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20世紀以前からあるロジスティクスの考え方

ロジスティクスを説明する際によく例に挙げられるキーワードには、諸葛孔明、ナポレオン、太平洋戦争です。

ロジスティクスの語源はフランス語で、ナポレオン時代に使われ始めた軍事用語です。日本では古くから「兵站」という言葉が使われてきました。兵站とは、わかりやすい言葉でいうと補給活動です。戦争では武器、弾薬、食糧やその他の膨大な軍事物資を調達して、最前線に必要なモノを、必要な時に、必要なタイミングで供給することが必要不可欠で、その供給のための仕組みをロジスティクスといいます。こうした考え方がビジネスに取り入れられて、現在のロジスティクスの考え方になっています。

■ナポレオンのロジスティクスは現地調達の仕組みづくり
まずはナポレオンです。ナポレオンの周辺国への攻め方は「用を国に取り、糧を敵に因る。故に軍食足るべきなり」という孫子の兵法にあるロジスティクスの考え方を踏襲し、必要な武具・用具などは自国でまかなうが、食料は敵のものを使うという考えのもとで補給戦略を展開しました。

従来のヨーロッパの戦い方もこうだったのですが、ナポレオンは敵地での調達方法、在庫拠点、そこからの前線供給方法などを仕組み化したことにより、効率的なロジスティクスを行っていたようです。これを自国から全てを補給するという考え方では、当時はうまくいかなかったのでしょう。
これを現代に置き換えると、東京の物流拠点から関西の物流拠点へ、主要商品のみ供給して在庫を確保し、それ以外の商品については現地で仕入れを行って品揃えをするというイメージでしょうか。

■諸葛孔明の攻撃力を最大化するためのロジスティクスの仕組みづくり
そして諸葛孔明は、ご存じ中国三国志の英雄で「蜀」の国から「魏」「呉」への遠征の際、ロジスティクスを重視したと言われています。諸葛孔明の戦いは中国全土を平定するための戦いであり他国に攻め入ることを主とした戦いでした。また総勢30万人の兵を率いて遠征するなど、大所帯での遠征でした。

そこで最も重要になるのが、ロジスティクスです。兵の食糧や戦うために必要な武器、弾薬をどのタイミングで、どこに、どれだけの量、補給していくかがポイントになりました。行軍は長期戦にとなることから、一度に全てを補給するにはそれだけの保管場所が必要となりますし、必要量以上の在庫をもつと、食糧が腐ってしまうこともあります。そもそも軍全体の動きが鈍くなります。そのため、適切な数量を適切なタイミングで、適切な場所に補給する計画をとっていたのです。それが計画どおりに進められないときには、行軍を取りやめる判断もしていたようです。それだけ諸葛孔明はロジスティクスを重視していたのでしょう。

■日本軍はロジスティクスを軽視した?
そして太平洋戦争で日本が敗戦した理由の一つとして、ロジスティクスがうまくいかなかったことがあげられます。日本軍は海外の遠方の国々で戦うことを前提にしていたのにもかかわらず、補給計画を軽視したことによって、前線への食糧供給、武器弾薬供給が滞ってしまったことが敗因になったと言われています。

ナポレオン時代のように、現地調達ということも行っていたのですが、計画的ではなく場当たり的なものであったのではないでしょうか。

アメリカの場合には、作戦を行うにあたって必要物資の輸送が可能かどうか、兵士一人に必要なカロリーから弾薬・医薬品の必要量を計算し、それが不可能であれば作戦を中止することもあったといいます。アメリカでは数学を用いて戦争というものを極めて合理的に考えているようです。現在、アメリカがロジスティクス先進国と言われるのも、このあたりから来ていると考えられます。