MENU
×

MENU

お問い合わせ マイページ

「会社が超好き」幹部が育つビジョン策定Part1

中堅・大手企業様向けメールマガジンvol.2
社員100名の壁を突破する社長のギアチェンジ

「会社が超好き」幹部が育つビジョン策定を今回と次回の2回に分けてお伝えさせていただきます。

「組織(社員数)の壁」の「100人の壁」を超えるためのポイントの1つに「マネージャー(幹部)人材の育成」が挙げられます。

社員数が増え始め、経営トップ1人だけでは目が行き届かなくなる規模になります。
このステージの企業の成長(量的、質的ともに)は「マネージャー人材の質」が一番の鍵を握っているといっても過言ではありません。

経営には“目に見える”部分と“目に見えない”部分があると言われます。

“目に見える”部分である、経営戦略、新規事業展開、新商品開発、採用・育成などの「How」がいくら素晴らしいものであっても、それらを成果につなげるための優秀な人材(マネージャー)がいるかどうか、そうした経営の“目に見えない”部分こそ差が問われます。

また、例え見かけ上は社員300名前後の企業でも、マネージャー人材の“質”が追い付かず、苦しむ企業もいらっしゃいます。

先日もトントン拍子で社員200名超え、300名までに大きくなってはいらっしゃるが、マネージャーの質的な能力不足で業績がヨコバイ、踊り場に立っている企業様がございました。

見た目は急成長して、周囲にも「すごい」と評価されている企業でも、いざ、組織の内部をみると、チームに一体感がなく、社長の意図、思いを汲み取り、自分達の会社を本気で良くしようとする「会社好き」「仕事好き」社員(幹部)がほとんど育っていない状況なんてことはよくあるのではないでしょうか。

下手に規模(社員数)が多くなった分、より変革が難しいものになります。

よく社員からこんなことを耳にすることはございませんか?
「役職者になっても、やることが増えるだけで割に合わないから、なりたいと思わない。」
「今の役職者の先輩を見ていても、全然魅力的に感じない。給料もそんなに上がるわけでもないし。」
などという声を。

そのような声が社内から挙がっている状況では、どんなにすばらしい、画期的な事業戦略、採用、育成手法等々を導入しても空回りに終わってしまうでしょう。

「100名の壁」も超えて、次の「300名の壁」ステージに順調に進む成長企業は、社員50名のステージからすでに、社員100~300名の組織マネジメントに耐えうる優秀な幹部人材育成を(無意識的な場合を含めて)進めていらっしゃいます。
社員50名未満の組織と、社員300名組織とでは、全く別物のマネジメントになります。

ですから、ここでの留意点は、社員数「50名の壁」までならば通用してしまうマネジメント手法、つまり、社長の人柄やコミュニケーション能力だけで惹き付ける属人的なアプローチでは社員100~300名組織に耐えうる本物の幹部社員は育たないことです。

より優秀な社員になるほど先のことを考え、将来の展望を明確に持ちたがります。
「この会社にいて、自分は成長できるだろうか」
「この会社に未来(展望)はあるだろうか」
「この会社にいて、自分はワクワクできるだろうか」

逆に言えば、未来を感じないところからは卒業するリスクが高くなる、とうことです。

自社の魅力ある「未来ビジョン」を示すことによって、社員(幹部)をモチベート、惹きつけることが大事になってきます。

先ほど触れました
「役職者になっても仕事が増えるだけ。少し給料が増えるが、それでは割に合わずに、別に昇進はしたくない」
と社員が抱いてしまう組織状況は、お金(給料)の問題だけで片付けられません。

むしろ、給料の問題だけで解決しようとしても「お金好き」社員は育っても「会社好き」「仕事好き」社員は育ちません。
それが後々のダメージとして組織の健全な成長を阻害します。

組織(社員)数の規模/ステージが上がるにつれて、マネージャー役に相当な負荷がかかるのは一種当り前、当然のことです。

その負荷をしんどくても、前向きに、ワクワクしながら乗り越えようとする幹部がいる「会社好き」社員(幹部)かどうかが非常に重要です。

そのためには、正しいビジョンづくりとその明示が必要です。
ここで、「会社好き」「仕事好き」「仲間好き」幹部社員が育つ未来ビジョン策定のポイントを整理させていただきます。
それは大きく5つが挙げられます。

(1)中期経営計画(中計)とビジョンは別物で分ける。

よくごちゃまぜになりがちになるのが「中期経営計画」と「ビジョン」です。
ここを明確に区別することが大事です。

中期経営計画(中計)は1~3年後の数値計画とその実現ための実践事項(タスク)を整理したものです。

この中計は、完成したての時や、社内発表する時ぐらいまでは完成した達成感もあり、心地いいものですが、時間が経つに従って、以下の2つのことが起こりがちになります。

~中計の展開で起こりやすいこと~
1)目標達成に向けて“苦しいだけ”感覚が先立つだけのワクワク感の全くない、重苦しい雰囲気に現場がなる。

2)実践内容が現実離れしすぎて“机上の空論”になり、厭世観が現場に湧き、中計内容自体が放置されたものになる。

その理由は明らかです。
「○○○○しなければならない」というタスク、つまり「How(何をどうする)」ばかりが列挙、整理されていますので、社員は自分の心だけが縛られがちになり、そこにワクワクしたものがなく、苦しい、厳しいときでもそれを乗り越えて頑張ろう、という社員のモチベーションが発露しません。

なぜ、その数値を達成する必要はあるのか?
なぜ、そのタスクをやりきらなければならないのか?
「これ(中計)って、会社のため、上司のため、社長のため?何のため?」という感じであったり、それらを仮に達成することで自分たちがどう変化する(良くなる)のかの「What(何が変わる)」もない状態になることに注意しないといけないのが中計です。

また、目標数値を達成したら報酬という給料や役職を上げる成果主義の仕組みでは、「お金好き」社員は増えても長続きしません。
そして、会社が苦しいとき、厳しいときにも組織を支えて、盛り上げようとしてくれる「会社好き」「仕事好き」幹部は育ちません。

中計とビジョンを区別する。
そして、この「未来ビジョン」を経営者が本気で考える。

「未来ビジョン」をデザインするのは社長の本質的な役割であり、これによって会社の盛衰が決まる、といっても過言でありません。

そして、このことが「100名の壁」を名実ともに突破する大きな原動力になります。

残り4項目については、次回(Part2)でご説明させていただければ、と存じます。

日本全国で400万社ある中、社員100名を超える企業はわずか1.2%、300名を超える企業は何と0.2%しかありません。

規模が大きくなることが唯一の“善”とは思いませんが、社員1人1人の事情、個性、能力、多様性を受け入れる組織にするためにはある程度の規模感は必要です。

国内にそうした企業が1社でも多く誕生するために微力ながら、弊社も精進を重ねて参りたく存じます。

最後までお読みいただきまして誠にありがとうございます。
末筆となりましたが貴社のますますのご繁栄を心よりお祈り申し上げます。

<執筆者>
株式会社 船井総合研究所 アカウントパートナー(AP)室部長
上席コンサルタント 南原 繁(なんばら しげる)

※「アカウントパートナー(AP)」とは、弊社が2020年度より新設した、
社員数300名超えの成長をサポートをするための中堅企業様対応の機能です。

南原繁
株式会社 船井総合研究所 価値向上支援本部アカウントパートナー室 上席コンサルタント ディレクター
1993年関西大学経済学部卒業後、㈱船井総合研究所入社。 入社後、流通小売業、飲食サービス業、製菓製パン業、地域遊休地開発、観光事業、企業CRE戦略、自動車販売業の幅広いフィールドを通じて、船井流マーケティングの基本ベースを習得する。 2000年より住宅リフォーム業を本格的に従事、2002年チームリーダー、2005年グループマネージャー、2010年上席コンサルタント認定、2014年住宅不動産部副部長、2017年リフォーム支援部部長。