MENU
×

MENU

お問い合わせ マイページ

今の立地選定は本当に正しいのか

人通りや車通りの多い立地を選定する。あるいはTG(トラフィックジェネレーター)の中に出店する。

新たに店舗を出店、あるいは移転する上で上記のような考え方は至極一般的ではないかと思います。また、数年前、十数年前に出した店舗にしても、「より良い立地」を探した結果、上記のような立地を選ぶことが多かったのではないでしょうか。

十年程度前までであれば、誰もが良い立地と思うような人通りの多い立地に出せば自然と収益が取れていました。

しかし、現在のような店舗過剰の中、売上が下がり、黒字から赤字へと転じてしまっている店舗も多いのではないでしょうか。更に昨今の不況の影響で、悪化傾向に歯止めがかからない店舗も多いことと思われます。

「より良い立地」に出したはずなのに赤字になってしまう、あるいは十分な収益が取れなくなってしまう。なぜこのような状況が起こるのでしょうか。そして、その選定した立地ははたして本当に「良い立地」なのでしょうか。

確かにバブル期のように、市場も成長しており、また店舗もまだまだ少ない時代であれば、良い立地だったでしょう。出店したら出店した分だけ売上も増加する時代でした。

しかし、先ほども申しましたように、市場も成熟し、十分すぎる程の店舗が出店されている現在では、いくら誰が見ても一等立地だと思われるような場所においても、収益が確保できるとは限りません。そのような場合、その店舗にとっての「良い立地」とは呼べないでしょう。自店舗にとって良い立地とは、確実に収益を確保できる立地なのです。
それでは、確実に収益を確保できる立地を選定する際に、考慮する点は何でしょうか。

店舗を出店する際に最も考慮すべき点は、「賃料比率」です。最も大きい固定費である賃料が、売上に対してどの程度の比率を占めるのかさえわかれば、出店後の収益性がどの程度となるのか、ある程度予測できます。(その他のコストである人件費等はオペレーション改善などで変動可能)

従って、収益を確保するためには、賃料比率をどれだけ下げることができるかにかかってきます。業種によっても異なりますが、売上に対する賃料比率が20%を超えるようであれば出店は止めた方が良いと思います。現在であれば、15%前後が黒字となるラインではないでしょうか。

従って、賃料比率を算出するためには、選定した立地に出店した際に、どの程度の売上が確保できるのかと、その立地を調べる必要があります。

賃料については、空いている物件があれば地元の不動産に聞けばすぐわかりますし、空いていなくても大体の相場はわかると思います。一般的に、一等立地と呼ばれるような、人通りの多い通り、車通りの多い通り程賃料は上がっていきます。あとはその賃料に対して十分な売上が取れるかどうかが重要となります。

次に、出店した際の売上を想定することですが、これは自店舗の売上と相関する指標を見出すことが必要となります。

では売上と相関する指標とは何なのでしょうか。この自店舗の売上と相関する指標を間違えてしまうと、実際に店舗を出店した際に、想定通りの売上が取れず、赤字となってしまうケースが出てきてしまいます。

一般的に間違いやすい例として、店前の通行量のみを計り、それを売上と相関する指標と決めてしまうケースです。

おそらく、どの企業様も新たに出店箇所を選定する際に、その立地における通行量(路面であれば人、ロードサイドであれば車)を計ると思います。通行量から、「この立地は○○人以上歩いているから出店可能」と定義するケースが多いようです。

もちろん上記のように通行量と売上が相関するケースは多々あります。喫茶店やコンビニ等の高頻度商品を取り扱う店舗であれば通行量と売上が比例するケースは多いでしょう。しかし、高級レストランや眼鏡店、インテリア雑貨店のような低頻度商品を取り扱う店舗であれば、店前通行量に比例しないケースが多くなります。

また、同じ業態でも店舗形態(取扱い商品)や立地タイプ(繁華街、郊外等)によっても異なってきます。この指標を間違えないためにも、しっかりと調査を行うことが重要となります。

既存店舗が存在する場合は、既存店舗の売上を使用し、その売上と相関性の高い指標を探せば良いでしょう。

既存店舗がない場合は、擬似的にはなりますが、競合店舗の入店客数を計ることで、その入店客数と相関する指標を見出せば良いと思います。(入店客数に購入率を掛けたり、商品単価を掛け合わせることで、より実売上に近い値となります)

例えば、ある小売チェーン店の立地調査を行った際に以下のようなことがわかりました。(今回は簡単に要点のみをまとめています。詳しく聞きたい方はご連絡ください)

この調査を行った企業の属する業種は、各チェーン店ごとに取扱いブランドや価格帯が異なる業種で、低単価商品を多く取り揃えているチェーン店と比較的高単価商品を取り揃えているチェーン店とでは、下図のように、店前通行量と入店客数の相関性が異なりました。

305_2今の立地選定は本当に正しいのか

低単価商品を取り扱っているチェーン店では、店前通行量が増加するほど入店客数も多くなる傾向にあったのですが、高単価商品を取り扱っているチェーン店では全く相関性が見られませんでした。

一方、高単価商品を取り扱っているチェーン店では、店前通行量ではなく、その商圏の夜間人口と昼間人口により売上が形成されている傾向が強く出ました。また、同商圏内での競合店数も強く関わっていました。

このように、自社の業態、取扱い商品によって、売上高と相関する指標は異なってきます。収益性を向上させるために、店舗のスクラップ&ビルドを考えている企業様も少なくないと思います。

今一度、自社店舗の売上が何によって形成されているのか、調べてみてはいかがでしょうか。