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お店は誰のためにあるのか?

衆院解散が決まり、消費税の10%増税が2017年4月に実施されることが決まりました。さあ、ここからが本当の繁盛店になれるかどうかの分かれ目となります。これからはあらためて、繁盛店とは何か、お店とはいったい何なのかを私たちは知る必要があります。

先日、ヴィノスやまざき(静岡市)の種本祐子社長の講演を聞く機会を頂戴しました。ヴィノスやまざきさんはワインの小売では日本でもトップクラスの企業です。全国にも20店舗以上を展開し、売上も伸び続けていて、東京都内にも広尾や日本橋などの都心に店を展開している非常に有名なワイン専門店です。

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同社 ボジョレーイベントの様子

いろいろと打ち合わせも兼ねて行ってきたのですが、種本社長の講演はすごくおもしろく、あっという間の時間でした。内容はクローズドな講演会でもあるのでここでは控えますが、一点、非常に考えさせられる話がありました。
それが、

お店とお客様

についてです。

種本社長はあるときに、講演会でこのような話を聞いたそうです。

「お店はお客様のためにある」

種本社長はこの言葉にショックを受けて、経営観が変わり、そこから本当のお店づくりをスタートさせたのだ というようなニュアンスの話をしてくれました。

商売人にとっては当たり前の話ですが、この言葉を実感をもって経営していらっしゃる方がいったいどれくらいいるのだろうか?と私は感じながら聞いていました。いろんなお店を見てまわる中で、私は「これはなかなかできていない店のほうが多いぞ」と思ったのです。そして、私はお店とお客様との関係をそれから考えていました。ヴィノスさんのように「お店はお客様のためにある」とはちがうスタンスの店もよく見かけるからです。

そこで、お店とお客様との関係を私なりに整理してみました。大きく次の3つのパターンに分かれると思いました。

1.「お店はお店のためにある」

売上追求を必死でやっているお店はこうなります。

お店のためにお店がある。
だからお客様は、売上をあげるために必要だ。
お店がなくなったらお客さんも困るのだから、お店のためにお店があってなにが悪いのだ

という考え方。
そんな考え方をしている、もしくはそうなってしまっている会社もよく見かけます。これは気をつけないといけません。これに気をつけることなく、いい気になって商売をしていくと、自然と売り手発想になり、売るほうがえらいのでは?と勘違いし、やることなすことすべてが「売上を上げるために」という目的のみになっていきます。これではお客様に喜んでいただくお店にはならないでしょう。お店はお店のためにあるのではないのです。

2.「お客様はお店のためにある」

売上をあげるためにお客様が必要なのであって、とにかくお客さんを集めよう、お客さんに買ってもらおう、お客さんがきたら一瞬たりとも逃さず売りつけよう となっているお店です。

売上を上げるための貪欲さはいいですが、お客様からはそっぽを向かれてしまうことにつながります。こうなったらもうお店はだめです。お客様は売上を上げるための「手段」となりますから、お店は存在意義を失います。このようになったらお店はつぶれてしまいます。

3.「お店はお客様のためにある」

お店の存在意義はこの言葉に集約されます。お店がお客様のためにないのであれば、誰のために商品を探し、誰のために一生懸命に働くのでしょうか。

ヴィノスやまざきさんの社員が世界の奥地まで、本当に大変な思いをして、細い山道を抜けて、必死の思いで、おいしいワインを仕入れるんだ というワインにかける熱い気持ちを持って仕入をしています。だから低価格でおいしいワインをたくさん品揃えできています。お客様に喜んでもらいたいからそんな仕事ができるのです。

もしこれが、お店のため、お店の売上のため、自分たちの喜びのためだけであれば、いいワインを仕入れ続けることはできなかったでしょうし、ヴィノスやまざきさんの成長はなかったはずです。

企業のトップが、「お店はお客様のためにあるのですよ」と社員に訴え続けたからこそ、今日の成長があるのです。トップが何を語りかけるかは本当に重要だと実感するお話でした。

いま私は来年の3月ごろの発刊に向けて、「繁盛店をつくるための本(仮称)」を書いていますが、そこに書いている内容はまさにこれなのです。

いかにお客様にとって魅力的なお店を作れるか。

ここに尽きます。

多くの人たちに価値を届けるのが、お店の役目です。その手段がセールスというわけです。セールスを練習して、実践していけばお客様に喜んでいただけることにつながります。

・売ることとは、お客様に価値を届けること
・お客様からいただくお金は、お客様の「ありがとう」が形になったもの

売ることは良い事です。お客様のために売るのです。だからお客様のために商品を仕入れて、お客様に喜んでいただくことがお店の目的です。これができたお店は繁盛店になっていくのです。

売るというのは価値ある行動ですが、その本来的な意味を理解しないと、売るという行為は押し売りになってしまいます。

年末に向けてますます繁忙期となり、日々、売ることばかりに目がいきますが、私たちの仕事の本質は「お客様に価値を届けることにある」ということをぜひ忘れないように日々の仕事に取り組んでいただきたいと思います。

岩崎 剛幸
株式会社船井総合研究所 上席コンサルタント
経営者・幹部様向け/情熱経営・トレンドから学ぶ企業ブランディング
「組織は戦略に従う。戦略は思い(情熱)に従う」というコンサルティング信条のもと、出会うすべてのお客様に対して、情熱を込めたコンサルティングを行う。コンサルティングテーマは、「永続性を実現させるブランド戦略」。アパレル業界を専門領域として、アパレルメーカーの戦略立案、新業態開発を得意とし、SPA専門店、百貨店、GMS、品揃え型専門店にいたるまで川上から川下までのコンサルティングを実施している。現在はアパレル企業のブランド戦略づくりに特に力を入れている。立教大学兼任講師。 【ブログ】「丸の内で働く情熱コンサルタントのブログ」