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海外進出ブームと海外マーケティング

中小企業のアジア進出が2011年後半から急増している。日本政策金融公庫では、海外展開する中小企業への融資が11年度は前年度の2.7倍になったとのこと。

今は、中小企業のアジア進出ブームであるといえる。

日本経済は1985年までは輸出主導型で経済成長を遂げてきた。当時は、国内に売る製品と海外に売る製品に違いはなかった。輸出の担い手は商社である。商社が、日本の優れた製品を発掘し、海外の顧客を開拓していた。日本の製品は安いが品質が良いということが強みであり、世界中で販売を拡大していった。

1970年代以降、アメリカとの間で自動車摩擦が発生し、1980年代に入って、半導体摩擦も発生した。そして、1985年のプラザ合意後は、日本企業は円高下においても輸出競争力を維持するために、必死になってコストダウンを行わざるを得なくなった。

日本企業は、コストダウンのために、アジア各国に拠点を設立した。海外で生産した製品は、円高の影響を受けない。アジアは人件費が安いので労働集約的な製品については生産コストを大きく下げることができる。

そこで、家電を始めとした耐久消費財メーカーなどは、早い段階から海外に拠点を移転していった。その結果、その耐久消費財メーカーを顧客にもつ企業も、海外に拠点を設けていった。

2000年に中国がWTOに加盟してからは、中国進出企業が増え、中国は世界の工場と呼ばれるようになった。中国から安価な製品が入ってきて、国内市場全体で供給過多・需要不足がおこって物価が低下していった。賃金が上昇しないため消費者の購買意欲も低下したままであり、商品価格を引き下げ続けなければならないというデフレスパイラルの状態になった。

一方、海外市場では、次第に韓国や台湾の企業が力をつけてきた。韓国や台湾の企業は、かつての日本のように、自国で安く製造した製品を海外市場に売り、日本製品のシェアを奪っていった。韓国企業や台湾企業は、セグメントを絞り、徹底的にそのセグメントに投資をしてスケールメリットを得ようとした。

このような形で、多品種少量の製品ではなく、大量生産品に資源を投入した結果、大量生産品では日本企業は韓国企業や台湾企業とのコスト競争で勝てなくなっていった。日本企業はさらにコストダウンをする必要に迫られた。

このように、プラザ合意以降、日本企業は、ずっとコストダウンを続けている。かつては、日本製品は、日本で売れ、海外で売れた。今は、国内市場でも海外市場でも、日本製品はコストダウンなしには、市場を獲得することが難しくなっている。

特に、中小企業は、顧客である大企業のコストダウン要請に必死になって応え続けてきた。大企業が海外拠点を移せば、それについて海外での拠点を立ち上げ、海外でもコストダウンを続けてきた。

しかし、今のアジア進出ブームは、こういった従来の流れとは、大きく性格が異なる。今、アジアに進出しようという企業は、市場をアジアに求めている。自らが日本国内で培った技術をもって、アジア市場を相手に勝負をしようという中小企業が増えてきている。

つまり、かつての日本企業が、日本で製品した世界に売り、経済成長を支えたのとは対象的に、今の日本企業は海外に直接投資し、その投資した市場で勝負をしようとしているのである。

このような大きな流れにある今、中小企業にとって、海外マーケティングがより重要になってきている。海外の顧客を開拓することが、生産財においても、消費財においても、今中小企業にとって不可欠な流れである。

日本につくった製品を海外に売る、海外につくった製品を海外で売る、いずれにしても、自らの力で顧客を開拓しなければならない。

次回は、この海外マーケティングの手法について述べさせていただこうと思う。