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慌てるな!駆け込み需要と増税後の需要減は前提条件

昨年十二月に発表された内閣府発表の法人企業景気予測調査結果を見ると、26年1月~3月の「貴社の景気判断」先行きに関して、全産業大企業、中堅企業は「上昇」、中小企業は「下降」という結果が提示されていました。

2014年2月5日の日経新聞では「製造業の七社に一社経常最高益」という記事は記憶に新しいと思いますが、規模が大きい企業以外では現時点の実質的な経済効果は未だ少ない印象であり、むしろ増税後の経済的ダメージを心配されている方が多いものと思われます。

かつての増税時の販売傾向を商業統計からグラフ化してみると、全業界で「駆け込み」「反落」が発生していることがイメージし易くなります。

572_02慌てるな!駆け込み需要と増税後の需要減は前提条件

(グラフをクリックすると拡大します。)
業界によって差はありますが、食品でも翌月からダメージが出ていることが確認できます。
このことから、小売業では以下のような販売動向を想定しておくことが必要になります。

a. 増税前月の前年同月比上昇は120%~140%
b. 増税翌月の前年同月比反落率は20%~50%
c. 増税月以降の12ヵ月は、前年同月比10%~20%のダウントレンド

「備える」という観点では、増税前後で大きくすべきことが異なるという認識を末端まで浸透させられるか否かがポイントになるものと思われます。
増税前は、「駆け込み対応」として機会損失の回避、つまり売る物(商品、在庫等)の確保による販売機会損失の最小化がポイントになりますが、増税後に在庫を残してしまうと、手許現金が少なくなり、支払い時期に資金ショートするリスクが高まります。

大手メーカーは今回の対応を前提とした増産設備投資をほとんどしていないので、早期に計画発注した会社か、規模の経済に対する支配力のある交渉力の大きい(購買量の大きい)会社以外はメリットが少なく、機会損失リスクが高まるイメージから、中小企業の先行き不安感が払拭できないのは当然のことと思います。
一方、増税後「買い溜めした後で買う気がない顧客の吸引」という難しい取り組みをしっかり検討しておかなければなりません。

一般的に、店舗は常にお客様が出入りしていなければ活気がなくなるため、単なる買い物ではなく、「その店舗に行くことが楽しい」という印象を持たせるというように「販売以外の取り組み」による集客を考えておく必要があります。
実施告知は来店客数がもっとも多いと予想される駆け込み時期、つまり三月にやらなければ意味がありません。

時点の商圏の中で、来店可能性の高いお客様はそのタイミングに来ているはずで、インストアプロモーションで告知するとコストパフォーマンスも良くなるものと思われます。

このような外部環境の中で、会社を受け継いで行く立場である後継者の方々とお話する時に、「夜明け前が一番暗い」というお話をしています。
先行きが見えない現在を「日の出前」と考えると、確かに最も暗いのですが、明けない夜はないのです。

このような時期に奇策で成功できる企業は少なく、各社の原点である最も強い本業領域、つまり、その企業がお取引先と約束している提供価値に集中することが大切であることをお伝えしています。
厳しい時期はリスク分散をしたくなるものですが、手元が全く見えない中、失敗しないためには「手馴れた確実性のある本業領域」への選択と集中が必要になります。

先が読めない昨今こそ、自社の強みを訴えていくようにしたいものです。