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1.アパレル市場とシェアから考える各企業レベル

国内アパレル小売の市場規模は約9兆円と言われ、そのうちラグジュアリー市場規模が1兆円、トレンド市場が2.5兆円、マス市場が5.5兆円と推測されています。マス市場内のトップ企業であるファーストリテイリング社(以下ファストリ社)はユニクロ国内売上が約7800億円のため、シェア14%を占める企業といえます。続いて、しまむら社は5, 000億円(9%)、アダストリア社は1500億円(3%)と「ランチェスターのシェア理論」から考えると、しまむら以下は存在も示せないほどのポジションにいるのがわかります。

1,500億円の売上があるアダストリアでさえ、シェア理論から考えると、いつひっくり返ってもわからないポジションにいるのが現実です。日本有数のアパレル企業と言えど、ファストリ社以外はグローバルブランドのオペレーションレベル(広義での営業利益に関わるオペレーション)ではなく、ユニクロ以外はそのオペレーションの精度は大なり小なりの差はあっても、ほぼ同等のレベルといえます。しかし、ここで重要なのは大なり小なりの精度で、大きく収益に影響している点です。つまりオペレーションレベルを少しでも引き上げれば、一気に高収益に転換する可能性があるのです。

2.オペレーションレベルに差が出ている理由

それではオペレーションのレベルに差が出ている理由は何なのか?を考える必要があります。一番の原因は「過剰なアイテム数」です。その根幹にあるのが、【1】店舗の大型化と【2】ディベロッパーの要請にあります。この2点をフォーカスしても、なかなかピンと来ないかもしれませんが、この2点が収益を悪化する「過剰なアイテム数」という事実を引き起こしているのです。

店舗の大型化が招く「過剰なアイテム数」
そもそもアパレル小売業は街の商店街、路面店を中心に展開されてきました。その売場面積は10坪です。また同時代に百貨店での展開も行われており、こちらも同じく、売場面積は10坪程度。そこから時代が進み、商店街から駅前の商業施設のインストア(ファッションビル)に店舗を移し、売場面積を20坪程度まで拡大しました。そして現在、地方百貨店の衰退によりショッピングセンター(SC)が主導権を握っています。アパレル企業も、この時流に乗り、SCへと店を出店するようになり、SCでの標準的な売場面積は50坪と中型化しています。

ちなみにSCにおける平均的繁盛店の年商レベルは1億円です。もちろん集客要因(インフラなど)や商圏人口にもよりますが、一般的なアパレル企業であれば、1店舗当たりの基準を年商1億円としている企業が多いのではないでしょうか。しかし店舗面積が大きくなるにつれ、問題が噴出しました。10坪から20坪の店舗の場合、MDおよびオペレーションの変化は少なかったのですが、20坪から50坪の場合は、その世界が変わってきます。在庫の持ち方や販売手法(アテンドからセルフへ)が今までのやり方では通用しなくなったのです。

現在、多くのアパレル企業はSCでの50坪のモデルを求められています。各社はそれに対応するために、低価格帯の新ブランドや新カテゴリーを新たに追加しています。新しいブランドやカテゴリーを追加することで企業が保有するアイテムが単純に2倍、いや50坪モデルに対応するために少なく見ても3倍にはなっているのです。

過剰なアイテム数を招く「もうひとつの理由」
しかも輪をかけて、過剰なアイテム数を加速させるのが、ショップが入居する「ディベロッパーからの要請」です。百貨店業界、ファッションビル、郊外型ショッピングセンターなど、商業施設の形態により、出店するブランドを分けて欲しいという不文律により、アパレル企業は「新ブランド開発」を推し進めてきました。また新しい商業施設ほど、「新業態を出店して欲しい」という要望をアパレル企業に出すことも多く、その背景もあり、アパレル各社は不要なブランドを作らざるを得ない状況となり、会社としての「総合的な型数」が増えてしまっているのです。

過剰なアイテム数は、各商品の企画開発、投入在庫数の決定、売場への情報浸透が中途半端になってしまい、大きな「ズレ」を生みます。本部から店舗まで各オペレーションが一気通貫しなければならないにもかかわらず、各段階での「ズレ」が大きくなってしまうのです。特に本部側では、多数ブランドを立ち上げても、オペレーションをしている人員は兼務であることが多く、兼務が増えれば増えるほど、オペレーションに対する濃度が薄くなり、その濃度の薄さは収益に直結するのです。

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