船井総研では、チェーン専門店に対して、下記の8つの差別化要素を持つことが重要だとお伝えしています。
【1】立地
【2】規模
【3】ブランド
【4】商品力
【5】売場力
【6】販促力
【7】接客・サービス力
【8】固定客化力
これらの【1】~【8】は優先順位の高い順に並んでいて、特に【1】~【3】は戦略的差別化として重要です。この【1】~【3】は多店舗を展開するチェーン専門店にとって一番重要な出店にかかわるからです。【1】~【3】の戦略(=出店)のミスは、【4】~【8】の戦術・戦闘(現場)ではリカバリーするのが非常に難しいからです。【4】の商品も現場主導でなく、本部主導になっている場合は、出店と同時に商品MDが決定するため余計に難しくなります。
つまり、多店舗展開するチェーンにおいて、商業施設の理解を深め精度の高い出店をしていくが最も優先順位が高いと言えます。日本ショッピングセンター協会によると、全国の商業施設数は3195件(2015年12月時点)になります。ここで押さえておくべきポイントが、そもそも自社ブランドが展開できるSCはいくつあるのかということです。また、自社ブランドの出店フォーマット(出店基準および商品展開計画)があるかです。
この出店基準づくりにおいて、商業施設の評価の仕方が問われます。立地法への改正から、大型商業施設が急速に増えることはないのです。また、普通借地契約から定期借家契約に変わり、多くの施設において定期借家契約の切り替えのタイミングで(5~7年)リニューアルをかけることが一般的になりました。商業施設側にとって、このリニューアルは1年で10%、つまり5年で50%のテナント入れ替え(場所移動も含む)が目標になります。
つまり、チェーン専門店にとって、新規の大型商業施設への出店ではなく、既存施設のリニューアルといった出店の機会が増えていきます。既存施設のリニューアルは、チェーン専門店にとっても月坪効率の悪い店舗をスクラップして、効率の良い施設への出店ができるので、商業施設、チェーン専門店にとっても有効な手法と思われます。ですから、まだまだ日本において出店の可能性が多いにあるという認識をしていただいて大丈夫です。