成果主義評価制度の構築におけるポイントをご紹介させていただきます。
船井総合研究所では、弊社コンサルタントが構築した賞与還元型の成果主義評価制度を2002年1月から運用し始めました。それまでは年功序列色が残っており、極端な例を挙げると周りの10倍稼いでも給料は2倍程度など、稼げる優秀な人材や若手社員は定着しづらい環境でした。
このような状態の会社でしたが、評価システム導入後約3年間で下記のような成果を上げることができました。
■社員数:約300人⇒約500人
■生産性:全社平均約1500万円/人⇒3000万円/人を超える部署も
■賞与 :平成15年、冬のボーナス高額妥結企業 全国1位
さて、成果主義評価制度の構築におけるポイントですが、弊社が構築のご支援をする際にご提案させていただくエッセンスの一部を下記に挙げさせていただきます。尚、これらはすべて弊社の評価システムにも反映されております。
1.成果配分原資総額の明確化
2.原資配分ルールの透明化
3.成果の評価と成果につながる行動の評価
4.降格ルールの明確化
各ポイントの詳細は下記の通りです。
1.成果配分原資総額の明確化
成果配分原資の総額を「営業利益の○%」または「基本給○ヶ月分に全社の達成率を乗じた額」など、全社業績に連動しており、かつ定量的に計算できる明確さが必要です。1.モチベーションの向上、2.個人主義への傾倒回避(「奪い合い」から「原資総額をふやすこと」にフォーカスさせることによる)などにつながります。
2.原資配分ルールの透明性
弊社の評価システムでは、個人業績から成果配分額の概算が算出できる、または希望する成果配分額を得るために必要な個人業績の概算が算出できるほど、透明性の高いルールとなっています。1.モチベーションの向上、2.納得性の向上などに寄与します。
3.成果の評価と成果につながる行動の評価
結果部分である「成果」を定量的に、プロセスである「行動」を定性的に評価する評価バランスが重要です。「成果」の評価のみを強調しすぎると1.個人主義への傾倒、2.短視眼化などのリスクが考えられます。そのため「行動」の評価には、1.全社的視点、2.長期的視点を盛り込むことがポイントになります。
4.降格ルールの明確化
「稼いだ人が報われる」ことと同様に重要なのが、「怠ける人がいづらい環境にする」ことです。ノーリスク・ハイリターンでは、ぬるま湯につかり安堵してしまう社員が必ず出てきます。「やらなければ」という気づきと同時に必要に応じて新たなフィールドを与えるなど、底上げを図るためにも信賞必罰する必要があります。
皆様の企業では、上記のポイントのうちどの程度適合しているでしょうか。
もし制度がうまく回っていないようであれば、このような観点からチェックされることをおすすめします。
(この記事は2008年5月13日に初掲載されたものです。)