さて、皆様、消費税8%になってはや1年以上がたちますが、その現状実態はどうなっているでしょうか?データを追いながら見てみましょう。
小売業は、消費税が上がる夏前ごろから順調に販売額が伸びていき、消費税アップ直前の3月は前年比110%以上と大きく伸びました。当然、その反動で4月は沈みましたが、夏ごろから回復。しかしながら冬は昨対と比べると大きくダウンしています。トータルでいくと小売業は、消費税前後でトントンか、ややプラスというのがデータから分かることです。これを詳細で見ると面白いことが分かります。
上記は、百貨店とコンビニエンスストア(CVS)の同じ月の動きです。高額品を販売する代表格である百貨店は、消費税前には、最も恩恵を受けた業態の一つであり、直前3月は昨対125%。しかし、その後低調は続き、当然今年の3月は昨対20%近いダウン。結局、トータルではマイナス基調となっています。
これに対して、CVS業態は、消費税などほぼ関係なく、基本右肩上がりの成長を続けています。このように同じ小売業といっても業態で大きな差が付いた結果となりました。ちなみに自動車や家、家電などの高額品は、残念ながら消費税以降もまだ戻っていない状況です。前回の5%アップ時も戻るまでに1年半かかったというのが実態です。
次に卸業態です。今回の消費税アップ後、最も厳しい立場に追い込まれているのが卸業態ではないでしょうか。消費税アップ前までは非常に好調に推移したものの、それ以降は、ずっと昨対割れが続き、回復しないまま、大きくマイナスになっているのが実態です。小売業の直接仕入れやPBの拡大、メーカーの直売がより進んでいることが予想されます。
最後に鉱工業の生産や在庫状況です。震災以降、ずっと低調であったものが消費税前だけ、少し上昇したものの、その後も低迷を続けましたが、今年に入り、やや回復基調になってきていることが分かります。円安効果で若干、国内生産が戻ってきたといえますが、予想よりも少ない状況です。これは何を示しているかというと、日本の製造業は、すでにほぼ海外生産にシフトしてしまっており、為替変動でもあまり関係なくなってきているというのが実態でしょう。
さて、消費税10%は、2017年4月となり、あと2年をきりました。この10%インパクトは大きく、その後の低迷は、大きくなることが予想されます。これとオリンピック景気でどこまでカバーできるかということでしょうが、10%前が最後の稼ぎ時で、その後は、企業の優劣差がより鮮明となり、国内企業集約が一気に加速することが予想されます。
残る側にいかにまわるかは、これから2年が勝負となるでしょう。