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中核問題の解決と企業のあるべき姿

こんにちは、船井総合研究所の川原慎也です。

前回までに、問題解決のステップとして【問題の抽出・整理】→【中核問題の発見】→【解決策の立案】→【解決策の有効性の検証】→【実行計画策定】という5つに分解することができること、そのなかでも第1~第2ステップ【中核問題の発見】までの進め方についてご紹介させていただきました。今回は残りのステップについて解説させていただきます。

“中核問題”さえ見つけてしまえば、その問題解決に注力すれば良いという基本的な考え方の部分は以前説明させていただいた通りです。しかしながら、どのようなケースにおいても問題を解決することが最終的な目的ではありません。
“あるべき姿”(=ゴール)に到達するための通過点として、その問題を解決することが必要だということに過ぎないのです。よって残りの3つのステップで注意しなければならないのは、あくまでも“あるべき姿”を見据えた上で進めていくべきだということです。

ひとつ例を上げてみましょう。ある販売会社X社では“好ましくない結果(事実)”を突き詰めていった結果、「営業スタッフの評価制度や給与体系が曖昧である」ことを“中核問題”であると結論づけました。その問題は営業スタッフの定着率の低さにつながり、営業スタッフが頻繁に入れ替わることで顧客との関係は悪化、最終的にはクレームの増加や顧客の離反につながっているということでした。

では、X社がやるべきことは何でしょうか?もちろん、中核問題を解決しなければならないことを考えると「営業スタッフの明確な評価制度と給与体系を構築すること」は必要です。ただし、それで十分だとは思えません。おそらくX社の“あるべき姿”は、「顧客との良好な関係を築くことで取引を増やし、自社の利益を拡大する」ことだと考えられます。ということは、中核問題を解決するといっても、それは“あるべき姿”に向かう最初のステップに過ぎないということであり、このことはご理解いただけるかと思います。

【解決策の立案】フェーズでは、【中核問題の発見】の段階で作った「好ましくない結果(事実)」を因果関係で結んだロジックツリーから、「好ましい結果」を因果関係で結んで“あるべき姿”に到達するまでをイメージできるツリーに変換するところがスタートとなります。

X社の例をとると、「営業スタッフの評価制度と給与体系を構築する」→「営業スタッフの定着率が上がる」→「顧客との関係が深まる」→「顧客との取引が増加する」→「X社が儲かる」といった流れになるでしょう。ただし、これだけのツリーではロジックとしてはまだまだ未完成です。それぞれの「好ましい結果」を因果関係として結ぶためには、あらたに実行すべき“施策”を付け加える必要があることに気づいていただけるのではないでしょうか。

例えば「顧客との関係が深まる」ために「営業スタッフの定着率が上がる」ことは条件のひとつに過ぎないため、「顧客情報を蓄積するデータベースを構築する」等の“施策”を付け加えていくことです。ツリーの各箇所でも同様にもれがないことを確認(“施策”を付加)できれば、ロジックツリーの完成です。

次に【解決策の有効性の検証】を行ないますが、これはロジックツリーをステークホルダーとなる方々の前で確認する作業となります。ツリーの一番下から順番にロジックを検証していくのです。

X社においては、『もし「顧客との関係が深まる」ためには、「営業スタッフの定着率が上がる」かつ「顧客情報を蓄積するデータベースを構築」しなければならない』と読み上げ、論理的に正しいと思ってもらえれば、“施策”が有効であるという判断ができます。当然ここで矛盾があれば“施策”を変更するか、あるいはあらたな“施策”を加えていけば良いわけです。

最後の【実行計画策定】フェーズでは、ロジックツリーに散りばめられた“施策”をどのような優先順位(基本的にはツリーの下部からとなりますが)で実行すべきかと、それぞれの“施策”を実現させる段取りを考えます。

X社が「顧客情報を蓄積するデータベースを構築する」状態を実現させるためには、そこに向けた阻害要因(反対する幹部や社員、構築のための費用等)を解決しなければいけません。それらの阻害要因を除去するための方策(反対勢力へのプレゼンテーションやデータベース構築費用の予算化)を中間の目的として、それを達成するための段取りをしっかりと検討することで、データベース構築までの具体的なアクションをイメージすることができるのです。
このプロセスを同様に他の“施策”に当てはめてプラン化することで、“あるべき姿”を確立するための全社的な実行計画策定が完了します。

川原 慎也
株式会社船井総合研究所 上席コンサルタント
経営者・幹部様向け/攻めるPDCAマネジメント・顧客満足度アップ
外資系自動車メーカーにて営業、マーケティングなどを経験したのち、1998年船井総合研究所に入社。年商1兆円以上の大手企業から社員3名の零細企業に至るまで、企業規模や業態を問わず幅広くコンサルティングを行っている。 PDCAを切り口に現場の行動に変化をもたらし、企業を新たな成長のステージへと導くコンサルティングが近年高い評価を獲得。