B to C (Business to Consumer)は、対象が一般消費者である。対象とするエリアに、どれくらいの人口がいるか、当該エリア内のターゲットの嗜好は何か?といったことを把握した上で、当該ターゲットに「欲しい」と思わせ、購買のための動機を喚起させることが、マーケティングである。
つまり、B to Cでは、マーケティングとは、売るための活動である。商圏の規模と成長性、消費者の嗜好を考えて、新規参入するかどうかを判断し、一旦取り組むと決めた場合は、マーケティングへの投資は必然であり、費用対効果を検証することが重要である。
これは、国内市場であっても、中国市場であっても、インドネシア市場であっても同じである。取り組むエリアの一般消費者に対するマーケティングを行わずに、売れる商品というのは特別なブランド力のある商品か、またはよほど希少性の高い商品だろう。
B to B (Business to Business)は、対象が企業である。企業といっても、実際は、企業の担当者であり、購買担当者、技術担当者、設計担当者、開発担当者など、いわばその道のプロフェッショナルが相手である。
プロとプロとの間で行われるビジネスであるため、ニーズは、個別に異なる。重要なのは、エリア内の消費者の嗜好ではなく、潜在性が高いターゲットの具体的な個別のニーズである。しかし、ニーズは各企業のノウハウと密接に関連しているため、本当に信頼されている一部の企業にしかニーズが開示されることはなく、簡単には具体的なニーズを開示してくれる顧客はいない、したがって、顧客のニーズを把握するためには、顧客の懐深くにはいっていくしかない。したがって、B to Bビジネスでは、マーケティングよりも、個別の営業活動が重視される。
その一方で、どの顧客もニーズが常に必ずしも満たされているわけではなく、常に新しい情報を求めている。そういった新しい情報を求める顧客に対して、自社が当該顧客のニーズを満たすことができることを知らしめることが、マーケティングである。つまり、B to Bでは、マーケティングは、売るためのきっかけづくりのための活動であるといえる。
特に、海外市場を考えた場合、できるだけ多くの企業に自社の製品・技術を知ってもらうという点で、こういったマーケティングによるきっかけづくりは絶対的に有意義である。
自社の製品・技術を欲している企業は、日本にはなくても、中国にはあるということは十分考えられる。日本には、自社製品や技術に対するニーズをもつ企業が10社しかなくても、もしかしたら、アメリカには100社あるかも知れない。
しかし、海外にある潜在顧客を自分から探しに行くのは、多大な労力がかかる。こちからかアクセスしても、相手に興味がなければ、空振りに終わる。この点について、マーケティングを活用して、興味ある顧客からアクセスしてくる「非人的な」仕組みを作れば、潜在性の高い顧客に絞って効率的な営業活動を行うことができる。
その手法としては、
1) Alibaba.comのような世界的なプラットフォームへの登録
2) 自社WEBサイトの立ち上げ
(詳細は2012/7/31「生産財の海外ダイレクトマーケティング」にて説明)
3) 業界誌・専門誌への広告掲載
4) 学会への論文掲載
5) プレスリリース
6) 展示会への出展
などがある。
重要なのは、潜在顧客に自社の製品・技術をPRすることだけでなく、実際のその潜在顧客とコンタクトをするための仕組みを構築することである。そのために、アンケート記入によりプレゼントを配布するなどの工夫が行われている。
マーケティングの目的を「売るためのきっかけづくり」と理解することにより、おのずと、自社にとって最適な、具体的な施策に落とし込むことができるはずである。