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TOC~企業の成長を阻害する3つの要因~

よく私がお邪魔させていただく指導先や研修先の企業で、経営者やリーダーの方々のお話を伺う機会が多いのですが、その話の中で「部下はいくら指導してもなかなか成果を出すことができない。言っても無駄だ。」「若い社員の多くは、お客さまに接する際の態度がひどく、常識もない。こういったことは家庭の躾がしっかりしていないことが原因で、会社ではどうしようもない。」といったことを頻繁に耳にします。

これら成果を出せない部下や、自社のお客さまへの失礼な態度などの真の原因は、本当に部下本人の資質の問題や家庭の躾といったことのみが大きな原因なのでしょうか。

確かにそういった要素も全く無いとはいえません。しかし、こういった内容の話しが頻繁に出てくる多くの企業では、隠された原因が存在するケースが多く見受けられます。

例えば、企業内における「方針制約」と言われるものです。この「方針制約」の意味としては、人間の目では確認できない、物事の見方、価値観、方式、手順や分担、組織体制、社内慣習といった制約のことであり、「制約」とはそもそも「儲け続ける」、「存続させる」といった、企業本来の目的を阻害するものを意味します。

上記でお話ししたような、企業環境のもとでは、この目に見えない「方針制約」が、個々の社員の行動や態度を決定づけていることがよくあります。

現在、似たような問題で悩まれている経営者、リーダーの方も自社において、社員自身が業務を進めていく上で、どうする事が自社にとって正しいことなのかをしっかり理解させ、その方向に社員が向かうことで、しっかりと会社として評価する仕組みが構築されているかどうかをもう一度考えて頂くことが必要でないかと思われます。

そして、これを考える際には経営者だけでなく、多くの社員を参加させ、各自がルールに基づきながら考え、気付きを起こしながら経営マインドを形成していくことが望まれます。

ある自動車販売会社の例ですが、同系列の販売会社で、同じ商品を販売しているにも関わらず販売実績の良い販社とそうでない販社があり、販売成績の悪い販社でこの原因を追究していくと経営者層が過去の成功体験に依存した販売手法に固執し、それを社内の方針とし、営業もそれに沿った形でのみ行動しているといったことが判明しました。

これも会社側の慣習や制度、それに準じた組織構造といった目に見えない方針制約が、企業の成長を阻害している事例です。

この「方針制約」の考え方は「TOC(Theory Of Constraints:制約条件の理論)」の中で紹介されている考え方です。「TOC」とは、1980年代前半にイスラエル出身の物理学者である、エリヤフ・M・ゴールドラット博士が提唱した理論ですが、あまり馴染みのない方も、この「TOC」を紹介するために数年前に出版された『ザ・ゴール(The Goal)』を読まれた方は多いのではないでしょうか。

この「TOC」の理論の中で、ゴールドラット博士は、「多くの人々は決してさぼってきたわけでも、会社に損失を与えようと意図的に行動してきたわけでもなく、ただ会社のために評価されようと一生懸命仕事をしてきただけだ」と説いています。

このことからも、社員個々人を責めるのではなく、その行動を起こさせている背景にあるものをしっかりと見極めて対処することが必要となります。

「方針制約」を含め、「TOC」では企業の成長を阻害する制約条件を以下の3つで捉えています。

1つ目は、「物理的制約」で、見たり、感じたりできる制約。製造工程のボトルネックなどはこれにあたります。

2つ目は、「方針制約」で目に見えない制約。事例で述べたような社内の規定や制度、慣習、組織構造といったことがこれにあたります。

3つ目は、「市場制約」であり、これは自社の製造能力が市場規模を上回っている場合や、市場の需要はあるが製品そのもののライフサイクルで販売が停滞している場合がこれにあたります。

「TOC」の手法を活用することで、自社が現在抱えている問題を抽出し、その中で最も影響の大きい中核的問題を見極めることで、自社に隠れている制約条件を明確にでき、その解決に向けた効果的な対策を打っていくことが可能となります。