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インドネシアの総選挙に注目

1.インドネシア政権の行方
インドネシアは、2004年に大統領に就任したユドヨノ現大統領のもとで、4.5%以上の成長率で安定的に成長を遂げてきました。
しかしながら昨年5月以降の新興国からリスクマネーが流出した際、
高い潜在性の一方で経常赤字体質というリスクをはらんでいたインドネシアは、
新興国の中でも特に資金の流出が大きく、
通貨・株・債権のトリプル安に陥りました。
このように、長い間インドネシアの長期的な安定を支えてきたユドヨノ政権も昨年、経済的に不安定な状況を経験するとともに、
長期政権ならではの政権内部での汚職も問題としてあがるようになってきました。

そういった状況で今月9日、大統領選の前哨戦となる総選挙が行われ、
最大野党で現ジャカルタ州知事であるジョコウィ氏が所属する闘争民主党が第一党の地位を確固たるものとしました。
正式な選挙結果の発表は5月頭まで判明しませんが、20%を獲得したという報道もなされており、
7月の大統領選挙に向けて、最大野党の闘争民主党の動きが注目されています。

2.インドネシア総選挙の意味するところ
さて、今回総選挙があった4月9日(水)、私はちょうどジャカルタにいましたが、
選挙ということで国民の休日となり、多くのインドネシア国民が実際に選挙に出かけていました。
蓋を開けてみると得票率は80%を超えていたとのことで、
今回インドネシアにとっても大きな挑戦であった民主的な選挙への国民の意識の高さを伺い知ることができます。

インドネシア国民にとって政権の安定は重要な問題です。
例えば、インドネシアの自動車購入者の65%以上はリースで購入しているといわれており、
利子率が上がることは国民の負担が増加することになります。
昨年はインフレ抑制のために利子率があがったため、本年頭の段階では自動車販売台数が低迷するのではないかという見通しが立てられていました。

しかしながら今年に入って利子率が維持され、自動車販売台数が上方修正される予定です。
今年はインドネシアの自動車販売台数はタイを上回る可能性があり、
またタイが現状インドネシアの倍の数を誇っている自動車生産台数に関しても、
現在日系メーカーの投資拡大の効果でこの5年~10年の間にタイを上回りアセアンの主要輸出拠点になるという見方もされています。

このように、まだまだ途上国であるインドネシアの経済は政府が政策を誤れば、急に成長にブレーキがかかる危険性をはらんでいます。
特にインドネシアの政権が変わると、状況が大きく変化することになるため、
4月のインドネシアの総選挙に続く7月の大統領選挙は、インドネシア経済の今後を左右する重要な選挙という位置づけになります。

3.7月の大統領選挙に向けて
インドネシアの場合、大統領選挙は直接選挙となります。
選挙権を持つ1億以上の人が支持する大統領に直接投票します。
また大統領だけでなく、副大統領とペアでの投票となります。
すでに今の段階から、闘争民主党の内部では、副大統領を誰にするかで、党首のメガワティ氏とジョコウィ氏との間で議論が起こっています。
すでに10年の任期を全うしたユドヨノ大統領は次の選挙に出馬できないことは決まっており、
新大統領が就任するという事実だけは明らかになっています。

日系企業の進出先として毎年人気が高まっているインドネシア。
その市場の規模や成長性には疑う余地がありません。
今回の大統領選挙は、日本企業がインドネシア市場への取り組みにあたって重要な影響を与えることも間違いありません。
選挙に注目し、選挙結果から今後の方向性を読み取り、場合によっては柔軟に対応していくことが今後求められるでしょう。