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ドン・キホーテはなぜ、シニア人材を活用するのか!? ~国内の人材獲得競争は大激化!大手企業の取り組みから見えるこれからの人材戦略~

■日本国内における人材獲得競争は確実に激化する!
下のグラフが示すように日本国内は少子化の加速により、労働力人口(16~65歳以下の人口)は減少し続けることが明らかな状況となっております。

この事実から容易に推測できることは、現在と同じ“日本人の人材量”が必要な限り、“企業間における人材獲得競争はますます激しくなる”ということです。したがって、各企業は、今までと同じ人材獲得戦略をとっていると徐々に人材が採用できなくなり、人材不足に悩まされる可能性は非常に高くなります。

では、我々はこの問題をどのように捉えていけばいいのでしょうか?

■大手企業の取り組んでいる人材獲得戦略は大きく3つ!
現在、大手企業を中心に行われている人材獲得の取り組みを考察すると、大きく以下の3つのポイントが見えてきます。

【1】 パート社員の正社員登用
【2】 本部一括集中による採用コスト圧縮
【3】 人材採用の幅を広げる

今回のコラムでは、この3つのポイントを代表的な企業の事例と共に紹介していきたいと思います。

【1】パート社員の正社員登用~ユニクロの青田買い戦略~
「ゼンショー“すき家”100以上の店舗が人材不足により休業!」、「ワタミ、人員不足のため60店舗を閉鎖!」
以前では考えられなかったような大手チェーンの人材不足による休業・閉鎖のニュース。今後は、このようなニュースが多店舗展開をしている小売・飲食チェーン中心に良く見かけることになるかもしれません。

稀少なモノは高価値になるのと同じように、人材不足になれば人材の価値は高くなります。したがって、現時点で損益がギリギリの状態にある店舗は、この状況に耐えられず、閉鎖に追いやられてしまう……というわけです。

この状況を踏まえてなのか、先日「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングでは、国内のユニクロ店舗で勤務する全パート・アルバイト約3万人の半数以上に当たる1万6,000人を正社員化する方針を打ち出しました。

一般的に人材コストは、“採用コスト+教育コスト+給料(福利厚生含む)”で考える必要性がありますが、人材不足になれば、それぞれの要素は全て高くなる可能性が高いです。したがって、「パート社員を他社に奪われる前に正社員化してしまう。」この視点は、人材コストを圧縮させる上で非常に重要な視点として考えられます。今後は、ファーストリテイリングのような人材獲得戦略を実行する企業は増えるかもしれません。

【2】 本部一括集中による採用コスト圧縮!~ローソン・ファミリーマートの人材獲得戦略~
ローソン・ファミリーマートでは、以前は加盟店ごとに採用・教育を任せていましたが、つい先日、本部で採用・教育を一括して行い(正式には設立した人材紹介会社や協力会社とともに)、各店舗に紹介・派遣するという方針が発表されました。

先ほどの説明の繰り返しとなりますが、現時点で損益がギリギリの状態にある店舗では、人材コストが増加すれば、経営状態は厳しくなり、閉店に追いやられる可能性が高くなります。したがって、FC本部としても、この課題を対処できない限り、店舗は減り続けることになり、業績は落ち続けることになります。

ローソンやファミリーマートのように人材を本部で一括採用・教育を行うことができれば、スケールメリットが効き、人材コストを圧縮することが可能となります。この取り組みは、今後、日本のマーケットで生き残っていく上で非常に重要な取り組みと言えるでしょう。

【3】 人材採用の幅を広げる!~ドン・キホーテのシニア人材活用~
つい先日、ドン・キホーテでは午前中の販売強化や既存従業員の負担軽減を目的として、「早朝の清掃や商品陳列などの業務にシニア人材2,000人をパートで採用する。」との方針を発表しました。シニア人材活用を模索している企業が多い中、この方針は非常に大胆であり、産業界全体に衝撃を与えたのではないでしょうか。

ドンキ・ホーテでは事前に実証実験を行なっており、「1日2時間、週2日から働ける早朝専門のシニアのパート採用を14店舗で導入。開店前に商品陳列や清掃が完了するため、売上が増加した。」とのことでした。強気な採用は、“既に効果は見えている“自信のあらわれなのでしょう。

60歳以上のシニア人材は、(1)重労働ができない、(2)長い時間働けない、(3)教育がしづらい、といった理由から敬遠されがちでしたが、実態は、(1)まじめで、(2)奉仕的で、(3)他に移りづらいといった評価される点が沢山あるのです。

ドン・キホーテのように自社業務を再整理し、増加が見込まれるシニア人材を投入する枠を見つける……すなわち、「若い正社員が不足するならば、最小限の若い正社員で回せる体制を整えてしまえ。」という視点は、今後非常に重要であることは言うまでもないでしょう。実は先ほど紹介させていただいたローソン・ファミリーマートも外国人留学生やシニアを積極的に受け入れる方針であるそうです。

■大事なことは変わる勇気を持って、まずは一歩を踏み出すこと!
冒頭にも説明しましたが日本国内において人材不足が深刻化するのは明白です。このように今までと環境が大きく変化する日本国内においては、企業の動きも当然“変化”が求められます。まずは、今回ご紹介させていただいた企業のように、第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか?

下田 寛之
高収益化支援部 部長
2007年に青山学院大学経済学部卒業後、株式会社船井総合研究所(現株式会社船井総研ホールディングス)に入社。入社後は事業計画策定、新規事業開発、ビジネスデューデリジェンスなど多岐に渡るテーマのコンサルティングに従事。現在は高収益化支援部にて、社内横断型のコンサルティングサービスを推進。代表的なものとしては「高収益経営フォーラム」、「ビジネスモデル診断」、「組織力診断」、「クラウド人事評価制度~Advance~」が挙げられる。