■単価アップが求められる時代
日本の人口が今後、減少トレンドに転じていくことは周知の事実かと思います。
今後、国家政策により、「女性の社会進出」「外国人労働者の受け入れ」は促進していくことが想定されますが、そうしたシナリオを見込んだとしても日本国内の生産人口自体が減少トレンドに転じていくことは想定済みのようです。
こうした将来予測に対して、店舗を構えている企業は、どのような対策を講じていく必要があるのでしょうか。
シンプルな考え方の1つが、「客数アップが難しいのであれば、単価アップを目指す」という考え方です。
仮に、今までは1日1,000人のお客様に来店していただいた店舗があったとして、平均客単価が400円だったとしましょう。
上記のような店舗において、平均客単価が500円に上がったとしたら、どうなるでしょうか。
1,000人×400円=40万円であった1日当りの売上が、
1,000人×500円=50万円の売上になります。
1日当りの売上が10万円上がるということは、
365日換算にした場合
10万円×365日=3,650万円の売上アップが見込めることになります。
仮に、粗利率が30%の企業であった場合、
客単価アップ前=4,380万円の粗利が、
客単価アップ後=5,475万円の粗利となり、
1,095万円の粗利アップが実現される計算となります(125%アップ)。
上記計算式は、非常に単純な計算式です。
店舗を構えている企業は、どの企業も
「今の客数のままで、客単価が○○円増えたら、どれだけ業績改善ができるだろう」
とお考えのことでしょう。
本項では、客単価アップを実現するためのヒントを、近年のトレンドになっている「エナジードリンク」市場の成功から考察してみたいと思います。
■エナジードリンクが市場に受け入れられた理由
最近、コンビニの飲料コーナーには、当然のようにエナジードリンクが並んでいます。
・メジャーなブランドとしては、
・レッドブル
・モンスターエナジー
・バーン
・ライジン etc
様々な種類のドリンクが並んでいます。
(※個人的な見解としてはモンスターエナジーが高評価です)
コンビニ市場で受け入れられた要因は様々あると想定されますが、重要な視点は以下3点であると想定されます。
【1】既に土壌はあった
⇒リポビタンD等の栄養ドリンク剤は広く普及していた
【2】商品単価が適度に高いことが、小売店から高評価
⇒商品単価アップを目指したい店舗にとっては、導入してみたい商品
⇒小売店サイドも導入に積極的であった
【3】新たなマーケットであった
⇒既存カテゴリーとのバッティングが少ない
⇒さらに、若年層の獲得も見込める商品
以上のような理由が絡むことでエナジードリンクの市場は拡大していったものと推測いたします。
こうした事例は稀有だと言えますが、店舗展開を行う企業が、上記事例から学ぶ、
単価アップのヒントはどこにあるのでしょうか。
■単価が高い商品を販売するためのポイント
今までよりも高い商品を顧客に購入していただくことを考えるときに大切な視点は
【1】素材が違う(さらに、一般消費者でもわかりやすい味やサービスの違いが感じられる)
【2】商品開発までのプロセスが違う
【3】商品に与えた価値が違う(仮に原価が高いものではなくても、ストーリー次第では高いものも売れる)
いずれかの要素を満たす必要があります。
上記要素を満たさない状態で単価アップを実現した場合、ほとんどの場合で顧客から支持を得ることは困難でしょう。
ただ、
「素材は以前よりも高品質なものに変えたのに、売れない…。」
「今までよりも手間隙をかけて製造したことで、味は確実に向上したはず。なのに売れない…。」
「ブランド価値を持たせるストーリーを作り、大々的にPRした。なのに売れない…。」
こうしたケースは世の中にいくらでも存在しています。
なぜ、高単価商品を販売するためのポイントをおさえていても、売れないケースが発生してしまうのでしょうか。
■まずは自社のポジションを明確に把握しよう
商品のヒットには、様々な要素が関係します。
よって、上述した①②③の要素を満たしたとしても、外部環境の影響により、ヒットしない場合もあることでしょう。
ただし、外部環境の影響を除いた場合、多くの企業が陥りがちなのが、「現状把握なき商品開発」を行ってしまうことです。
自店舗が展開している商品・サービス・ブランドは市場でどのように認知されているのか?
競合と比較した場合の評価は、どの程度なのか?
今後あらたに展開したい商品・サービス・ブランドの競合はどこになるのか?
こうした情報を「定点的」に把握している企業が、商品のライフサイクルが短くなった現代においても、ヒット商品を生み出し続けることができる「強い企業」であると考えます。
・こうしたプロセスが現時点で構築されていない
・「次の一手」を生み出すための素材集めに投資していない
(※決して、右脳的・感覚的な商品開発を否定しているわけではありません)
上記のような状況に当てはまる企業は、一度、自社をゆっくり見つめなおす時間を確保してみてはいかがでしょうか。
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