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新規事業の立ち上げを成功させる方法

なぜ今新規事業立ち上げが必要なのか

 昨今、船井総研に問い合わせいただける内容で多くなっているものとして”新規事業に関わるもの”が多くなってきています。「新規事業をどう進めたらいいのか?」「自社のエリア、規模でできる新規事業は何かないか?」と今後取り組まなきゃいけないけど、とうしたらいいのか?という切実な意識を日々現場で感じます。

 整理すると、大きく下記の2点に問題意識を感じられているケースが多いです。

1) 国内需要減により、様々な国内ビジネスに関して早かれ遅かれ成熟化が予測されている中、とうとう自社業界でも売上の増加が既存の延長だと見込みにくくなってきた。

2) グーグル・アマゾン、フェイスブックなどのデジタルディスラプター(デジタルを駆使しビジネスルールを変える企業)の影響が想定され、いつまで既存のビジネスを継続ができるか不確定に感じる。

 こうした声に対して、船井総研としてはできる限り早く新規ビジネスを検討しましょう、とご提案しています。
 既存ビジネスで求められる力と、新規ビジネスを立ち上げる上で求められる力は大きく異なります。
 そのため本当に危機的状況に陥ってから、検討をし始めてもうまくいかず、空回りするということになりかねないです。
 であれば、まだ既存事業に余裕のあるうちに、「新規ビジネス」というゲームのルールに会社として慣れていくためにも検討を始められることをおすすめしているのです。

新規事業が失敗する5個の理由

 とはいえ、新規事業の9割が失敗するとも言われています。既存事業のように今まで行ってきたことを繰り返すのではなく、様々な新しい課題に対処していく難しさが生じます。
 私たちコンサルタントが見てきた事例の中で、よくある失敗例を紹介します。

1) 市場規模やニーズの読みが甘かった
 イメージ先行でビジネスを組み立ててしまうと、本当にそのサービスを欲しがっている人は、思っていたよりかなり少ない可能性があります。

2) 法改正や事業リスクを読み切れていなかった
 既存事業の領域と異なり情報を集めきれずにスタートする場合、思わぬ法規制により収益が悪化する場合があります。

3) 組織体制が不十分なままスタートしてしまった
 成功する会社は、エース級の人材を新規事業に専属で充てています。新規事業は特に思いがけない対応に追われることも多くなります。

4) 事業に必要な人材を採用できなかった
 人材不足が深刻なため、どんなに優れたビジネスモデルでも人材が集められないがために規模を拡大できず、見込んでいた収益を確保できないことがあります。

5) 社内事情が新規事業に対応していない
 大きな会社になると、意思決定のスピードが遅くなったり、既存事業とのバッティングを必要以上に気にしてしまい、事業を推進しにくくなることがあります。人事評価の仕組みも、新規事業担当者は既存事業とは分けるのが一般的です。

新規事業の成功確率を上げるポイント

 では、新規事業の成功確率を上げるにはどうしたら良いでしょうか?もちろん上の失敗理由の対策を考えることも大切ですが、ここでは少し視点を変えて、私たちがコンサルティングをしているときに大切にしているポイントをいくつか紹介します。

1) 時流を捉える
 成長マーケットや成長セグメントへの進出が重要なのは言うまでもありませんが、その分野が成長している背景まで理解し、今後も成長するのか、単なるブームや一過性の動きであるのかを理解する必要があります。

2) 成功事例に学ぶ
 新規事業に成功した事例から、自身の企業に取り入れられる視点を学び取りましょう。特に、違う業界で同じようなビジネスモデルを取り入れて成功した企業については、「業界が違うから関係ない」と切り捨てることなく、学べる点を取り入れましょう。特にデジタルを取り入れる視点はどうしても苦手意識が働いてしまいがちですので、意識的に取り入れて頂きたいです。

3) 早く挑戦する
 事業的な余裕があるうちに、着実な一歩を踏み出すことが大切です。既存事業の業績が減少し始めてからの新規事業への参入は、新規事業に割けるリソースも限られてしまい、どうしても先に述べたような失敗要因が多く生じてしまいます。特に人的リソースが重要で、既存事業にある程度余裕のあるうちに、エース級の人材を新規事業にあてることは、大きな成功要因になります。

新規事業を成功させるためのプロセス

 新規事業を検討する際には、一定のプロセスで実践していただくことをおすすめしています。

<おすすめのプロセス>

1) 評価軸の検討
 そもそも新規事業を検討するといっても、10年後を見据えて検討するのか?3年後を見据えて検討するのか?【時間軸】10億円単位のビジネスを検討するのか?既存事業に取って代わる売上インパクト(100億円単位)を見込めるものを検討するのか?【売上軸】などで出すべきアウトプットが変わってきます。検討を始める際には、まずどのような結論を出すことが、今回の新規事業検討のゴールなのか?経営者、担当者含めて意識合わせを行います。

2) 経営資源の視点、顧客の視点、時流の視点 での情報の棚卸し
 アイデアを考え始める前に、新規事業を検討する際に必要なベースとなる情報自体が不足しているケースが大半です。そのため自社の環境を少し俯瞰してみて、上記の視点でどんな状況になっているのかを把握します。

3) 事業案の検討
 集めた素材をもとに、自社で考えられる事業アイデアを練っていただきます。この際に、評価軸で検討したゴールを達成することができる事業アイデアを検討する必要があります。アイデアの発散時点では、アイデアの量が重要となってくるため、評価軸はあえてそこまで意識をしなくても良いですが、100億円規模のアイデアを検討しているのに店舗型ビジネスを1店舗どうするか?のアイデアを検討をしていても、それは時間の無駄になってしまいます。

4) 磨き込み
 出てきたアイデアの中から評価軸に基づいたアウトプットを形にするために、より具体的に検討を進めます。情報が少ないとしても、一度仮説的にもアイデアを具体的に考えていくことがポイントになります。磨き込みの視点としては、STPの観点、4Pの観点、ビジネスプロセスの観点、KSFの観点などフレームワークを活用しながら検討をしていきます。またここでは、ぜひデジタルの視点も入れて頂きたいです(例:その事業をスマホアプリも絡ませて行うとしたら?)。

5) 調査 事業計画作り
 磨き込みで仮説的に検討した内容をもとに、調査をかけながら事実を集め、修正しつつ事業計画書としてドキュメントに落としていきます。意思決定者がどのような情報が足りれば、Go or No Goの判断ができるのか意識をしながらドキュメント化しなくてはいけません。

6) 事業計画に関する意思決定
 事業計画書を持って、経営者の方にどんな意思決定をしていただきたいかはっきりさせて説明をします。例えば、今回の調査では、需要が一定数あることがヒアリングベースでは明らかになったが、どの程度の規模まで見込めるのかをはっきりさせるためにプロトタイプを作成して、テストマーケティングをしたい。そのための調査費用として300万円の承認をいただきたい。という程度まで具体的に話をすることができると良いです。

 プロセスに関してよくある失敗がとりあえず担当者へ「考えろ!」と丸投げにしてしまうケース。
 これでは良い新規事業にならないだけでなく、組織として、新規事業をどう考えていくべきなのか、という経験値を溜めることもできません。

 プロセスをあえて決めることで、それぞれの検討段階でどういったアイデアや事実が集まり、どのように結論付けたかについて、たとえ担当者が変わったとしても、振り返り、次に活かすことができます。組織として新規事業を生み出せるようになるのです。

新規事業を考えるフレームワーク

 新規事業を検討しているけど、どうも事業アイデアがなかなか浮かばないという方も多いと思うので、アイデアを浮かべる切り口をいくつかご紹介します。(上記で紹介したプロセスではこれから紹介する切り口で発想がしやすいように、情報整理を進めるようにしております)

1) ユーザーのペルソナを浮かべて課題を洗い出す
 ビジネスは至極単純に捉えると、ある方の”課題”を解決する対価としてお金をいただいています。となれば解決すべき課題を見つければ、ビジネスになり得る種を見つけたことになりますので、それを軸にアイデアを発散するのがこの方法です。一般的に発想しやすいように、特定のペルソナをおいてその人が持つ課題にフォーカスして考えます。(訪日留学生で困っていることは何か?、中小企業とくに製造業の経営者で困っていることは何か?等)

2) 別のうまくいっている事業(=時流にのっている)の方法論を自社の事業領域に当てはめてみる
 成功事例を研究して自社の事業領域に、その方法論を当てはめることでアイデアが出やすくなります。最近ではサブスクリプション型のビジネスを自社の事業領域で検討できないか?などがよくある切り口になります(これだけの情報ではありきたりなアイデアになりやすい点は注意が必要です)。より具体的に成功事例を研究することで、独自の視点で展開しやすくなります。

3) 自社経営資源の活用
 自社の経営資源を他に活用できないかという発想も1つです。最終的に競争優位を生むためには、自社が得意とする長所を活かすしかありません。であれば長所を活かすことができる方法を検討してみて、アイデアを発想するのがこの方法になります。

 これらの点については、どうしても一人で考えていると自分の考えに凝り固まってしまいます。
 グループディスカッション等で議論すると、様々な角度からの意見が集まります。

新規事業計画書の書き方、留意点

 事業計画書を書くといっても、様々な様式があります。
 ここでは必ず加えていただきたい点をお伝えします。

1) 事業コンセプト
 結局提案している新規事業は「誰に」「何を」「どのように提供する」ものなのかを端的に記載します。

2) 実行体制
 実際に事業を実現するにあたって、人的資源が必要になります。実行するにはどの程度の人員が必要なのか?は意思決定者にとっては重要なポイントになります。

3) 戦略シナリオ
 各年度ごとにどのような規模感で実施するか?規模を達成するために、戦略オプション(戦略的な取り組み=新商品を投入するなど)をいつ実行するかについてまとめます。トライアルフェーズや投資フェーズと、収益化フェーズを明確に分けてシナリオを作成することも有効です。

4) 数値計画
 5~15カ年程度で売上・コスト・利益のシミュレーションを立てて、事業を定量化します。投資回収にかかる期間、黒字転換する時期を明確にします。

 これらの点は必ず考え、かつプロセスの項でお伝えしたように意思決定してもらう点をはっきりさせて計画書を作っていきしょう。

新規事業のリスクを減らすために注意すべきこと

 新規事業は、新しく取り組むことですから、一定のリスクを取って行うことが必要です。リスクを減らすためのポイントは、突き詰めれば次の3点に集約されます。

①リスクを正しく認識すること
②リスクに対して準備・対策を行うこと
③最悪のケースを想定し、撤退基準を決める

 まず、正しくリスクを認識するためには、できるだけ幅広くの専門家や現場の人、ユーザー等の事業関係者に意見を聞くことです。
 また、一般的に検討が必要なリスクは以下の通りです。
 どうしてもリスクを洗い出そうとすると人により偏りが生じてしまうため、こうした一般的な事業リスクを基に検討してみるのも有効です。

● 競合の参入リスク
● 想定価格が顧客に受け入れられないリスク
● 想定数量が売れないリスク
● コストが上昇するリスク
● 必要なリソースが確保できないリスク
   ○ 必要な人員が確保できないリスク
   ○ 必要な原材料や製造設備、立地等が確保できないリスク
   ○ 必要な資金が確保できないリスク
   ○ 必要なシステムや技術開発ができないリスク
● 法規制や制度が変更されるリスク

 その上で、それぞれのリスクにどう対応するか、具体的な準備・対策を検討して置くことが必要になります。
 ただしリスクの中には、事前の対策により防げるものもあれば、原価の上昇や法規制の変更など、自社の努力で補いきれないものもあります。こうしたリスクを把握した上で、最悪のシナリオとしての撤退判断も必要になります。
 事業計画を策定する意義がここにあり、例えば現状の赤字が想定していた「投資フェーズ」による赤字なのか、想定外の事項が起きたために生じている赤字なのかを分析・判断する必要が生じます。
 リスクを完全にゼロにすることができない以上、万が一の場合は、取り返しがつかなくなる前に事業から撤退することも想定して、新規事業に取り組むことが必要になります。

新規事業を成功させた企業事例

 ここまで様々なポイントを紹介してきましたが、実際に新規事業に成功した企業A社の事例を紹介させて頂きます。
 事業案を考えるときに、どうしても今の事業に近いものに集中してしまいがちですが、頭を柔らかくし、ビジネスモデルや競争環境が全くことなる事業でも、自社の強みを活かして成功させた事例として、考え方の参考になれば幸いです。

 A社はとある外食チェーンを展開する企業でしたが、多店舗展開の限界を感じていました。新規事業として始めに取り組んだのはラーメン店などの他の分野の外食業態への参入でした。
 一定の成果を上げたものの、外食業態は競合の数が多く、一からの業態開発に非常に苦労されていました。

 そこで目をつけたのが物販(冷凍食品)でした。
 元々既存事業で、自社の店舗では物販の販売も行っていましたが、それを店舗以外で販売することを考えました。
 食料品販売の競合企業は大企業が多く、小回りが利きづらいと感じていた社長は、大手企業の隙間を狙ってニッチ商品を販売し、そこで大きな成功を収めています。
 この会社にとっての「自社の強み」は、店舗向けの既存の製造設備があったため、低コストで参入できたことです。

 また競争環境として、競合が少なく勝ちやすい業界で勝負したことがポイントでした。
 大手企業の方が手ごわい競合かと思われるかもしれませんが、大手企業しかいない市場をねらうことで、かえって大手企業がタイムリーに反応できないと読んだニッチ市場で勝負を挑んだのです。

 今では新規事業として取り組んだ冷凍食品の部門は、既存事業の外食部門に匹敵するまで事業規模を拡大させました。

■□■□おすすめ資料請求■□■□

内田 洋平
大手メーカーにて5年勤務(うち2年はアメリカ赴任)し営業・企画職を担当した後、株式会社船井総合研究所に入社。地方創生グループでの業務や大学のブランド化、飲食企業のビジネスデューデリジェンス業務、中堅企業のホールディングス化等の幅広いプロジェクトに携わる。調査分野においては、競合覆面調査や商圏調査、モデル店調査等を担当し、現場にて幅広い調査の経験を積んでいる。

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