専門店チェーンはそのほとんどが商業施設を主な出店場所としています。そのため、これらの店舗の業績は自社のMD以上に入居している商業施設の影響を受けやすいと言えます。専門店チェーンが、なぜ高い家賃を払って商業施設に入居するかと言えば、集客に期待するからであって、自力販促をするユニクロなどを除けば、最も大切な集客を商業施設にゆだねているのです。
そのため商業施設を評価する一番のポイントは安定した集客力をはかれるデベロッパーであるかどうかになります。その集客力は、戦略的にはリーシング力、戦闘術的にはリレーション力、戦闘的には施設販促力になります。いま、郊外型モールが苦戦している最大の要因は、デベロッパーとテナントとのリレーション力が弱いことです。
そのため施設販促などの参加率が弱く、結果としてどんなに販促をしても買上率につながらないことです。また、ここ1,2年の間に開発、リニューアルした大型施設は、貸し床を埋めることが優先され、SC全体のMDバランスを崩してしまっているケースがあります。駅乗降客を基礎集客とする駅ビルを除いては、安定した集客を確保するためには、SMが必要となります。
そして、このSMのグレイド(客層)が誘致するテナントのMDとあっているのが基本原則です。この原則をはずしてしまっていると、どんなに集客力があっても、自店顧客がきていない状態になるからです。また、同業種のテナント数が多すぎると苦戦することがよくあります。同業種のテナントが多いことは、お客様にとっては店揃えがよく利用動機につながりますが、やはり適正な店舗数というものが存在します。
例えば、靴小売りであれば施設売上の5%が施設全体の靴売上の目安で、そこに入っている店舗はこの5%のシェアを分け合うことになります。どんなに施設売上が高くても、同業種の店舗数が多ければ自社のマーケットがないと考えるべきです。そういうケースでは増床などで施設売上が伸びる場合を除いては出店すべきでないという判断になります。
更に、施設売上が高いのに入居するテナントの業績が悪い場合によくあるケースは、施設内立地が悪い(店前通行客が少ない)場合がほとんどです。その点でいえば、リニューアルなどで出店依頼がある場合は店前客数(平日、休日)をカウントすることが基本になります。これまで直観的に判断してきた上記のような出店ポイントについて数字で評価軸を持つことが重要です。