商業施設に限らず、不動産事業は所有と運営を分離することが一般的になり、それによって専門の運営会社が増えましたが、大きく2つの方向性になってきています。一つは、より管理施設数が多いところへの集約化で、もう一つは原点回帰の内製化です。所有と運営が分かれていると、どうしても運営は所有からするとコストになるので、運営選定はコンペとなることが一般的です。そのコンペの決定要因は価格になることが多く、契約期間も短いので、運営者側は中長期的な動きができないという課題を抱えてきました。
いつもお伝えしているように商業施設のバリューアップは大きく、中長期的なリニューアルと短期的な経常販促による施設集客をアップさせることが基本になります。そして、リニューアルと経常販促を期待する成果に結びつけるには、ショップ、テナント(スタッフ)との良好なコミュニケーションが必須となります。
そのため最近では、所有と運営を分離しつつも、契約期間を長くしたり、グループの運営会社へ集約する施設が増えてきています。やはり、ショップ、テナントとの良好な関係ができ、店長会、販促キャンペーンなどの参加率の高い施設、テナントの業績は好調なのです。20年ほど前に流行った地元(地域)主導型SCは、運営を外部委託せずに内製化していましたが、先日お伺いした運営会社さんのお話は、まさに運営形態の原点回帰の必要性を感じました。
・社員旅行についてもテナント店長が率先して企画
→ユニバーサルスタジオから、美観地区でお食事会(パートのお迎えに対応)
・店長の慰労会についても有志で企画
→店長が率先して、慰労側の立場に立っているので自然に感謝の心が芽生える
・デベが企画する優秀デベのパネルディスカッションに店長が率先して参加
→100名を越す参加者あり
・ES調査の最後の質問は「このSCで働くことは楽しいですか?」
→半数以上が楽しいと回答
ぜひ、原点回帰をキーワードに、楽しみながら結果を出せる環境づくりに挑戦して頂きたいものです。