MENU
×

MENU

お問い合わせ マイページ

スターバックス・オーストラリアから撤退から学ぶ:繁盛店作りのコツ

■スターバックスがオーストラリアから撤退する理由
スターバックスがオーストラリアから撤退することが各誌ニュースで報じられました。
スターバックスがオーストラリアから撤退する理由(2014年7月3日 Yahooニュースより)
要約すると

・オーストラリア市場には本格エスプレッソが浸透しており、数多くの競合店舗が存在していた
・カフェ店タイプは、本格派バリスタがいるこだわり店から安価チェーン店に至るまで、その種類は様々
・上記競合店の商品は品質が高いことに加え、価格もスターバックスより安価であった
・市場でのシェアが獲得できなかった点に加え、法規制により店舗運営コストも高くついていた

以上の要因が重なり、スターバックスは撤退を決断したと報じられています。
オーストラリアにはエスプレッソ文化が浸透していたようなので、カフェ市場規模も大きかったことが予想されます。

スターバックスとしては、その市場規模の大きさに魅力を感じてオーストラリア展開を決断したと想像されますが、想定していた以上に競合環境は厳しく、期待していたシェアを獲得できなかったことがオーストラリア市場からの撤退を決断させたのでしょう。

■国内レベルでも、地域特色に合わせた戦い方が求められる
スターバックスの事例はグローバルにおける成功事例も、各国の状況に合わせて適合し、業態を調整しなければ、その土地で成功を収めることは難しいことを学ばせてくれる事例といえますが、この話は国内においても当てはまる事例と言えます。

例えば
・名古屋発祥のチェーンが東京に進出する
 ⇒名古屋と東京では味の好みに差異が生じる可能性がある

・郊外型大型店舗を得意としていた企業が、都市型駅中に店舗を構える
 ⇒商圏範囲が異なるため、競合店のタイプや販促方法・買い物スタイルが変化する可能性がある

・都市型小型路面店を得意としていた企業が、郊外に大型店を構える
 ⇒地元密着型の商圏となるため、土地によっては客層に偏りがでる可能性がある

・近隣に競合店が多く存在する(その代わり商圏人口も多い)立地に初めて出店する
 ⇒競合店対策の方法がこれまでと異なり、戦い方が変わる可能性がある

このように「今までとは異なる商圏でビジネスを展開する場合」については、その商圏特性に応じて店舗としての戦い方を変える必要が生じる場合があります。

■チェーンストアにおける地域順応事例
例えば一見同じ店舗フォーマットに見えるコンビニエンスストアでも、出店する立地に応じて実は店舗フォーマットは複数用意されています。

スーパーマーケット大手のベイシアは
・売場面積6,000~8,000㎡・総合的品揃えを行う「スーパーセンター」
・売場面積2,500~3,000㎡・食品特化&地域最安値目指す「スーパーマーケット」
・売場面積4,000~5,000㎡・食品中心に実用衣料、生活消耗品も扱う「フードセンター」
・売場面積500~800㎡・小型スーパー「ベイシアマート」
といったように、出店するエリアの競合環境に応じて最適なフォーマットでの展開を行っています。

また、飲食チェーンの例としては「餃子の王将」や「富士そば」が店舗別に立地に合わせた独自メニューを展開し地域内でのシェアアップを図っています。昨今のように少子高齢化・店舗間競合激化時代においては上述したように、チェーンストアにおいても店舗別に微妙な変化をつけていくことは差別化要素を生み出すためには必須といえるでしょう。

■立地別の店舗分析から、特色を見つけよう
チェーンストアは
・各店舗共通施策の展開による効率化
・一定の水準で安定したサービス提供
・成功事例の水平展開
以上が基本となることは言うまでもありません。

店舗別に独自の取り組みを行うことは場合によってはブランドイメージを損なうリスクや非効率を生み出してしまうリスクをはらんでいることも事実ですが、商圏環境に合致している施策であれば地域の方により一層支持いただける店舗にレベルアップできるチャンスを得ることもできます。

「特定エリアの売上が計画よりも低い」
「立地環境は同等のはずなのに、あるお店の売上が低い」

こういった店舗がある場合は、商圏調査を行い売上不振の要因を分析してみるとよいでしょう。原因が、競合店舗数の多さなのか、市場規模の小ささ(人口の少なさ)なのか、店舗ハード(店舗サイズ・立地・視認性等)なのか、多角的な視点からチェックを行い、原因究明をすすめましょう。

※先述したスターバックスの事例に当てはめるとオーストラリア市場をあらかじめ分析していれば、または店舗展開から1年以上経過した時点で商圏調査を行い 「競合店舗の多さ」「市民の嗜好性」を理解していれば、別の店舗展開を検討することもできたかもしれませんね。

現状課題を把握することが地域内で適合し、繁盛店をつくるための第一歩になるのです。

吉田 創
マネージングディレクター
船井総合研究所に入社以来、様々な業種・規模のクライアントに対し、経営戦略/中経営計画の策定、ビジネスモデルの再構築、新規事業開発をサポートし、これまでの累計担当社数は300を超える。 その経験を活かし、持続的成長に向けた課題を見える化する「ビジネスモデル診断」の開発、高収益なビジネスモデル作りを目的とした経営者研究会「企業価値向上益経営フォーラム」を主宰している。