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新規事業は市場調査すると失敗する?

新規事業が上手くいくB社に共通する”成功の構え”とは?

成長が横ばいしてしまうA社と持続的成長し続けるB社、何が違うのか?どこからこの差が生まれるのか?

国内経済の成長が止まったと言われる西暦2000年以降でも、売上高と利益が伸び続けて、社員数十名名から100名、300名超えと順調に持続的成長を続けている企業の研究、調査を続けています。

A社とB社比べると、B社は新規事業や、新しい商品・サービスがどんどん生まれます。そして、同時にそれを担う人材・幹部が育ちます。

そうしたB社と言われる企業に、新規事業や、新商品・サービスを立ち上げるに際して、共通の“構え”のようなものがあります。

それは、「市場調査・分析からは考えない、決めない」という“構え”です。

ある新しい事業(商品・サービス)をスタートする際に、それに関する市場調査・分析をしてその参入が正しいか、正しくないか、という視点から着手を始めていません。

低成長時代の西暦2000年以降に持続的成長を続けているB社例をいくつか挙げさせていただきます。

例えば、キャンプ関連事業を柔軟に幅広く展開されているスノーピーク様。

西暦2000年頃の売上高が約10億円前後、社員数50名前後だった業容が現在、売上高200億超え、社員数400名近を超える持続的成長企業になられています。

「私たちは市場調査などしない。社員である前にキャンパーであれ」と明言されています。

次に、終活関連の商品・サービスについて、ユーザーと事業者とをWebでマッチングさせる事業を展開されている鎌倉新書様。

西暦2011年時点で売上高約3億円、社員数20名足らず、債務超過だった業容が現在、売上高約40億円、社員数200名前後、営業利益10%以上を残す持続的成長企業になられています。

超高齢化社会にともなう、終活・人生後半戦の時間充実のためのありとあらゆる問題解決テーマを“ユーザーイン”の視点で網羅的にピックアップし、それらの事業化、商品・サービス化することを徹底的に考えていらっしゃっています。つまり、最初に、市場分析・調査ありき(市場の伸び、大きさありき)の事業展開ではなく、あくまで顧客の問題解決を中心に考える“構え”でいらっしゃっています。

次に、社員発の新規事業がどんどん生まれている家具の製造・卸売り販売の関家具様。

西暦2010年頃には売上80億円前後だった業容が現在、売上高約200億円、社員数500名超に成長され、創業以来54年間、赤字が一度もなく、その内の50%近くの売上高が社員発の新規事業で構成される持続的成長企業になられています。

「楽しくなければ仕事ではない、やりたいことを任す。失敗しても文句は言わぬ。責任は全て経営トップが取るから思いっきりやってください」を会社の上位概念として明言、掲げていらっしゃっています。社員の発案を否定せず、実現する方向で会社がサポートする”構え“です。

3社の例を挙げさせていただきましたが、いろいろな上図のB社にあたる企業群を調べてさせていただくと、同様の“構え”を持つ企業は数多く存在します。

新規事業や新しい商品・サービスの開発は、そうした「調査・分析から考えない」という共通した“構え”が必要であるようです。

ある企業が新しい事業(商品・サービス)を創業し、成長させたお話しです。

人口減少傾向の15万人のある町があります。

この町に住むある方も、そうした町の状態に危機感を持っていました。

その方は特に、結婚・出産後に仕事を退職する人の比率が50%近くあり(この地域に限らず全国的な社会的課題)、そうした人の多くは女性で、ほとんどの人は「働きたいけど、働けない」人である、ということに大きな課題、一種の義憤を感じていました。

この方は「(子育てで)働く時間に制限がある人」を対象に事業を起こしたい、と考えました。

そして、仕事を楽しむためには、事業(仕事)内容も単純作業ではなく、クリエイティブな、やりがいのある仕事にすることが必要だと考えました。

「働きたいけど、働きたい人材を活かし、地域社会に貢献する」を創業の精神として、事業をスタートしました。

その後、大きな困難もありましたが、様々な試行錯誤を重ねて乗り越えて、創業10年が経ちました。

その企業は現在、オンラインによる付加価値の高いデジタル業務のアウトソーシング事業を展開しています。そして、社員130名、女性比率が90%超、その内、80%超が小学生以下のお子さんを育てる女性の社員構成の企業に成長しました。
驚くことに、デジタル事業を展開しながら、採用する人は経験者ではなく、あくまで「未経験者で、(子育てで)働く時間に制限がある人」にこだわり続けていらっしゃいます。
デジタル未経験の子育てしながら女性が入社しても、DXエンジニアとして成長する人が誕生するような、一見すると信じられない企業になりました。
この方にもお聞きしました。
「新しい事業、商品・サービスに着手するときに、市場調査や競合分析はされますか?」
その方は「(調査・分析は)まったくしないですね」と明言されました。
事業の選定、着手意志決定は、”コア“な部分なものであり、その人(経営者)、企業の切実な思い、使命感(ミッション)から発露するものである。
だから、その部分に調査・分析からの理屈・理論から決まるもの、決められるものではない。
ただ、その一方で、いざ事業を走らせてからは、適宜、客観的な調査、分析は必要です、というものでした。

自社の「ミッション」から生まれる新規事業が成功する

新しい事業を成功させている企業の共通要素は、
その新しい事業をやろうと決断して進める最初の“構え”が「成長市場だから」「市場が大きいから」「儲かる分野だから」という論理的、相対的なものからではなく、
「これが必要だ」「これが求められている」「これをやらなければならない、やりたい」という直観的、ある種、善なる、切実な思いから始まっているところです。
「何を言っているんだ、そんなことを言っても、その市場が小さかったら事業は成り立たない」「伸びる市場を選んで参入することで成功確率が上がるんだ」などと論医的思考で考えてしまいます。
ただ、新規事業の成功要因は、客観的なデータ・分析だけで言い尽くせるものではありません。事業開始から試行錯誤しながらも粘り強く継続する力や、その事業に対する純粋な熱量が影響します(むしろ、こちらの方が重要)。
皆さまの会社でも、新しい事業を検討、展開する際に、調査・分析(論理的思考)からは入らずに、自社のミッションに基づき、何をするべきか、どんな事業をしたいのかの視点(構え)からの検討をしてみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきまして誠にありがとうございます。

•本コラムでご紹介した人口15万人の町で創業された持続的成長企業様がゲストでご登壇されるセミナーがございます。

https://www.funaisoken.co.jp/seminar/095911

このような方におススメのセミナーです。

新しい事業を立ち上げ、成功する企業組織にしたい方
• 社員数300名超えの成長企業を目指したい方
• 社員に夢を与える成長ビジョン策定をしたい方
• 社員数100名前後から停滞感を感じている方
• 自走する、自律型の社員をもっと増やしたい方
• 経営幹部が育たない課題をお持ちの方

【セミナー概要】
日程◆ 2023年3/7(水)、3/9(木)、23(木)
時間◆13:00~16:30
会場◆オンライン

南原繁
株式会社 船井総合研究所 価値向上支援本部アカウントパートナー室 上席コンサルタント ディレクター
1993年関西大学経済学部卒業後、㈱船井総合研究所入社。 入社後、流通小売業、飲食サービス業、製菓製パン業、地域遊休地開発、観光事業、企業CRE戦略、自動車販売業の幅広いフィールドを通じて、船井流マーケティングの基本ベースを習得する。 2000年より住宅リフォーム業を本格的に従事、2002年チームリーダー、2005年グループマネージャー、2010年上席コンサルタント認定、2014年住宅不動産部副部長、2017年リフォーム支援部部長。