現在、多くの中小企業では「(人が)採れない」「(人が)辞める」「(人が)育たない」といった“人材3大課題”に直面しています。「団塊世代の離職」「少子高齢化の進行」等の外部環境変化により、日本国内の就業可能人口が減少傾向にあることがその背景にありますが、こうしたトレンドは今後も継続していくことが想定されています。
このような環境下において、企業が持続的に成長していくためには、“人材から選ばれる会社”になる必要があります。そのため、昨今では企業における従業員満足度が重視されておりますが、弊社調査の結果を見ていくと、「従業員満足度を高めるために効果的な打ち手」を誤解している企業様が多いことが明らかとなりました。本稿では、従業員満足度アップのために重要と考えられている打ち手における「誤解」と「真実」をお伝えさせていただきます。
「福利厚生」「給与」「賞与」を改善しても、満足度は上がらない?
誤解を恐れずに言うと、従業員満足度が低い中小企業において、最短で満足度アップを実現したいと考えた場合、福利厚生の改善から着手することは非効率といえます(もちろん業界平均よりも著しく福利厚生が低い企業であった場合はその限りではありませんが)。
以下に掲載している表は弊社が実施した従業員満足度調査の分析結果になります。「総合満足度アップに最も重要な項目ランキング1位」は「この会社の社員は自身の職種や業務内容に誇りを持っていると思う」という結果でありましたが、最も影響度が低い項目は「この会社の手当(住宅手当・家族手当など)は充実していると思う」という結果となりました。
※詳細結果をご希望の方は、別途お問い合わせください。資料を送付いたします
本結果は、会社の手当を軽視することを意味しているわけではなく、「本項目のスコアを改善したとしても、会社に対する総合的な従業員満足度アップには直結しづらい」ということを意味しています。それよりも、従業員満足度を高めたい企業においては、まず自身が担当している仕事に誇りを持っていただくための打ち手を実践すべきと言えます。
または、「自身の意見が言いやすい環境づくり」「従業員が会社から必要とされていることを感じられるシーン作り」等も、満足度アップを目指す上では重要な指標となります。なお、こうした結果となる背景には、「多様な働き方・ライフスタイルの登場(お金が全てじゃない働き方の登場)」「従業員の自己実現欲求の高まり」が背景にあると言えるでしょう。
満足度アップに直結する項目を見極めよう
先述した、「総合・従業員満足度」と「項目別・従業員満足度」の相関性分析より、総合満足度を高める上で最も重要となる項目は「この会社の社員は自身の職種や業務内容に誇りを持っていると思う」であるとお伝えいたしました。この結果は、船井総研が定義するグレートカンパニー※を対象に従業員満足度調査を実施した際の分析結果となります。
〔※グレートカンパニーの定義についてはこちらより〕
http://funaifound.or.jp/activities/%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%88%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%83%91%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%82%A2%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%89/
一方で、各社個別に相関性分析を見ていくと、業種・業態・規模等の条件により、総合満足度アップを実現する上で最も優先度が高い項目は異なります。例えばスタートアップの企業では、老舗企業では、成長途中の企業では、といった具合に、企業ステージ別で結果が異なる可能性や、BtoB業界、BtoC業界で異なる可能性もあります。
自社にとっての、従業員満足度アップに最も繋がりやすい評価項目は何なのか、知りたい方は、是非一度調査の実施をご検討されてみてはいかがでしょうか。