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「改善」ではなく、「変革」する経営をするか
私たちは、国内で30年続く低成長時代でも伸び続ける中堅企業(社員数100名〜)は何が違うのか?を
延べ100社超のヒアリング、分析の分析をして参りました。そうすると、社員100名超えてから成長が鈍化する企業が散見されているように感じます。
伸び続ける企業と鈍化する企業、何が違うのか?
いろいろと要因が整理させて出してきましたが、一つ挙げますと(「改善」ではなく)「変革」事項をどれだけ社内で走らせているか、ということがあります。
「改善」と「改革」の区別する
「改善」とは、1〜2年先の成果を出すための取り組み(重要度が高く、緊急度の高いもの)。
「変革」とは、成果が定まるのに最低3年はかかる取組み(重要度が高いが緊急度の低いもの)。
企業はついつい「変革」事項を後回しにしがちです。目の前の「改善」事項の中に「変革」事項が溶けてなくなる状況が起りがちです。
「変革」事項の代表的なものの一つが「DX」です。このDX化への取り組み度、姿勢が企業の
「変革」に対しての姿勢のバロメーターになると考えています。
以下より、ある企業の実例を挙げさせていただきます。
最近5~6年で売上3倍、社員100名足らずから300名を
超える成長を遂げている企業の経営者のお話です。
今後の永続的成長、社員数拡大のために全社的なDX化の検討に昨年秋頃から入られました。
DX化コンサルティング、DXデジタルツール提供企業複数の話を聞き、精緻な情報提供、提案を受けて検討を重ねました。
DX化見送りの本質的な理由
結論は、今回はいったんしばらく見送るという判断になりました。
理由は、DX化の本質は現状の業務オペレーション全体の変革が目的であり、DXツールを導入すること自体が目的になってはいけない。現状の業務オペレーションの棚卸し(要件定義)を徹底的に行って、現状業務をどのように変革したいかを明確にしてからDX化に踏み切る、という判断でした。
あと一つ付け加えると、自社の目指す方向性をしっかりグリップしないまま、外部のDXコンサルや開発業者の任せることは、DX化のためのDX化になってしまう、というお考えでした。
ポイントは、DX化を下手に先送りしたわけではありません。早急に、現状のビジネスモデルを含む業務オペレーションの整理と、今後の変革すべき内容の方向性を固める取り組みに着手されていらっしゃいます。これらの方向性を固めた上で、思い切ったDX化、DX投資に踏み切られる予定でいらっしゃいます。
DX化を考える上で大事なポイントは、
「DX化をデジタルツール選びからは入らずに、“業務オペレーション全体の棚卸し”と“その変革”と考えること」です
ついつい、「どのデジタルツールがいいか」という視点から入りがちです。ツールは日進月歩で新しいものがどんどん入ってきます。1年前は良かったと思っていたものが、どんどん新しいものが出てきます。ツール選定ありきから入ると、目先の情報に振り回されがちになります。
あくまで、DX戦略の本質は、「業務オペレーション全体の棚卸しとその変革」です。事業部単位、部署毎の業務オペレーションの現状の棚卸しを行い、あるべき理想の形は何なのかの“変革ポイント”を整理します。そして、そのフローにその時々に最適なツールを選定する。そして、適時、良いものが出たら柔軟に入れ替えます。
DX化は「変革」のごく一部分
DX化に関係なく、事業そのもののオペレーションの「変革」に取り組むことは企業経営者の大きな役割の一つです。間違いなく言えることは、業務オペレーションが10年経って変わっていいないところは市場の競争に確実に負けます。
「DX」という表面的な言葉に踊らされずに、「変革」事項を本質的な「今の同じやり方、事業、〇〇〇のまま5〜10年過ぎるとダメになる」という純粋な危機感から、絶えず企業、組織の適切な「変革」事項を整理して、絶えず、走らせているかどうか、が大切になってきます。
実は「変革」事項は、事業軸だけの話ではありません。組織軸、人財(組織)開発面も同様です。
社員数が100名超えると、どんなに正しい戦略、方法もやるのは社員です。社員の気持ちがいかに乗ってくるか、が勝負にもなってきます。