有名ITベンチャー企業も上場するなど、最近注目を集める東京証券取引所第5の証券市場「TOKYO PRO Market」について説明します。
目次
TOKYO PRO Marketとは
TOKYO PRO Market(東京プロマーケット)という証券市場をご存じでしょうか。東京証券取引所(東証)に設置されている「第5の証券市場」といわれています。現在、東証には東証一部、二部、JASDAQ、マザーズ、TOKYO PRO Marketの5つの証券市場があります。その最も新しい市場がTOKYO PRO Marketです。
TOKYO PRO Marketと他の市場との違い
では、TOKYO PRO Marketは他の市場と何が異なるのでしょうか。
(1)プロ投資家のみが参加TOKYO PRO Marketの最大の違いは、株式を購入できるのがプロの投資家に限定されているということです。ここでいうプロの投資家とは、金融商品取引法で「特定投資家」と定義されている投資家のことで、具体的には銀行や証券会社といった適格機関投資家や上場企業などをいいます。一般の個人投資家はTOKYO PRO Marketに上場されている企業の株式を購入することはできません。
(2)柔軟な上場基準プロ投資家だけが購入できるということで、他の市場のように一般投資家保護を念頭に置かれた様々な基準や条件が緩和され、柔軟な基準で上場が認められております。まず、上場時に「形式基準」と呼ばれる数値基準がありません。たとえば東証マザーズでは10億円以上の時価総額が必要とされておりますが、TOKYO PRO Marketではそういった数値基準が一切ないため、小規模な会社でも広く上場の門戸が開かれているのが特徴です。他にも、通常、上場のためには監査法人の監査を2事業年度分受けなければならないところ、1事業年度分に短縮されてるという特徴があります。(3)J-Adviser制度通常は証券取引所が上場審査を行いますが、TOKYO PRO MarketではJ-Adviserと呼ばれる東証から認証を受けた民間企業が上場審査(上場適格性の確認)を行います。J-Adviserは上場後も上場維持のために必要な「適時開示」と呼ばれる情報開示をサポートすることを任務として定められています。
TOKYO PRO Marketのメリット
上記のような特徴から以下のようなメリットが挙げられます。
(1)上場のハードルが低くコストや時間も抑えられる上場の「形式基準」がない結果、より小規模な会社や成長途中のベンチャー企業でも上場を目指すことができます。また、監査法人の監査が1事業年度分に限られていることで、より短期間の準備期間で、かつ報酬を抑えて上場準備を進めることが可能です。
(2)オーナーシップの維持形式基準がないことから、上場時に会社は増資や株式の売却などで外部の投資家に持分を渡す必要はありません。極端には創業社長1名だけが株主という状態で上場することも可能です。これにより会社としては会社の支配権を維持したまま、上場企業としての知名度、信用といった上場のメリットを活かして事業展開することが可能です
TOKYO PRO Marketのデメリット
最大のメリットは、前述のとおり投資家が限られていることから、デメリットとしては上場による資金調達が難しいという点です。通常、上場時にIPO企業は新株を発行して市場で資金調達したり、既存株主が売出しと呼ばれる株式売却により売却益を得ることが可能です。これに対し、TOKYO PRO Marketでは上記のようなファイナンス活動は見込むことが難しく、2020年10月までで上場時に公募増資を行った会社は3社に限られています。したがって、銀行融資以外の方法で資金調達を考えている経営者にとっては最大のデメリットといえます。
TOKYO PRO Marketに上場するためには
上記のようなメリットデメリットがあるTOKYO PRO Marketですが、上場のためにやるべきことは他の市場と変わりません。最大のポイントは上場経験者から正しい情報をきちんと入手して、上場準備に速やかに着手することです。もともとIPOは情報が少ないので、間違った情報をあてにしては貴重な時間を無駄にしかねません。そのためには、弊社のような上場経験者のコンサルティングを得ることも重要と考えています。さらにTOKYO PROMarketについて詳しく知りたい方はセミナーも開催しておりますので是非ご参加ください。