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金融工学を利用した不動産のリスク管理

■ 受容可能なリスクと回避すべきリスクの切り分け

サブプライム問題を端とし、最近「金融工学」や「ブラック=ショールズ」という言葉を良く聞くようになりました。

金融工学とは、資産運用や取引、リスクヘッジ、リスクマネジメント、投資に関する意思決定などに関わる工学的研究と言われています。2008年のリーマンショックの一端とされることから嫌なイメージをしたり、複雑な数式を思い浮かべ顔をしかめる方も多いのではないでしょうか。

ただ、この金融工学は金融における価格設定に利用されるだけでなく、それ以外の業界においても応用可能なものであると言えます。

今回は、証券化により、一層複雑化していく不動産について、そのリスクを把握のための「不動産金融工学」についてお伝えします。
そもそも不動産金融工学には以下2つの目的があります。

【1】不動産の理論価格の提示
(価格は不動産業者の経験則から、収益性に注目した収益還元法やキャッシュフローを現在価値に割り引いて算出するDCF法が利用されるようになった)
【2】不動産のリスクを管理する
(科学的にリスクを分析し、コントロールする)

今回の提言のテーマであるリスク管理では“【2】不動産のリスクを管理する”がポイントとなります。そもそも、管理されるリスクとは損失(デフォルト)ではなく、不確実性のことを指します。つまり、損失の起きる確率ではなく、期待値の外れる度合いであると言え、その度合いを管理します。

たとえば、ある企業がマンションなどの不動産を運用し収益を求める際に、その不動産から発生する将来の収益は空室率や賃料の変動により現段階では不確実といえます。しかし、その変動は過去ある程度の幅の中に納まると想定されます。このような場合、不動産金融工学を用いることである程度損失の幅は推測できます。

また、その損失は、以下2つに分けることができます。

[1]受容できる損失(発生しても耐えられるリスク)
[2]受容できない損失(発生するとクリティカルな問題が起きるリスク)

これら2つのそれぞれのリスクへの対応策として、資金面であれば[1]受容できるリスクについては、借入金で行い、[2]受容できないリスクについては、自己資本で行うということをしておけば、万が一損失が発生しても被害を最小限にすることができます。
このように、リスクを可視化し、そのリスクについての対応を考えておくことが不動産金融工学のテーマの一つであり、今後の不動産業界にとって重要なことであるように私は思います。

読者の皆様の企業においても、所有もしくは関連する不動産のリスクを可視化し、その対策(受容、回避、転嫁、軽減)を一度考えてみてはいかがでしょうか。

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