッションブランドの某デザイナーから、こう言われた。
いま、秋葉原の街が世界から注目されている。
世界から見れば、アキバこそ「クール」で、アニメ、地下アイドル、そして家電と、世界に通じる文化をアキバは次々と生み出しているのだ。

そんなアキバワールドは、もはやオタクだけの世界ではなくなっている。
世界が注目するその魅力はどこにあるのか。筆者は実際にアキバを視察して気づいた消費の動向やトレンド予測を数回にわたってお伝えする。

■ 新しいスタイルはアキバから生まれる

「ご主人様、お嬢様。今日はようこそアキバにいらっしゃいました。これからアキバの魅力を私がご案内してお伝えしてまいりますっ!!」

先日、10名ほどの経営者の皆様と「アキバ視察ツアー」を敢行した。

「お客様トレンド勉強会」(現:お客様研究会)という会の一環だ。
同会はこれからの消費者トレンドを掴み、経営のヒントにつなげようという趣旨で行っている。
「お客さん」のことを勉強する会だ。

室内で勉強ばかりしていても「お客さん」のことはわからないということで、街に出て時流を掴もうと定期的に視察を行っている。
訪問先は今回、世界から注目されるアキバにした。

集まった経営者達は40~60代。みなさんに聞くと、「秋葉原に来たのは40年ぶり」とか、「実は今回が初めてです」という方ばかり。
アキバのことは話には聞いていたものの、実際にその目で今のアキバを見たことがない方ばかりだった。

私達は、「秋葉原案内所」というJR秋葉原駅前にある案内所の方にアキバの案内をお願いした。
同案内所は株式会社アキバ地域活性化事業という会社が運営をしている。
2006年に設立されて以来、アキバを訪れた延べ約120万人を案内しているアキバのプロフェッショナルだ。
477_02案内は設立以来、ガイドを勤める、自称カメラオタクのマスダさん。
メイドの格好をしたマスダさんの先導のもと、私達はアキバをぐるぐるまわった。

アキバはオタクの街、アニメの街であり、家電の街、パーツの街というイメージがある。

しかし、実際には昔からある青果市場、資材置き場といったものに、アニメやアイドル、
最新のインテリジェンスビル、アイドル研修生の働くカフェ、大人のおもちゃなどさまざまなものが混ざりあっていて、
この“混ざりあい”が、街の魅力を作り出している。新旧による玉石混交という表現がぴったりだ。

混ざりあいが最大の魅力である街というのは、世界にもあまり見られない。
アキバは世界にも類を見ない、独特の空気感を持つ街へと発展しているのだ。

■ AKBカフェがアキバの情報発信拠点

今のアキバは「地下アイドル」の街でもある。
地下アイドルとはメディアにはほとんど露出せず、ライブやファンとの集いなどを活動の中心にしているアイドルのことだ。
普通の素人の女性がアキバを拠点にファンを作って、アイドルとしてデビューすることも可能なのだ。
アキバには、夢と希望を叶えてくれる、そんな懐の深さも併せ持っているのだ。

これはAKB48の影響がかなり大きい。

そこで私達は、アキバで人気のスポットになっている「AKB48 cafe & shops」を訪れた。

AKBカフェは普通に入るだけでも平日でも行列ができるほど大人気だ。
店内に集まっているのは男性客が7割で女性が3割ほど。
数人のグループで来店している客が多いが、なかには一人で来店している客もいて、
「AKBメンバーの○○が作ったオムライス」などのメニューを黙々と食べている姿が印象的だった。

店が客を引きつける理由は他にもある。店の奥にある個室だ。

2時間単位で借りられる個室の予約は、なんとチケットぴあなどで販売されている。
1ヵ月後の予約も発売された瞬間に売り切れてしまうほどの人気だ。

幸運にも、AKBファンもなかなか予約がとれないというこの「個室」で、私達はミーティングする機会を得た。
あるファンに言わせれば「それだけで卒倒する」そうで、「リア充には使って欲しくない」(※リア充:リアルな世界が充実している人)のだそうだ。
477_03個室はAKBファンにとって、ある意味、神聖な場所だ。
なぜなら、AKB48のメンバーのサインやファンへのメッセージが壁一面に書かれているからだ。

この個室にはAKB48のメンバー数と同じ16人が入ることができて、「AKB48公式のたまり場」として認められている特別の場所。
AKBファンはそれを見るだけでも興奮するのだそう、写真を何十枚も撮って帰っていた。

AKB48のメンバーが書いたたくさんの生のメッセージに囲まれて、ファン同士の語り合いができる唯一の場所。
ファンはこの部屋をなんとか予約して、ファン同士でAKBのトレーディングカードを交換したり、
AKB談義に花を咲かせたりすることに、大きな価値を感じているのだ。

ちなみにAKBカフェは4月4日に大阪・なんばにもオープンし、国内で4店舗目。アキバ文化がどんどん日本中に拡散している。

■ オタクの世界がオープンになってきた

AKBカフェで、私たちはアキバの街の歴史や変化について興味深い話を聞くことができた。

話を聞いたのはアキバに事務所を構え、海外からのアキバ視察団のコーディネーターなども行なうW氏。

W氏はアニメ、ゲーム、漫画、芸術、クリエイターなどの日本のコンテンツを世界に流布していくことを目的に、
アニメの版権を活用したプロデュース業やアニメ商品開発、Web製作、アニメフェスの企画などをする会社を経営しているアキバの経営者だ。

W氏は「アキバ文化は世界で評価されている日本の誇るべき文化である」と話す。
どの国についても「あなたの国の文化のここがクールだね」と外国の方から言われるものはなかなかないのが実情だろう。

日本については、フランスでもアメリカでも、アニメやコスプレ、アイドルを「Japan Cool」の代表格として話される。
そして、その「Japan Cool」の源はアキバだ。

しかし、W氏は「まさかオタク文化が世界でクールと言われるようなステージに上がるとは思ってもみませんでした」と話す。

W氏もエヴァンゲリオンなどのアニメや小説などのオタクであったことを自認するのだが、
まさかオタクがCoolと言われる時代が来るとは想像すらできなかったのだ。視察に訪れた経営者たちも、オタクとCoolが結びつかない様子だった。

しかし、このオタクがCoolと認識される流れは注目すべき点だ。「アキバはよくわからない」と言っているのは日本人だけだ。
世界はアキバに注目しており、アキバが生み出す経済価値、市場性に気づいている人はアキバを真剣に研究している。

日本が世界に発信できる本当の文化にまでアキバは発展していく可能性すらある。
アキバの可能性と広がりは、今後どのようにわれわれ企業に影響を与えるのだろうか。

また、消費が低迷を続けている今、人とカネを集め、話題を生むアキバの勢いを、われわれ企業はどう取り込んで、自らの成長に結びつければいいのか。
次回以降、詳細を論じていきたい。

(出典:ダイヤモンド・オンライン