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『受注できる“提案書”の書き方』~技術論よりも大切なこと!

「受注する確率を上げるためには、どんな提案書を作れば良いでしょうか?」
営業部門のコンサルティングをしていると、こういった質問を受けることが多いです。特にB2B(法人営業)でビジネスを展開していく企業では、必ずと言ってよいほど課題に挙げられるテーマです。
「相手(顧客)が面白いと思う提案書だったら仕事になるはずですよね」
先の質問には必ずこのように答えるのですが、とは言いながらもなかなか伝わらないのが実態です。
要するに“面白い”の意味がわかりづらいわけですね。
そこで、“面白い”とはどういうことなのか、を少し深堀りしてみたいと思いますが、まずは“面白くない”提案書について考えてみましょう。

例えば、ひたすら自社の商品・サービスの機能面をアピールするような提案書は面白いでしょうか?
提案書を作る側としては、いかに自社の商品・サービスが競合他社よりも優れているのかをアピールするために、どうしてもそこを一生懸命伝えようとしてしまいます。
その姿勢は十分理解できますが、果たして自分がお客さまの立場に立ったときに、その提案書を“面白い”と感じるでしょうか?
是非、自身のお客さま経験と照らし合わせて考えてみて下さい。
「自動車ディーラーで、特に燃費の良し悪しで自動車を決定しているわけじゃないのに、営業マンから延々と燃費性能の向上について説明を受けた」
「家電量販店で、自宅に設置できる場所がないのに、大型液晶TVのメリットばかり聞かされた」
「オフィスで使っているコピーとプリンターに不満を感じているわけでもないのに、新型のコピープリンター複合機の高性能さについてアピールされ続けた」
自分の興味関心の範疇に入ってこない営業トークを聞かされるのは、どちらかというと苦痛に思うかたが多いのではないでしょうか。
しかしながら、いずれのケースも営業マンは相手を不快にしようなどとは当然思っていません。
どちらかというと、本人としては一生懸命やっているはずであり、そう考えると非常にもったいない話ですね。

さて、“面白くない”提案書についても全く同じことが言えます。
「この商品・サービスにはこんな特長があります!」というアピールももちろん大切ですが、そもそもお客さまとしては、自分の興味のないところが強調されている提案書を読まされるのは、残念ながら苦痛に感じてしまう可能性が高いかも知れません。
つまり、伝えたいことで埋め尽くす提案書は“面白くない”のです。
“面白い”提案書とは、お客さまが聞きたいことがしっかりと盛り込まれているものを言うのです。
「そんなことわかっていますよ」
「そんなこと当たり前ですよ」
クライアント先の営業マンからは、よくこういったコメントが返ってきます。
しかしながら、そういう営業マンに「じゃあ今度A社に出す提案書を見せてもらえる?」と頼んで、実際に見ると、やっぱり伝えたいこと満載の提案書になってしまっています。
「A社さんの直近の業績はどんな感じなの?」
「・・・いや、まだ調べてません。。。」
「担当は総務課長だよね?何に困ってるんだっけ?」
「・・・今のところ、特に問題はないって聞いてますが。。。」
このような関係性では、伝えたいこと満載の提案書を作る以外に道はありませんね。
どんな会社でも必ずと言っても差し支えないほど使われている「お客さまの立場に立って考えよう」という言葉ですが、、実際のところ、「お客さまの立場に立って考える」を実践できている人は思いのほか少ないのが実態です。
早く決着をつけようと、お客さまとの関係を構築する前に提案書を作るステップに持ち込んでしまい、結果として、伝えたいこと満載の提案書を一生懸命作ってしまう。
“面白い”提案書に必要な要素は、そんなに難しい話ではありません。
「お客さまの困っていることに対して、直接的な解決をもたらすものか」
「お客さまにとって関心のあるテーマで、新しい視点や気づきを提供するものか」
この2つのいずれかに当て嵌まっていれば、十分“面白い”提案書になるわけです。
そう考えると、そもそもお客さまの困っていることや関心のあるテーマを把握していることは大前提の話になります。

つまり、もっとも大切なことは、提案書を書く以前の営業活動のなかで、どこまでお客さまの真意に近づけているかどうかです。その時点での関係構築の度合いで聞きだせる情報は異なるわけですね。
「いやいや、そこにあまり時間はかけられませんから・・・」
そんな声はたくさん聞きますが、決して時間をかけようという話ではありません。
それが、わずか1回の訪問であったとしても、その1回で一定の信頼を獲得して、必要な情報を獲得する意識を持とうということです。

B2Bではありませんが、ある紳士服チェーンのトップ販売員の女性が言ってました。
「勝負は、第一印象、そして最初の1分、それからの5分、そこでお客さまとの信頼関係を築けるかどうかで、買っていただけるかどうかが決まります」
是非とも意識してもらいたいスタンスですね。
「お客さまのことをよく知っていれば、誰でも“面白い”提案書は作成できる」
提案書の書き方といったテクニック論よりも、本質的にはそれ以前の活動にこそ答があるといいう視点で取り組むことが大切だと思います。

川原 慎也
株式会社船井総合研究所 上席コンサルタント
経営者・幹部様向け/攻めるPDCAマネジメント・顧客満足度アップ
外資系自動車メーカーにて営業、マーケティングなどを経験したのち、1998年船井総合研究所に入社。年商1兆円以上の大手企業から社員3名の零細企業に至るまで、企業規模や業態を問わず幅広くコンサルティングを行っている。 PDCAを切り口に現場の行動に変化をもたらし、企業を新たな成長のステージへと導くコンサルティングが近年高い評価を獲得。