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ドイツから学ぶ 【1】

日本では人口減少によるマーケットの縮小が問題視されている。少子高齢化で、すでに日本は人口減少に転じており、購買層が減少してアーケットが縮小していくため、経済成長が減速していくことは避けられないという理屈である。

ヨーロッパにも、同様に深刻な人口減少に直面している国がある。それはドイツである。ドイツの出生率は、2004年は人口1000人あたり8.6人だったが、この数字は日本とほぼ同様で、しかも、年々低下しており、ドイツの社会問題になっている。
しかし、ドイツのGDPの推移を見ると、日本同様に人口が減少しているにも関わらず、リ-マンショックの2009年を例外として、継続して経済成長をしている。必ずしも、人口が減少するから、経済成長できないというわけではないことがこのことから導き出せる。ドイツの人口が減少も関わらず、ドイツ経済の成長を支えている最大の理由が、「輸出」である。

ドイツは、世界一の貿易黒字国である。日本は貿易収支が2011年に赤字となったのに対して、ドイツは2011年の貿易収支は約2000億ドル(約2兆円)の黒字である。さらに、GDPに占める輸出の割合は40%となり世界屈指の輸出大国である。そして、ドイツのこの輸出は、中小企業によって支えられている。図1にあるとおり、輸出を行う中小企業の割合が、日本が2.8%に対してドイツは19.2%と高く、また、図2にあるとおり、売上上位10%の企業が輸出総額に占める割合を見てみても92%という日本や96%というアメリカに対して、ドイツは69%と先進国の中でも低い数字である。つまり、ドイツの輸出は一部の企業だけでなく、裾野の幅広い企業によって支えられているため、特定の大手企業のグローバルなシェア争いに貿易金額が左右されることはない。

ドイツにも、一応、中小企業という言葉があり、Mittelstand(ミッテルシュタンド)がそれに該当する。日本では中小企業は大企業に対して、規模が小さく、それだけ大企業よりも競争力が低いという解釈がなされることがあるが、ドイツでは、むしろ逆で、ミッテルシュダンドは大企業よりも競争力が高いという解釈がなされることが多い。ミッテルシュタンドは、長い歴史を通じて、一つの技術を徹底的に磨き上げているため、大企業といえども、同じ領域で勝負しようとしても追いつくことができないという。このように、ドイツは規模の大小に関わらず、国際的な競争力が高い企業が多い。

ドイツ企業が国際的な競争力が高い理由の一つとして、ドイツには、ファミリー経営の企業が多いことがあげられる。ドイツに存在する世界的な大企業にも、あえて株式を公開せずにファミリー経営を維持する企業がたくさんある。株主の利益に左右されず、自らの経営方針を追及していくことが目的である。後継者がおらず、ファミリーで株式を相続できない場合においても、自ら基金を立ち上げ、当該基金で株式を保有し、外部株主が自らの経営に口出しをしないようにしている企業もある。

また、ドイツ企業が国際的な競争力が高いもう一つの理由として、1989年の東西統合以降、厳しい国際的な競争にさらされてきたという歴史がある。東西統合後、東欧に隣接していたドイツは、東欧諸国の安い製品の影響を強く受けることになった。まさに、今日本が韓国、台湾そして中国企業の安い製品との価格競争にさらされている状況に、20年以上も前に経験しているのである。東欧やトルコの安い製品との価格競争にさらされたため、ドイツには、競争力のある企業だけが生き残り、他社と差別化できない下請に特化した企業は、市場から淘汰されざるを得なかった。その結果、規模の大小に関わらず、競争力のある企業のみが、ドイツで生き残ることができた。

今後の日本企業の成長を考えていくうえで、日本と同じく、製造業中心で、歴史の長いファミリー経営の中小企業が多いドイツ企業から、多くのことを学ぶことができる。