WBC(ワールドベースボールクラシック)、残念ながら我らが侍ジャパンは準決勝でプエルトリコに敗れてしまい、3連覇の夢は叶わなかった。
“勝てば官軍”とはよく言ったもので、メンバーが帰国した空港で出迎えた人数はわずか100人足らず(過去2回の優勝メンバー帰国の際は1000人以上)だったようだ。
そこはスポーツの世界、しかもプロ野球の世界に身をおいている選手達からすると、さして違和感のある話でもないのかも知れない。
しかし、「ダブルスチールの是非」から始まって、「選手起用方法」、「首脳陣と選手の不協和音」等々、「なぜ勝てなかったのか?」についてのコメントが、TV・新聞等で賑わっているのをみながら、その空気感に関して「まあ仕方がないことかな」とは思いながらも、「振り返るべき点は騒がれている点なのか」について考えさせられた。
大切なことは、「次回WBCで優勝をするために振り返るべき点は何なのかを考える」ことではないだろうか。
そもそも今回の日本は、ギリギリまで出場するのかしないのかが議論されているような状況で、「日本野球界が考えるWBCの位置づけ(目的)」はいまだ不鮮明だ。日本人大リーガーが誰一人参加しなかったのはそういった点も大きいはずだ。その時々で考えうる最高のメンバーが集まる動機づけを今こそ明確にする必要があると思う。
次に、無敗で優勝したドミニカ、準優勝のプエルトリコというカリブ勢が躍進した理由を押さえておく必要があるだろう。大リーガーの存在もあるだろうが、野球の質も短期決戦で勝つことを目指して、きめ細かくなってきた。ウインターリーグ(11月~2月)という実戦の中で調整できる強みも大きい。
一方、日本は今回もなかなか調子が上がらなかったように、シーズンオフ明けでこれからがシーズンという状況だ。このハンデをいかに克服するか。
米国はこの2点が解決されないから(解決する気があるのかも不明だが)、メンバー招集に苦労しているし、集まったメンバーも来るシーズンの方が大事だから決して無理はしない。だから結果も出ないわけで、日本も同様の状況に陥ってしまうリスクが無いわけではない。
そして、本来WBC対策で導入された統一球も、“全く別もの”と言われるくらい対策にはならないことが判明してしまった。
「あの1試合」、「あのワンプレー」、「あの1球」、野球そのものの質を高めるためには、それらを振り返ることも大切なことだが、「WBCで優勝するため」という前提をおいた場合には、もっと重要なポイントが多々あることを見過ごしてはいけない。
注目されているWBCを取り上げてはいるが、ビジネスにおいても考え方は全く同様だ。
目先の見えやすいところにばかり意識が向いてしまい、重要な点を見逃しているようだと、いつまでたっても成果は出せない。
「まず何を振り返るべきなのかを考える」是非、意識してもらいたい。