MENU
×

MENU

人材不足の今、考えるべきシステム化【4】

業務効率を改善するためにシステム開発をするわけですが、そのシステムによる効率改善が会社にとってメリットをもたらさない場合もあります。 近年は技術がかなり進歩し、システム会社に依頼すれば、だいたいのことがシステム化可能という結論となります。しかし、コンサルタントの立場からすると、絶対にシステム化してはいけない業務というものがあります。

それは、「他の会社には真似できない業務」です。アパレル業界でいうと、デザインのシステム化はよく検討されるシーンがあり、最近では優秀なパッケージシステムも多く存在しますが、例えば斬新でスタイリッシュなデザインを競争力としている会社はデザインをシステム化してはいけません。効率は格段に向上することでしょうが、会社の独自価値であるコアコンピタンスを手放す判断となり、経営には致命的なダメージをもたらしてしまいます。

この場合は、在庫管理や人事評価、品質管理等のシステム化を検討し、いかにデザインという「他の会社には真似できない業務」に時間を避けるかを考えるべきです。それから、競争力の担保とは別に、その業務がシステム化に向いているかという観点でも気をつけなければなりません。システム化する業務によっては、コストをかけた割に、逆に業務が煩雑となり、想定したよりもパフォーマンスが向上しなかったというケースもあります。

以下は、システム化に向くと考えられる業務の特徴ですので、社内にこういった業務がないかどうかご検討してみて下さい。

(1)定期的に同じパターンの作業が発生する
(2)複数の単純作業によって構成される
(3)印刷物が多い
(4)情報量の増加により業務が煩雑になる

上記に1つ以上該当すれば、システム化するメリットがあると考えられます。

また、業務のシステム化を検討することは、例えシステム化による解決が適切だという結論に至らなかったとしても、現状の業務効率を把握する上で非常に有効です。日常の業務に慣れてしまうと、費やす時間が増える一方の面倒な作業であっても、「これが当たり前」という感覚になりがちです。特に繰り返し行っているデータの入力や計算といった単純業務は、時間をかければできてしまうため、改善の必要性を実感しにくいことが多いです。 
 
これをシステム化の視点で考えると、まず、どこにどれだけの時間が費やされているのかを計測・算出するステップからスタートします。システムの改修や導入は、現状の業務を明確に把握するところから始まるからです。すると、いつの間にか業務効率が悪化していたり、利益を生み出さない作業に膨大な時間が割かれていたりといったことに気づくことができます。

また、現状の業務を把握する手段として、業務フローを書き出すことも有効です。他部署との連携が必要な業務の場合は特に、業務フローが定まっていないうちにシステム化することはできないからです。業務フローに問題を抱えたままシステム化しても、高速で問題が起きてくるだけです。単に業務フローを書き出すだけでなく、どこに潜在的な不満や課題があるのか、という視点を持つように心がけましょう。

千葉 龍之介
株式会社船井総合研究所 
筑波大学理工学群にて高等学校教諭一種免許状(数学)を取得後、同大学のシステム情報工学研究科を修了。 前職は大手通信教育会社のエンジニアであり、ICTを活用したデジタル教材のアプリケーション開発を担当。 会員の専用端末から取得できるログデータから、学齢や習熟度別に最適な教材の開発に結びつけ、毎月全国にアプリを配信していた。リアルタイムのオンライン講義では自らが講師を務めた経験もある。 船井総合研究所に入社後は、ビッグデータの解析結果に基づくニーズ分析や商品開発提案等のプロジェクトに従事している。学校分野では、新学部・学科設立時の学生確保のシミュレーションや、ICT教育サービスの改善提案を得意とし、国公立、私立、塾を問わず多くのプロジェクト経験を持つ。