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基本戦略フレームとは? その具体的な用い方に迫る

皆さんは基本戦略フレームという言葉をご存じでしょうか?

マーケティング戦略上、最も基本とする戦略の枠組みを「基本戦略フレーム」と呼びます。基本戦略フレームでは、ターゲットとすべき市場や顧客層をセグメントし、「広いターゲット層」と「狭いターゲット層」の二軸に区分します。一方、ターゲット区分と同様、基本的な戦略区分を「差別化戦略」と「コストリーダーシップ戦略」という二軸に区分します。そうすることにより、四象限の戦略区分ができることがおわかりになると思います。
企業、あるいはSBU単位での取るべき戦略は、この四象限のいずれかに属するというのが、基本戦略フレームの考え方です。

企業やSBUの基本戦略の方向性が散漫であれば、ヒト・モノ・カネといった経営リソースが分散化し、効率的な経営効果を見込むことができません。誰を対象に、自社のどのような強みで付加価値を生み、収益を創り出していくのかを明確にしなければなりません。そのような意味で、この基本戦略フレームは重要な意味を持つのです。

企業のマーケティング戦略を立案する際、私達はまず最初にこの基本戦略フレームをベースに検討することが多いのですが、特に「差別化戦略」と「コストリーダーシップ戦略」について、誤解をされている企業が多いことに驚かされます。そこで今回は両者の違いについて、ご紹介をしたいと思います。

クライアント企業に対し、「差別化戦略とコストリーダーシップ戦略のどちらで進みたいですか?」と確認すると、そのほとんどの企業が迷うことなく前者を選択されます。「コストリーダーシップ」と聞くと、「低価格戦略」が想起され、その次に「低価格戦略は利益が圧迫される」ことが思い起こされるからに違いありません。しかし、コストリーダーシップ戦略は原材料費や外注加工費、人件費などのコスト面において競争優位を取ることであって、必ずしも価格面でのそれを意味するものではありません。コストリーダーシップ戦略は、価格戦略の必要条件に過ぎないことにご注意いただきたいのです。

この二つの戦略における違いは、多くの場合、商品やサービスが「量産品」か「受注生産品」の違いにあるといってもいいでしょう。

量産品の場合は、大量生産というスケールメリット(「規模の経済性」)と経験効果(生産に習熟するほど生産効率が向上すること)を背景にして、生産ラインコストを物価指数の低い地域や国に置くなどの工夫により、コストリーダーシップ戦略を取ることが可能です。したがって一般的には、大規模な生産ラ
インや原材料の大量仕入れなどの面において、大きな資本投下に耐えうるだけの体力を持つ企業であることが必須条件になります。

一方、受注生産品では、受注してから生産が開始されるために、スケールメリットや経験効果を生み出しにくい環境にあります。したがって、コストリーダーシップ戦略を採用することは事実上不可能ですが、逆に顧客の要望に対し、きめ細かいサービスを提供したり、仕様変更に応じることが可能になります。
高付加価値サービスを提供し、なおかつ顧客から受ける対価も高額をキープし続ける必要がありますので、差別化戦略の場合は顧客の良否が成長戦略の鍵になるのです。場合によっては価格要求の厳しい顧客は別の対応(取引停止や別事業での商品の提供など)を考える必要もあるでしょう。

本来は自社の商品・サービス特性や顧客特性に応じて、いずれかの戦略を明確に規定すべきなのですが、実際にはコストリーダーシップ戦略事業であるにもかかわらず、カスタマイズによる大幅な仕様変更を受け、大幅な赤字になってしまったり、差別化戦略商品を提案すべき顧客に量産品を提案してしまい、簡単にコンペに負けてしまったりするケースが少なくありません。
我々のターゲットがどのような層であり、ターゲットのニーズがどこにあるのかを明確にした上で、基本戦略を決定していれば、このような悲劇は半減されるに違いありません。
(この記事は2008年6月20日に初掲載されたものです。)