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BtoC業界から学ぶ:収益向上の基本

本稿では、一般消費者にとってなじみ深いBtoC業界(小売・飲食・サービス業)の管理職であるスーパーバイザーの仕事術を通じて、「ビジネスにおける収益向上の基本」をお伝えいたします。

★どのタイミングの売上を上げることが効率的?

店舗管理者であるスーパーバイザー職は「管理している店舗の業績アップ」がミッションとなります。
■客数が落ち込んできている。客数を上げるべきだ。
■客単価が全店舗平均を大きく下回っている。単価アップが急務だな。
■客単価が低い原因は、店舗が品揃えしている商品の平均単価が低い。品揃えを見直そう 等

上記のように、担当店舗の状況に応じて、業績改善の方法を模索していくことが重要業務となりますが、業種・業態が異なっても共通する「店舗ビジネス・業績アップの基本」というものがございます。

その中でも代表的な1つが「ピークアップ」の考え方です。

★ピーク月の売上を上げるだけで、他の月の売上アップも実現できる

564_2BtoC業界から学ぶ:収益向上の基本

上記グラフの内、青いラインが前年度の売上高曲線を示します。
グラフをみると、この企業では3月・8月・1月に売上高のピークを迎える傾向を持っていることがわかります。

さて、こうした傾向を持つ企業へのコンサルティングを行う場合、まずどこの月の業績改善から着手することが好ましいでしょうか。

「3・8・12月(ピーク月)は忙しくていっぱいいっぱいです」
「それ以外の月、特に業績が上がらない1・5・10月を何とかしたいです」

このように答えられる方が非常に多いのですが、コンサルタントの立場としては、基本的にはピーク月の業績アップの可能性を探ることから着手するようにしています。

なぜピーク月の売上アップの優先順位が高いのか?それは
【1】売上が立ち辛い月の業績アップには、多大な労力が掛かる
【2】より多くの人へ効率的に店舗をアピールするには、人がたくさん集まるタイミングがベスト
【3】ピーク月の業績アップは、他の月への高い波及効果が期待できる
以上の点が理由となります。

まず【1】については、
売上の波形が下がる理由を分析する必要があります。

売上が上がらない理由が、
■市場トレンドによるものである場合(例:引越しビジネス・3月に売上が増える)
■その他外部環境によるものである場合(例:季節、周辺大型商業施設の影響 等)
以上のような場合は、自社で売上の波をコントロールすることは至難の業となります。

つまり、閑散期は「その業種・業態に人やお金が集まらないタイミング」となっていることが予想されます。こうしたタイミングに(お客様・資金が集まらないタイミング)に、
労力を掛けた施策を行うのはあまりにも非効率と言えるでしょう。

次に【2】について、
売上ピーク月とは、より多くのお客様とお店が接点を持つことができるタイミングであると推測される月になります。よって、各種活性化施策を実行していくのであればより多くのお客様と接触できるピーク月に合わせた施策を実行していくことが効果的となります。同じ客数10%アップであれば、最も顧客が来店する月の客数を10%アップさせた方が効率的、という考え方です。

最後に【3】について、
店舗ビジネスは、基本的に「店舗を利用してくれたお客様は、一定の確率でリピーターになっていただける」という法則が成り立ちます。
※リピート施策が皆無であり、且つ利用満足度が著しく低い店舗は別ですが…

よって理論上は、ピーク月の売上高を上げることができれば一定の割合で翌月の利用者、翌々月の利用者も増加していくことが予想されるため、結果的にピークの売上を上げるだけで、その他の月の業績も向上していく効果が得られることになります。

最も売上がピークとなる月の売上アップを狙っていくことで、他の月の売上効果も期待することができるようになるのです。

しかし、一方でピーク月の売上を下げてしまった場合、全く反対の現象が発生するリスクが生じます。ピーク月以外の月の業績までもが減少してしまうリスクが生じるのです。

★売上構成における「重要月」を見極める

このように、売上を上げるためには大切となる「タイミング」が存在します。
この「タイミング」は、月間の流れのみでなく、1日の流れにも存在していることでしょう。

■1日の中では14~15時・17~18時がピークタイム
■曜日では金・土がピークタイム
■月では給料日後がピークタイム
■年間では3・8・12月がピークタイム 等

このように、ことなる時間軸の中でピークタイムは存在しています。

こうした考え方は、BtoCのビジネスのみならず、あらゆるビジネスにおいて関連してくるテーマとなります。事業を管理する立場にある皆様は、まずは「自社ビジネスにおけるピークタイムがいつなのか」を見つけてみてください。
ピークタイムの現状分析を行い、その部分を優先的に改善していくことで効率的な収益改善が可能となるのです。

吉田 創
マネージングディレクター
船井総合研究所に入社以来、様々な業種・規模のクライアントに対し、経営戦略/中経営計画の策定、ビジネスモデルの再構築、新規事業開発をサポートし、これまでの累計担当社数は300を超える。 その経験を活かし、持続的成長に向けた課題を見える化する「ビジネスモデル診断」の開発、高収益なビジネスモデル作りを目的とした経営者研究会「企業価値向上益経営フォーラム」を主宰している。