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個のトランスフォーメーションを可能にする3つのポイント

こんにちは、船井総研の濱野雄介です。
今回は、「個のトランスフォーメーション」についてお話します。
元IBMの倉重英樹氏が、プライスウォーターハウスコンサルティング株式会社(以下PWC)の会長に就任し、またたく間にトランスフォーメーションを成功させた話を例に取りましょう。

倉重氏は1993年11月にPWCの会長に就任。当時のPWCは、200人強もの社員を抱えながら、売上高は15億円で7億円の赤字という惨憺たるものでした。ところが、1997年度には、売上高は57億円を超え、社員数も334人まで増やすことに成功。

最悪の状況から一刻も早く抜け出すために、倉重氏はコンサルティング会社としてのプロフェッショナリズムを追及すべく、以下のような4つの「新ビジョン」を掲げました。

<1>ベストクオリティ・サービスを提供する
<2>経営管理分野への創造性発揮によって社会に貢献する
<3>「燃える集団」をつくる
<4>ステークホルダーに適正利潤を還元する

いかなる企業においても、トランスフォーメーションの肝になるのは、おそらく<3>の“「燃える集団」をつくる”ことではないでしょうか。

では、どのようにすれば「燃える集団」をつくることができるのでしょうか。
倉重氏が、その実現に向けて打ち出した変革プランは以下の3つです。

<1>チーム制の導入による組織構造改革
<2>デジタル化による情報共有の徹底
<3>人材開発と業績を重視した人事・報酬制度の確立

これらを見て、「なるほど!この3つこそが、組織変革のサクセスフォーミュラーだ!」と思う人は少ないでしょう。どれも昔からある概念ですし、コンサルティング会社であれば皆同じようなしくみになっています。
注目すべきポイントは、これら3つの変革プランを導入することにより、「なぜ成功したのか?」というところです。

結論を言えば、個人の意識(Will)、能力(Skill)、行動(Action)という
3つの要素全てに作用するしくみをつくることができたからだと思います。

倉重氏の具体的な取り組みとしては、例えば、今までパートナーが持っていた権限の殆どをチームリーダーに委譲し、ビジネスプランの策定と実行、商品企画や提案書の作成、顧客への提案と折衝、チームメンバーのスキル開発を自由に行えるようにしました。要するに自由で挑戦的な仕事ができる環境を整えたわけですが、さらにそれをバックアップする情報支援システムと、納得性の高
い人事評価制度が付加されたわけです。

評価制度、組織デザイン、教育制度などを再整備しても、組織変革に失敗する企業は多々ありますが、その原因の一つとして、個人の意識(Will)、能力(Skill)、行動(Action)という3つの要素に作用するしくみをつくることができなかったことがあげられると思います。つまり、「個のトランスフォーメーション」に失敗したということです。

今まで様々な形で組織変革に取り組んできたが、どうも成果につながらないという方は是非、この「個のトランスフォーメーション」を考えてみてください。

参考文献:ダイヤモンド社「プロフェッショナリズムの覚醒 ~トランスフォーメーション・リーダーシップ~」倉重英樹

濱野 雄介
船井総合研究所 プロジェクトマネージャー