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コンサルティング脳の使い方(7)~コンサルタントの現場力とは~

今回はコンサルタントの現場力についてお伝えする。稀に、クライアントから該当する業界に関する「成功事例」あるいは「専門的な知見」を求められることがある。

この影響もあってか、経験の浅いコンサルタントの中には、成功事例の他、商品やサービスに関する知識、業界専門用語、業界特有の法規制といった「現場知識」を身に付けることこそがコンサルタントの現場力そのものと思い込む者が少なくない。

確かにこれらの知識を保有していれば何かと話が早いというメリットはある。しかし、コンサルタントに求められる本質的なスキルという意味からすれば、こうした、いわゆる「現場知識」は、必要条件の一要素にしか過ぎない。

一体どういうことか。わかりやすく説明しよう。

単純に、「現場力」イコール「現場知識」という等式が成立するか否かを考えてみると良い。

もし仮に、この等式が成り立つとするならば、そもそもコンサルタントは不要ということになろう。分からないことは現場知識が現場経験豊富な社員に聞けば良いし、自前で他社の研究でもすれば用は足りてしまう。

現場知識で勝負することは、運良く、現場担当者が知りえない情報をコンサルタントが持っていたとしても、その情報を現場担当者に伝えた途端、現場担当者が一瞬でコンサルタントに追いつくことを意味する。

要するに、「知っているか、知らないか」、知るタイミングが「早いか、遅いか」というだけの話で、この枠から出られないコンサルタントにあまり価値が無い。

では、コンサルタントの「現場力」とは何か。これは難しく考えず、単純に「成果を挙げること」と捉えて良いであろう。

もう少し噛み砕いていうならば、コンサルタントの現場力とは、成果を挙げるために、以下の3つを実現することと定義できる。

1.現場に気付きを与える。
2.現場の意思決定を促す。
3.現場のアクションにドライブをかける。

以上3つの刺激を繰り返し組織に、強く与え続けられるかどうかポイントになる。

前述の「現場知識」は、1の「現場に気付きを与える」ための一要素であることからしても、「現場力」イコール「現場知識」でないことは論理的に理解できるであろう。

「現場知識」のみに依存せず、現場に気付きを与えるような分析ロジック、現場の意思決定を促すような戦略仮説、現場のアクションにドライブをかけるようなマネジメントの仕掛けをいかにして提示できるかが勝負である。

濱野 雄介
船井総合研究所 プロジェクトマネージャー