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レバレッジを考えた事業計画作成[マーケティング戦略・営業戦略]

さて現在私は法人および個人向けのサービス事業会社の事業計画作成の仕事をしています。

事業計画を作成する際、重要なポイントはいくつもありますが、今回はKPI(Key Performance Indicator)のお話をしたいと思います。 KPIに分解することは、いわば因数分解に似た側面があります。小売業の売上高を例にとって考えてみましょう。例えば「客数×客単価」とすることもできますし、「1坪あたり売上高×坪数」でもOKです。もちろん「販売員1人あたり売上高×販売員数」でも大丈夫ですし、「商圏人口×マーケットサイズ(扱い商品に対する国民1人あたり消費高)×獲得シェア」でもいいのです。これらのひとつひとつの項目がKPIとなるわけです。そしてそれぞれのKPIを向上させるためには何が必要なのかを、さらにKPIに分解して検討していくといった具合です。
もちろん業績を向上させることを考える場合には、どのようなKPIを使い、どのような因数分解を行うことが最も有効なのかを考えなくてはなりません。

ちなみに上記の会社では、「サービス提供者数×勤務時間数×機械1台あたりの売上高」が最も適した分解であることがわかりました。そしてそれぞれのKPIをさらに細分化したKPIを検討しました。例えば「機械1台あたりの売上高」では「機械1台あたりの客数の増加」、「機械の稼働率の向上」、「顧客1社あたりの稼働時間の延長」、「決済方法の変更」などに分解する作業を行っていきました。

ここまでくると、次の段階ではそれぞれのKPIを向上させるための「具体的なアクションプラン」に移行し、現場での展開方法を考えたくなりますが、実は積み残しているステップがあります。ここでは、「レバレッジ(“てこ”)」の考え方が必要です。すべてのKPI
に対し方策を考えることは可能ですが、実際にKPI全てに即した打ち手を行動に移すことは現実的ではありません。効率的ではないことはもちろんですが、KPI同士でトレードオフの関係にあるものも少なくないからです。
「レバレッジ」とは前述の通り“てこ”のことですが、どのKPIを改善すれば業績への貢献度が高いのか、つまり“てこ”の原理が大きく働くのかを検討する必要があります。

レバレッジの効くKPIが判明した時点で、それらについての具体的な施策を検討し、アクションプランを練っていくことになるわけです。このようにすれば場当たり的な施策は減少しますし、思いつきで戦略を策定するなどという悲劇も生まずに済むことになりますね。

このようなステップを踏みながら事業戦略を構築することで、自社のボトルネックになっている部分を発見でき、また、どの程度成長余力が存在するのかをある程度定量的に見極めることができるのです。

皆さんの会社や部署でも、このKPIへの分解とレバレッジに基づく分析、仮説構築のステップを踏みながら、今後の戦略を構築していただきたいと思うのですがいかがでしょうか。
(この記事は2008年4月4日に初掲載されたものです。)

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