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小売業の販売促進における測定・分析[マーケティング戦略・営業戦略]

販売促進は、消費者の行動変化によって効果を直接的に測定できることはよく知られていますが、単に売上実績や粗利実績評価、消化数量評価にしてしまうことが多いものです。販売促進のプロセスをコントロールしていく上では、PDCAサイクルをうまく回していく必要があります。チェックをし、次のアクションを変化させていくためには、実施後の評価の仕組みを事前に組み立てておくことがポイントになります。

効果測定には、大手広告代理店が実施している広告到達効果(媒体計画案により獲得できるリーチ、フリークエンシー、等)測定の総合システムもありますが、一般の小売店の場合にはなかなかそこまでの取り組みを設定できないものです。高度な技法を利用した測定は非常に重要ですが、頻度多く取り組むことは困難です。本来の測定、分析の目的は、業務プロセス及び業務成果を改善することにあります。つまり、業務改善を速やかに推進するための分析であり、日常的に実施されるチラシ等の運用において、簡単に対応していくことができることがポイントになります。

【販売促進における測定、分析の設定事例】
今回は、家具専門店の中でシーズン商品である「学習机」に関しての測定、分析に関する取り組み事例をご紹介させていただきます。学習机は、小学校入学前の児童の多くが記念品的に購入する商品で、最盛期は2月~3月になります。これは、過去3ヶ年の販売数量データ分析からも明らかでありましたが、販売促進と売場展開と実際の売上時期に差があることは昔から言われておりました。

早期から売場を組み立て、地域顧客に存在をアピールしていないと、最盛期の受注に影響するという考え方です。新年度の販売促進を設定していく上で、まずこの要素の判定をしました。過去の数字を前提に、顧客の購買動向を整理しながら、かつての販売促進活動の評価を進めた形になります。この時には、データマイニング手法の決定木(decision tree)を利用しました。過去の販売データのうち、確認可能な事実を振り分けしつつ、各階層のテーマによる購買動向を推測するデータとして活用しました。これによって、ある程度の取り組みと売上の関係を整理し、どこまでの対応をしていくのかを設定しました。

細かい内容は別として、この時に抽出されたもののうち、販売動向に明確に影響する因子は次のようになりました。

(1)早期陳列と同時に早期チラシを配布することは、期間内販売数を増加させる
(2)品質の伝わる写真を利用し、5万円以下の強力な商品がないと消化数が伸びにくい
(3)最低価格商品そのものは売上、消化台数には貢献しないが、存在しないと全体売上にダメージが現れる

このようなことを前提として、次年度の学習机販売促進計画を立案しました。ターニングポイントごとに測定する指標は、業務成果そのものの改善を意識したものでなくてはなりません。また、統計的手法によって裏付けられるという条件を満たす上では、市場シェアからのアプローチも有効です。弊社ではマーケットサイズ(1人当り年間消費支出額)を利用して、シェア算定をしております。対象店舗の市場規模をマーケットサイズ×ターゲット商圏人口で算定し、年商をそれで割るとシェアを算定することができます。

販売促進を進める上で、非常に簡単に進捗状況が確認できるため、日々の業務の中で測定していくことができます。測定、分析の目的は、あくまでも業務改善のためであり、結果を確認した後に何をしていくかが最大のポイントです。品質マネジメントシステムの考え方(業務におけるプロセスアプローチ)を販売促進に取り込むことで、販売促進のPDCAサイクルが善循環するイメージはご理解いただけたことと思います。

細かいプロセスの改善を推進するプロセスアプローチを、販売促進業務に適用していくと、販売促進そのもののシナリオの精緻化が進み、結果を測定、分析し、課題を構成する真の原因の追求が容易になります。このことによって、販売促進業務の継続的改善が、より推進しやすくなることは言うまでもありません。大切なことは、現在の業務プロセスを見極め、期待した結果を導くプロセスを測定・分析し、改善していくことです。結果だけの判断ではなく、その結果を導いた原因を追求しやすくするためにも、プロセスを確認していくことは重要です。

中野 靖織
株式会社船井総合研究所 上席コンサルタント
経営者・幹部様向け/2世育成のための経営戦略ノウハウ・事業承継
戦略の立案から展開、定着まで、経営全般にわたり幅広いコンサルティングフィールドを持つ。主にコンシューマー向け企業の現場における具体的な活性化業務に従事し、メーカーの営業戦略立案、展開サポートに多くの成功事例をもっている。 JRCA登録QMS審査員補。