中堅クラスの不動産ディベロッパーの倒産が相次いでいます。
ここ数ヶ月だけでも、積極的な展開をしていたZ社・M社・S社・R社など数社が会社更生・民事再生・自己破産など広い意味での倒産となりました。その多くは上場企業でした。
これに、建設関連企業(ゼネコンなど)を加えると、その数はぐっと増えます。原因はいくつか挙げられますが、大きなものを列挙してみると、
(1)不動産が不振のため販売数低下
過剰な供給数。地価が高い時に購入した土地、建物の材料費高騰などによる値段の上昇。景気感に影響を受けやすい、不動産市況を反映。
(2)改正建築基準法の施行
耐震強度偽装問題。時間のかかる確認申請。
(3)金融機関による貸し渋り
不動産市況低迷を受けて、マンション・戸建物件を建築販売している企業への融資審査基準が極めて厳しくなった。財務状況の良い企業に対しても、その審査結果は厳しいものとなっている。全面的にストップしている、といってもいいかもしれない。
などです。
つい先日倒産に追い込まれた某社は、売上の数%という金額を調達できず、倒産に追い込まれました。取引関係にあった全部の銀行は、追加融資を拒否し、契約を約束していたファンドからは、資金提供の契約を破棄されました。
私のお付き合い先のマンションディベロッパーでも、健全経営である今のうちから、新たな資金調達ルートを模索し始めました。不動産ビジネスはどんな企業でも資金調達が生命線です
しばらく不動産好景気が続いており、資金調達が容易な時代が続きました。その追い風に乗るように、ベンチャー不動産会社は成長し、上場を果たす企業も現れました。
実力以上の結果だったといっていいかもしれません。そこで金融機関が一気に資金融資を渋り始めました。そんな急激な変化に対応できなかった。予測はしていたでしょうが、「まさか、こんなに一気に手を引くとは。これまでの金融機関の対応はなんだったんだ。上場企業の信用はないのか?」という状況になったのではないでしょうか。この油断が倒産を招いたと言えます。
また、賃貸マンションの家賃保証ビジネス最大手で、最近は不動産ファンド運用にも力を入れていた、リプラスも倒産しました。この企業には知人が在籍しており、「危ないかも」という話を聞いていたので驚く事は少なかったのですが、この分野のガリバー企業の倒産は業界内に衝撃が走りました。
弊社コンサルタントの久木田が毎日更新しているブログ(http://www.f-reb.net/blog/)から引用してみます。
(株)リプラス(資本金38億6965万5264円、東京都港区虎ノ門4-1-28、代表姜裕文氏、従業員778名)は、9月24日に東京地裁へ自己破産を申請し、同日同地裁より破産手続き開始決定を受けた。負債は、2008年9月24日時点で約325億7057万円。
22日 IR で半期報告書提出予定日の延期及び継続企業の前提に関する事項の注記に関するお知らせが発表されていたので、そろそろかと思っていましたが。
8月の株価は80%以上の下落率。
2年前は30万円ほど値がついた株価も今は8000円代前半。
上場企業の倒産は今年に入って16社目。
まだまだ続くのでしょうか。
企業は何よりもその永続性を追及しなければなりません。売上高・経常利益高の最大化を目指して、日々の経営にいそしんでいくわけなのでありますが、その究極の目的は「つぶれないこと」なのです。
「法人」という見えない生き物を、死なせてはならない。
そのためには、金融機関との関係をもう一度見直し、財務戦略に力を入れていかねばなりません。
(この記事は2008/10/02に初掲載されたものです。)