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仕事をつくるのは社員

船井総研では昨年に引き続き、今年も10月にアメリカグレートカンパニー視察セミナーを開催する。
アメリカの先進的な企業を船井総研の人気コンサルタントとともに視察して、そのグレートカンパニーである所以を、学ぼうという趣旨である。

視察先候補は、Google、Facebook、Apple、Adobe、Car Max、Intel、Dream works Animation、Disney Institute、Patagoniaなど皆さんもご存知の企業である。

「グレートカンパニー」といっても、何がグレートなのかを明確にする必要があるが、
船井総研では、「社会的価値の高い理念のものと、その企業らしさを感じさせる独特のビジネスモデルを磨き上げ、
その結果、持続的成長を続ける企業であり、
社員と顧客がすばらしい会社と誇りを持つくらいの独特のカルチャーが形成されている企業をグレートカンパニーと定義している。

ここで私がポイントとなると思うのは「社員と顧客がすばらしい会社と誇りを持つくらいの独特のカルチャーが形成されている企業」というところである。

アップルの創業者スティーブ・ジョブズ氏が新製品開発のためのマーケットリサーチをしなかったことは有名な話である。
消費者がどういうものを欲しがっているかよりも、自分が作り出す製品がどうあるべきか、
という姿勢に基づき徹底的に研究が行われ、スマートフォンのような新しい製品が誕生した。
まさにセオリーなど関係なしの独特のカルチャーである。

こういった、既存の枠にとらわれない新しい開発を奨励する企業がアメリカにはいくつもある。
米国3M社には、ブートレッキング(密造酒作り)という勤務時間終了後に会社の設備を使って密かに研究を進めることを奨励する不文律があること、Googleには就業時間の20%を個人的な開発に当てるよう推奨する20% timeがあること、などは有名である。

このように企業自体が独特のカルチャーを持つと、今度は、その独特なカルチャーに誇りを持つ社員が集まってくることになる。
そうやって集まってきた社員は、企業の待遇や知名度ではなく、
その独特なカルチャーの下で自己実現をすることに魅かれて集まってきた社員である。

例えば、Googleには「世界中の情報を整理しつくす」というミッションがあり、
それを実現するための環境がGoogleによって整備されている。
Facebookにも同様に「世界を開かれた形で結びつける」という理念がある。
従業員達は、会社に雇用される、そこから収入を得るということよりも、その理念を会社とともに実現するという気持ちで働いている。

このような独特の理念の下に集まってきた社員がいる企業では、トップではなく、社員の手によって新しい仕事がうまれている。
GoogleのGmailといった代表的な商品も、天才的な経営者からではなく、
社員が20% timeを利用して自由な発想に基づいて開発されたことは有名である。

このような企業では、トップのリーダーシップは、みずから仕事を生み出すことよりも、
理念に基づいて、しっかりとした方向性を定めることにある。
しっかりと方向性が定まっていれば、理念に共感する社員の手によって、方向性に基づく貴重な仕事が生み出されるのである。

我が国の企業も今は大中小・零細含めて、グローバルに展開していかなければならない時代である。
ここで課題になるのは、マネージメントが分断すること。
日本の拠点と海外の拠点の両方をマネージメントすることが、特に中小・零細企業の経営者にとっては難しく、人選が悩みの種である。

ここで、ぜひアメリカのグレートカンパニーの取り組みを参考としていただきたい。
海外拠点のマネージャーの人選にとって重要なことは、海外の経験があるかどうかよりも、理念を共有できている人材かどうかである。
理念を共有できている人材であれば、トップの方向性さえしっかり定まっていれば、マネージメントが分断することはない。
経験は必ずあとからついてくる。

多くの企業が、海外拠点設立にあたって、経験者を中途採用して失敗している。
グローバル拠点展開といっても、企業としては一体でなければならない。
仕事は社員から生まれる。
優秀な経験者を雇用して新規拠点のマネージャーに任命しても、仕事が生まれることはまれである。
未経験でも、理念が共有されていれば、困難はいくらでも克服することはできる。

グレートカンパニーに学び、グローバル展開に際しては、
ぜひ一度、企業として存続するにあたっての社会的な使命に立ち返っていただいた上で、人選を含めた取り組み方を考えていただきたい。