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香港

先週、久しぶりに香港を訪れた。香港をじっくりと訪問したのは、1996年以来である。

中国返還前の当時はまだ空港も街中にあり、人ごみと雑踏の上空スレスレを、毎日たくさんの飛行機が飛んでいた。
昼はショッピングモールで高級品が売られ、夜には偽者や盗品が格安で売られている。
百万ドルの夜景を構成しているビルの中に入ると、トイレの水もまともに流れない。
英国と中国のひずみの中で、両極端に成長した都市というイメージであった。

中国変換後の香港は、中国という巨大市場の窓口として、
そして税制面の利点からシンガポールと並ぶアジアの金融市場の拠点として、
またグローバル企業のアジアのヘッドクウォーターとして、
地理上の利便性から、海上・航空輸送のハブ拠点として、目覚しい成長を遂げてきた。

逆に言えば、他に産業がなく、貿易に特化する以外道がなかったが故に、
貿易でエリアNo.1になった国(地域)ということができる。
力相応一番、長所進展の典型的な事例であると言える。

顧客のマナーの悪さが評判となり全世界で唯一赤字となっていた香港ディズニーランドも、黒字転換した。
自分たちが進むべき道が明確になっているからこそ、迷わず成長を続けることができていると言える。

さて、今回訪れた香港で際立っていたのが、内陸部の成長である。
香港にとって、内陸部の意味合いは、中国との接点である。香港と中国との接点となる都市は深セン。
重慶、上海、北京、広州に次ぐ、中国第5位の1500万人の人口を持つ大都市である。

香港の人口も700万人を超えている。
2極に集中している巨大都市の間を小さな山脈が隔てていたが、両都市をつなぐ鉄道の各駅にショッピンセンターがあり、
香港の地域住民だけでなく、香港からも集客をしている。

さらに、香港とマカオや珠海との間を橋でつなごうという構想も進んでいる。
今もフェリーでつながれており、多くの人や物が海上で移動しているが、橋でつながれば今後24時間の陸送が可能になる。

香港はすでに一つの完成された国の姿でもあり、まだまだ成長途上の国の姿でもある。
その一方で、中国の一都市という視点で見ると、あっという間に上海に追いつき、追い越された都市でもある。
このような香港に注目している日本企業は以外と少ないのではないのだろうか?

香港には、今もまだ、返還前のひずみを残した部分はたくさん存在している。香港を市場として見る必要は必ずしもない。
しかし、香港から学ぶことは大いにある。
アジアのハブ空港である香港にトランジットで立ち寄られる方もたくさんいらっしゃると思うので、ぜひ一度、入国していただきたい。

空港エクスプレスに乗れば、往復で1時間以内、1000円以内で、発展目覚しい香港を見ることができる。