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『いざという時に“動ける”社員を育てる』~なでしこジャパン佐々木監督の戦略に学ぶ

来月(9月7日)、4回目の開催を迎える「つかえるBCP(事業継続計画)セミナー」だが、
これまでに参加された企業の方々と話をすると、

「もともとBCPは作ってたんだけど、あの震災の日には殆ど役に立たなかった。」

という声を数多く聞いた。

それ以来、BCPやリスクマネジメントの観点では、
「いざというときに“動ける”人、“動ける”組織」をいかにして作れば良いのか! を大きなテーマとして、コンサルティング先のサポートをしているのだが、
そんなときに手にして、「なるほど」と思ったのがこの本。

『なでしこ力 さあ、一緒に世界一になろう!』(講談社)

皆さんもすでにご存知の通り、チームで国民栄誉賞を受賞した“なでしこジャパン”を率いる佐々木監督の著書。
まず驚いたのが、この本は2011年1月29日に発売されたのだが、
その時点で「世界一」を手に届く目標として明確に語っていることであり、
それは佐々木監督が掲げたというよりも、選手たちが自ら掲げた目標だということだ。

本を読んで、学ぶべきと感じた佐々木監督のリーダーシップが2点ある。

ひとつは、「選手たちが“勝てる”イメージを持てる戦略をつくったこと」。

なでしこジャパンは、世界の強豪国と比較するとどうしても体格面で劣ってしまう。
通常、ディフェンスは「中央を突破されないように」ボールを外へ出す方向へ動くわけだが、
なでしこの場合は外からのセンタリングで空中戦に持ち込まれると弱い。
よって、敵にサイド(外)を使われるよりも敢えて中央にボールを出させて、
それを技術力で奪って攻撃に転じる、という戦略を打ち出した。
そのための4-4-2システムだし、そのための澤選手ボランチ転向だったわけだ。

もうひとつは、「戦略を実行できる選手を育てるために、実戦と振り返りを徹底したこと」。

敵に対して、「中央へ“誘い水”を出してボールを奪う」といっても、実際そう簡単にいく話ではない。
奪うためには、25m走らなければならなかったりする訳で、当初は「間に合わない」という声も出たようだ。

しかし、「その25mは動き出しの速さで20mに縮まるし、15mに縮まるかも知れない。要するに、瞬時の判断力を高めれば出来ないことじゃない。」と、試合のたびにビデオを観ながらミーティングで振り返り、
その瞬時の判断力に対する意識を高めることで、実際にボールを奪う体験も増えていった。

その繰り返しが、自分たちは“動ける”という自信、戦略に対する確信へと変化していったのだと思う。

これは、BCPでも全く同じことだ。
「勝てるイメージを持てる戦略」は「事業の継続を確信できる計画」と置き換えられるし、
「実行できる選手を育てるための実戦と振り返り」は、
「いざという時に“動ける”社員を育てるための訓練と振り返り」ということに置き換えられる。

冷静に考えれば当たり前の話だが、「練習せずに動ける人などいない」ということだ。
こういった観点から、「つかえるBCP」のアウトプットは以下のポイントを重視している。

【1】 「“訓練”計画書」に落とし込むこと
【2】 計画づくりに際しては、その企業の各部門からメンバーを募ったプロジェクト体制を構築すること
【3】 責任者は取締役以上が務めること

川原 慎也
株式会社船井総合研究所 上席コンサルタント
経営者・幹部様向け/攻めるPDCAマネジメント・顧客満足度アップ
外資系自動車メーカーにて営業、マーケティングなどを経験したのち、1998年船井総合研究所に入社。年商1兆円以上の大手企業から社員3名の零細企業に至るまで、企業規模や業態を問わず幅広くコンサルティングを行っている。 PDCAを切り口に現場の行動に変化をもたらし、企業を新たな成長のステージへと導くコンサルティングが近年高い評価を獲得。