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“コミュニケーションの生産性”という考え方

この記事をお読み頂いている貴方は上司としての立場でいる時間が多いでしょうか。

それとも部下としての立場でいる時間が多いでしょうか。

そして、貴方の所属する部署、あるいは企業ではコミュニケーションが
有効に機能していると自信を持って言えますでしょうか。

有効なコミュニケーションとは、物事を前に進める為のコミュニケーションです。

しかし、有効なコミュニケーションが行われている企業は決して多くないというのが
実態ではないかなと思います。

多くの企業では

・コミュニケーションはあるが表面的であり、必要な議論や決定が行われていない
・遠慮や多忙さからコミュニケーションが避けられている
・コミュニケーションの場が設定されていない

といった理由からコミュニケーションが有効に機能していません。

そして、コミュニケーションがうまく機能しない組織は
あるジレンマに陥ってしまっていることが多いです。

そのジレンマとは、「結果に至る生産性」と「摩擦の回避」の
どちらを重視するのかというジレンマです。

上司と部下であろうと、異なる部門間であろうと、歯に衣着せずに、
論点と自分たちの主張を明確にして議論を行えば、
結論に至るまでのプロセスと時間は短くできます。
つまり、結果を出すまでの生産性は高いと言えます。

しかし、多くの組織は、他人や他部署との摩擦を避けるあまりに、
本来実行の前段階に過ぎないコミュニケーションに多くの時間をかけてしまう、
あるいは、ひどくなるとコミュニケーションを避け、議論を行わないといった事態に陥っています。

あるとき、ある中堅卸売業を営む企業様で新規事業の為のプロジェクトを立ち上げたことがありました。社運をかけたプロジェクトとして、働き盛りの中堅社員をプロジェクトメンバーとして集め、皆で毎日議論しながら事業計画書を作成していました。

ところが、進んでいく内にプロジェクトメンバーの考えている新規事業のあり方と
統括している役員の新規事業のあり方には大きなズレが発生していきました。
プロジェクトメンバーはそのことに気がついていましたが、議論の中で核心には触れず、
いつしか役員の言うことを紙に落とす作業へと変わっていったのです。
この結果、プロジェクトは大きく遠回りすることになってしまったのは言うまでもありません。

このように摩擦を避けるばかりにコミュニケーション不全に陥った結果、実行が遅くなる、
あるいは実行されずに立ち消えるといったことが多く起こっているのではないでしょうか。

外部から客観的に見ている身としては、こんなに勿体無いことはありません。

しかし、ここでは摩擦を回避することを否定している訳ではありません。
このコミュニケーションに関するジレンマは一朝一夕で解消されるものではないですし、
一定以上の摩擦を回避する姿勢は円滑な組織運営上必要なものだからです。

ただし、自分たちが、あるいは自分たちの組織が摩擦回避のコミュニケーションに
陥っていないかということを確認してみて下さい。
(特に上司の方にとってこそ、意外に落とし穴になっているはずです。)

そして、「コミュニケーションにも生産性がある」と意識することが重要です。

摩擦は回避しつつも、コミュニケーションの発信側も、
受信側もコミュニケーションにおける生産性を少しでも上げていくよう努力する必要があります。

そして、意識だけでなく、もうひとつ、実施していただきたいことは、
コミュニケーションの生産性をあげる為の仕掛けを意識的に行うことです。

コミュニケーションの生産性をあげる為の仕掛けとは
「どんな些細なことでも議論に必要なことを資料にまとめて、見える化した上で議論を行う」あるいは、
議論中にしっかりとホワイトボードに議論の内容と決定事項を記し、皆で共有するといったことです。

議論の論点と議論に必要な材料、議論の結果を明確にすることで、無駄な議論をなくせます。
当たり前のことですが、できている会議は意外と多くないのではないでしょうか。

先日も、ある会議に出席しましたが、「どのようなサービスが儲かるか」という
テーマについて材料を用意せずに議論がされており、
出席者の考えの違いが「見える化」されず、議論が空を切っておりました。

また、コミュニケーションの生産性を向上させようとする場合、
誰かがイニシアチブをとって進めなければ、良い結果は生まれません。

資料を作成する、議論をホワイトボードに整理するという行為は
ミーティングの場を支配することに他なりませんので、
是非、徹底して欲しい習慣としてお勧めします。

「なんだ、当たり前のことだな!」と思うかも知れません。

あるいは、「そんなことは知ってるよ!」と思うかもしれません。

しかし、多くの組織でコミュニケーションが有効に機能していません。

そして、「たったこれだけのコト」で組織の成果は大きく変わってきます。

是非、コミュニケーションの生産性を意識して、活動を前に進めていって欲しいです。

部下の方には攻めのコミュニケーションを、
上司の方には部下が積極的なコミュニケーションを行える環境整備をお願いしたいです。