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名医から学ぶ仕事の考え方【2】~心臓外科医・須磨久善氏の「リーダーシップ」~

前回に引き続き、尊敬する須磨先生から学んだ気づきについてお伝えします。今回のテーマは「リーダーシップ」です。

10年近く前の会話の記憶になりますが、須磨先生にリーダーシップについてお聞きしたところ、いろいろな角度でお話をしてくださいました。その中で、最も印象的であった点についてお伝えさせていただきます。

須磨先生は世界的に名前が知られるようになり、海外の病院に招聘されるようになります。それこそカバン一つで病院を訪れ、そこで初めて出会うスタッフと手術を行われます。命に関わる外科手術で、しかも時間が限られた中で、チームワークを構築する必要に迫られますが、その時に何が大切になってくるのか?

須磨先生のお答えは、「リーダーであるドクターはゴールを明確に設定し、スタッフの能力を見極め、役割分担を実施すること。スタッフは、自分は何ができて、何ができないか、何を助けてほしいのかを明確にする能力が必要。」とお話されました。

当時、私はチームリーダーとしての役職についたばかりで、がむしゃらに張り切ってはいましたが、先生のお言葉は強く胸に刺さりました。リーダーとして、大きく見せたい、何でもできると思われたいという周りの評価ばかりを気にしていた時期なので、自分自身も、周りも、部下も真っ直ぐに観ることができませんでした。

そのような“出来るふり”は、真剣な現場では全く通用せず、邪魔になるだけです。一人の役割を背負った人間として、自分の長所は何で、得意技は何であるのか。自分が今できないことは何かをはっきりさせることで、はじめて自分の役割が明確になり、周りに役立つことができるのだということを気づかされました。

最後に、特に若手のリーダーに参考になる須磨先生のインタビュー記事を記載いたします。

■手術とは?チームリーダーリーダーとは?
手術というのは、手術室に五十人入れてみんなでやろうというわけにはいきません。本当の少数精鋭で、執刀するのは一人か二人です。ですから、一人ひとりの能力が完成されていて、しかも気持ちがひとつにつながっていないと、目標が達成できません。

心臓手術の場合の目標とは、きちっとした手術をするということだけでなく、どれぐらい早くできるかという時間の問題があるのです。同じ手術でも、二時間でやるのと、四時間でやるのと、六時間でやるのとでは、結果が全然違います。

外科医がいくら急いでやろうとしても、それを手伝う人たちがついてこなかったら、素早く終わらせることはできません。ですからサッカーやバスケットや野球みたいに、スターティングラインナッブの人数と各自のポジションが決まっていて、みんながその通りにきちんとこなせるかどうかが重要なのです。

初めての手術でも、一から十まで全く新しいことをやるわけではなく、今までやってきたことの組み合わせの中に、幾つかの新しいやり方があるわけです。基本的には、普段の手術できちんとしたことができていれば、何とかできると思います。そのためには、今までやってきたものをどういうところでどう組み合わせて使っていくか、その中でどの部分が新しくて、その新しいところをみんながそれぞれどういう役割で動くのかということが重要です。それを教えるのがチームリーダーの役割です。

松下 和彦
株式会社船井総合研究所 シニア経営コンサルタント
大学、高等学校、中学校、小学校等の学校法人をメインフィールドとして、広報戦略・ブランド戦略の策定~展開サポート、改組に関するコンサルティング、教職員の現場変革等、多岐にわたりプロジェクト責任者として豊富な経験を持つ。現在、「日本再生は教育から」をビジョンに、日本を再生するリーダーを輩出する学校づくりに邁進している。教育関連の業界団体等での講演実績も多数。学校法人プロジェクトチームの統括者。最近では、学校再生&再建、独自化した学部・学科の新設、改組など、大型プロジェクトが増え、現在、新しい高等学校の設立支援に尽力している。